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人間ではなくフィギュアである意味と必然性を高評価。『フィギュアストーリー』レビュー

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 6月24日サービス開始予定のアプリ『フィギュアストーリー』の、世界観やフィギュアを中心とした魅力をお届けします。

●『フィギュアストーリー』先行プレイ動画

フィギュアがしゃべるのは主人公だけの常識

 本作は、意思のあるフィギュアたちの活躍を描くRPG。

 フィギュアのなかには動いたり話したりすることもできるものがいる、というのはフィギュアの間では常識です。人の見ていないところで仲睦まじく話したり、ときにはちょっとしたケンカをしていたりします。

 一方で普通の人にとって、フィギュアは我々の現実と同じく動かないというのが常識。フィギュアが実は意思を持って動くと知られたら、心ない人がどんな行動を取るかわかりません。

 そのため、フィギュアたちは人前では動かないようにしており、人間にはフィギュアが自分の意思を持っているということは知られていません。

 現実でも、フィギュアは人目のないところで実は……ということがあるかもしれないので、ある意味で現実に近い世界が舞台ですね(笑)。

フィギュアの世界には人と同じさまざまな問題が

 そんななかで主人公は、フィギュアが動いたり話したりすることを知っています。それも昨日今日で急にフィギュアが動くようになったというわけではなく、物語が始まった時点で主人公にとってフィギュアが動いてしゃべるのは日常。

 オープニングでは主人公がフィギュアに語り掛けられる妙な夢を見ているようですが、いきなり重たい話から始まるというわけではありません。

 あくまで意志あるフィギュアとともに過ごすのは主人公にとっては当たり前のこと。屋上の掃除を頼まれたからフィギュアと一緒に頑張る、動けないフリをしていたフィギュアがネコにさらわれたといったゆるーい話から物語は始まります。

 ただ、必ずしも意思のあるフィギュアは主人公のもとにいるフィギュアのように幸せな生活をしているわけではありません。フィギュアたちが派閥争いのようなことをしていたり、潰れたフィギュアショップに行き場をなくしたフィギュアがいたりと、いろいろな問題があります。

 そういったフィギュアたちの問題に耳を傾け、ときには手を差し伸べていくなか、主人公は意思を持ったフィギュアたちの治安を維持しようとする組織に目を付けられることに。

 本来フィギュアは、フィギュア同士で治安を維持しているのですがフィギュアが意思を持っていることを知った主人公は、その組織の管理局実習生としてフィギュアの世界で公式にフィギュアを守る立場として活動を開始することとなります。

 もちろん、治安を維持しようとするということは、当然治安を乱すフィギュアもいて‥‥‥としだいに、主人公とフィギュアたちは大きな出来事に巻き込まれていきます。

 とはいえ、主人公自らフィギュアの世界に干渉していくというよりは、基本的にスポットが当たるのはフィギュアたち。あくまで主人公は、そこに手を差し伸べたりアドバイスをしたりするという位置づけです。

 フィギュアが登場するという珍しい作りなら、しっかりフィギュアたちの物語を楽しみたい。そんな期待に『フィギュアストーリー』はこたえてくれます。

キャラクターではなくフィギュアであることに意味がある

 フィギュア、フィギュアと書いてきたので今さら感がありますが、本作のフィギュアについても触れましょう。

 本作のいわばキャラクターとして登場するフィギュアですが、まず目をひくのは独特のビジュアル。3Dモデルではありますが、フィギュアとして表現することに注力されている印象です。

 自分はフィギュアについて詳しくないのでPVC塗装を再現したと言われても、それがどれくらいの再現度なのかはわかりません。そんなフィギュア素人が見てもフィギュアだなと思うくらいには、フィギュアらしさがあります。

 フィギュアである以上元となるイラストがあり(実際にもイラストをもとに3Dモデルを制作したのでしょうが)その再現度も文句なしです。

 また、これは自分がiPadでプレイしたということが理由になるのですが、サイズ感がまたいいんですよ。画面いっぱいに映し出されるフィギュアがちょうど「現実にフィギュアがあったらこのくらいだろうな」と感じられるサイズ。
 
 人間でもアンドロイドでもエルフでも、そういった現実の人と同等のサイズのキャラクターを原寸大で画面に映し出そうとすると80インチ(99.60cm×177.10cm)ほどのモニタが必要なので、同じような“現実ならこのくらい”という感覚はまず味わえません。フィギュアが題材に選ばれているからこその感覚でしたね。

 スマホでも問題なく遊べますが、スマホかタブレット端末か好きな方を選んで遊べるというなら、タブレットで遊ぶことをオススメしたいです。

 ゲーム的にもストーリー設定的にも、キャラクターが人間ではなく、フィギュアである意味や必然性がしっかりしている。それは『フィギュアストーリー』の大きな特徴であり、評価を高めるポイントとなっています。

ARがいい意味で現実とゲームの境を曖昧にする

 また、もうひとつおもしろさを感じたのがARでフィギュアを現実の光景に投影できること。

 ARを使って現実にキャラクターを投影できるゲームはほかにもありますが、投影されるキャラクターはだいたい数十cm程度ですよね。ゲーム画面のサイズの話と同様に、スマホやタブレットでARを使おうとした場合、どうしても画面サイズの都合による制限があります。

 キャラクターが現実に飛び出してくるという体験には一定の満足があるものの、それが数十cmという小さなサイズというのは少し寂しいものがありました。

 ですが、設定上フィギュアであるキャラクターが、20cm程度のサイズで投影されるとそれは原寸大。

 そこに現実のフィギュアのような質感が加わって、AR機能による体験が一回りクオリティの高いものに感じられました。

 フィギュアはゲームのなかだけの存在で、プレイヤーは画面の外だけにいる存在というゲームなら当たり前の話をいい意味であいまいにしているのも、フィギュアというテーマならではの力ですね。

※ゲーム画像は開発中のものです。
©️Nuverse  ©️FlowEntertainment

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