『オブザーバー:システムリダックス』レビュー。サイバーパンクな世界観と豊富な謎解き要素が魅力的!
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※『オブザーバー:システムリダックス(Observer:System Redux)』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
NAパブリッシングから7月8日に発売予定のPS4/PS5ソフト『オブザーバー:システムリダックス(Observer:System Redux)』のレビュー記事をお届けします。
サイバーパンク+心理的なホラーでじわり迫る恐怖が描かれる
本作は、2017年に発売された『オブザーバー』のリマスター作品。ビジュアルの刷新のほか、ストーリーも大幅に追加されており、日本語吹替にも完全対応しています。主人公の刑事を演じたルトガー・ハウアーの吹き替えは浪川大輔さんが担当。本人もチャレンジだったという重厚な演技は必聴です。
時は2084年。警察の特殊部隊“オブザーバー”の一員で、神経病理学にくわしいベテラン刑事ダニエル・ラザルスキは、消息を絶った息子から謎のメッセージを受信。
彼は大企業カイロン社が統治する都市クラクフのスラム街に潜入し、調査のため特殊なデバイスを利用して事件の容疑者や被害者の脳をハッキングし入り込みます。
ときには、証拠収集のために彼らの記憶から極限の恐怖を追体験しなければならないことも……。
『ブレードランナー』などで有名ないわゆる“サイバーパンク”的な世界観。レトロフューチャーな雰囲気が漂う荒廃した近未来を舞台にしたストーリーには、心理的なホラー要素もふんだんに盛り込まれています。
物語の主軸は殺人事件および失踪事件の捜査。現実世界では聞き込みなどで手掛かりを集め、ときに犠牲者のコネクターにコードをつなぎ、その精神世界に潜り込むことになります。
この精神世界の表現が、とにかく怖い! お化け屋敷のような急激にくるビックリ要素ではなく、じわりと迫るような恐怖が味わえます。
ディストピアを思わせる、複雑に入り組んだ迷路のような世界や、どこまでも続くような牢獄の世界……。
恐怖表現自体はそれほど過激ではありませんが、不快感が強く、一刻も早くここから出たい! と思わせるような世界が多いです。
犠牲者の記憶は破損している場合が多く、その断片的な記憶の演出が、また恐怖を煽るんですよね。
バリエーションが多く、飽きさせない謎解きが魅力的
本作のジャンルはホラーアドベンチャーゲームとなっており、派手なアクション要素はほぼなく、主に探索+謎解き要素で構成されています。
刑事ドラマのように聞き込みや探索で手掛かりを見つけながら、事件の真相に迫っていきます。聞き込み作業は徒労に終わることも多いですが、個性的な登場人物が多いので、聞き込み自体が楽しいです。
現場検証においては、2つのビジョン――“電磁気ビジョン”と“生体ビジョン”――を使い分けて捜査をしていくことになります。
電子機器に反応する“電磁気ビジョン”は、主にパソコンや各種デバイス、さらに体内のインプラントなどに反応します。
死体を調べることで精神世界に入り込むために必要な端子を発見できたり、ロックされた扉を解除するための端末を辿ったりと、“電磁気ビジョン”の用途は実に多彩です。
“生体ビジョン”は、床に残された血痕や傷跡などから情報を得ることができます。肉眼では確認できない微細なものまで発見できるので、例えば重要人物がどこで殺され、どう逃げて血痕を残したかについてくわしく知ることができます。
重要な証拠は肉眼でも怪しい場合があるので、しらみつぶしにビジョンモードを使うよりは、怪しいなと思う場所があったときにピンポイントでビジョンモードへ切り替えるほうがうまいこと探索できる印象でした。
そのほか、戸棚の開け閉めやパソコンやガジェットのチェックなど、捜査でできることはなかなか多いです。こういうアクティベートできる部分(調べられる場所)が多い作品、いいですね。やりがいがあります。
ストーリー進行に関わる有力な証拠は比較的見つけやすい位置にありますが、それ以外の場所からも事件のヒントが得られることがあるので、すみずみまで調査するのがおススメです。
謎解き要素の難易度は、難しすぎず、簡単すぎずでちょうどいい塩梅! ていねいに調査して手掛かりさえ見つければ詰まることは少ないです。
パスワードを見つけたり、隠された扉を見つけたり、機械を動かして扉をこじあけたりと、謎解きのバリエーションはかなり豊富。
一部パスワードでロックがかかった扉は正攻法で行くだけではなくハッキングでも開けることが可能など、ギミックには複数の進め方がある場合もあります。
ただし精神世界においては謎解きの歯応えも少々変わったものになります。不条理な世界ではヒントが少ない場合も多いので、理屈よりは直感的に進めたほうがいい場面も。
精神世界の謎解きでは、赤ん坊の声がしてくるコードの仕掛けが妙に印象的でした。コードを特定の場所に差し込むことで先に進めるものの、一定時間コードからはなれると赤ん坊の泣き声がして初期位置に戻されてしまうというギミックです。こういうの、じわりと来る怖さがあります。
不気味さとロジックのバランスが絶妙で、うまくコードを持ち運んで先に進められたときは達成感だけではなく解放感がありましたね。
探索と謎解きが主になる本作ですが、一部には正体不明の敵から逃げるステルス要素もあります。敵を倒す手段のない、完全なかくれんぼですが、難易度は高くないように感じました。ステルスゲームが苦手な人でも落ち着いてプレイすれば大丈夫なんじゃないかと。
プレイしてみて思ったのは、サイバーパンク的な世界観、そしてにじり寄る恐怖感――上でも書いたように、お化け屋敷のビックリする感じというよりは、心理的なプレッシャーだったり、見てはいけないものを見たりしたような感じ――が好きな人は文句なくオススメ。また、謎解き要素が非常に豊富なので、そうしたアドベンチャーゲームを求める人にもオススメできる作品ですよ。
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Observer: System Redux(ダウンロード版)
- メーカー: NAパブリッシング
- 対応機種: PS5/PS4
- ジャンル: ADV
- 発売日: 2021年7月8日
- 価格: 4,536円+税
Observer: System Redux(パッケージ版)
- メーカー: NAパブリッシング
- 対応機種: PS5/PS4
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- 発売日: 2021年7月8日
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