冒頭から正気度に訴えかけてくる学園伝奇RPG『ディーサイドトロイメライ』先行レビュー
- 文
- 原常樹
- 公開日時
サムザップ・ドリコム・ブシロードによる三社共同新メディアミックスプロジェクト『D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)』のアプリゲームのクローズドβテストが7月29日~8月2日にかけて実施されます。それに先駆けて、本作の先行レビューをお届けします!
どうも、ライターの原常樹です。
突然ですが、みなさんは新しく始めるゲームを選ぶときにどこを見ますか?
ほかのプレイヤーの評判? それともシステム?
……人によっていろいろな意見があるかとは思いますが、僕はその作品の打ち出したコンセプトアートやキービジュアルにすべてを委ねることがあります。コンセプトアートの第一印象をじっくりと味わいつつ、それが実際のゲームではどういう世界観として描かれているのか、それを確認するのがまた楽しいんですよね……。
その点、本作『ディーサイドトロイメライ』のコンセプトアートの美しさには驚嘆しつつ、胸躍らされるものがありました!
古びた民家、荒涼と広がる海という日本人におけるひとつの原風景が描かれているかと思いきや、その背後では光彩を放つ半透明の巨大なクジラが泳いでいる。
この“誰もが知っているノスタルジックな風景×本来はありえない幻想的な風景”という取り合わせには、大いなるロマンを感じます。なんでこんな世界観なのか──と自然と興味を持ってしまいますよね。
紐解いていくと、『ディーサイドトロイメライ』は“夢”がストーリーの核になる作品。こちらのコンセプトアートもそういった夢の世界・トロイメライの光景なんですよね。
この作品において、トロイメライはもうひとつの時空であり、この世界の裏側にある世界。人々は眠りに落ちることによって星辰体(アストラルたい)となり、そちらの世界との間を行き来しているということのようで。
主人公である古堅蘭堂(ふるかたらんどう)がそんなトロイメライに迷い込み、力を呼び起こされたところから物語は進んでいきます。
蘭堂はこの不可思議な世界で異形に襲われることに。なんとか撃退するものの、さらなる怪異に襲われることになり……。
最終的には夢だったという感じで学園から物語は始まるのですが、いきなりホラーゲームに近い鮮烈な展開から始まるというのは驚くものがありました。
直接的なビジュアルで描かれることはないので「ホラーが苦手!」という方も安心して楽しめる作りではあるのですが、描写自体がなかなかに生々しく、本作を幻想文学に分類するならばダークファンタジーの要素が強めなのだろうと予感させてくれます。
それもそのはず、本作のベースになっているのは“クトゥルフ神話”。冒頭から正気度に訴えかけてくるのもまた既定路線ということでしょうか。
オープニングが終わるといよいよ本編。それまでの出来事は“夢”だったということで落ち着き、舞台は現実の由良島へ。
主人公である蘭堂は7年ぶりに東京から故郷の由良島へと戻ってきたばかりでした。現在の彼は現在は海神学園(わだつみがくえん)に通う高校2年生。フレンドリーな亞希、学園で生徒会長を務める周一ら、幼なじみとの縁や、父親との良好とはいえない距離感などが描かれていきます。
しかし、いつまでも平凡な日々が続くわけではありません。クラスに不思議な転校生・天海えるがやってきたことで蘭堂の日常は一変。夜間に不審な行動をとったえるを尾行したことがきっかけで、蘭堂は夢と現実の世界を行き来する“ノッカーアップ”に選ばれることに。
蘭堂がノッカーアップとしての力に目覚めてからは、物語は加速度的に進んでいきます。異形──ウィアードによる現実の侵食によって多くの由良島の住人たちが影響を受けるようになり、蘭堂と幼なじみ・周一との関係性も改善。マスコットキャラクター(?)のトリスもさらっと活躍するようになります。
世界観もだいぶ明瞭になり、新たに“教団”というクトゥルフ神話にはなくてはならないキーワードが登場したところで、今回のバージョンのシナリオはここまで。
最序盤の物語を読むだけでも、“豊かな自然が残る島”を舞台にした“学園モノ”であり、“クトゥルフ神話をベースにした伝奇要素”とアニメやゲーム、ライトノベルなどで普遍的に需要のある要素をこれでもかというとぐらいにちりばめた本シナリオ。さらに“猟奇的な変死事件”や“復讐”といったサスペンス要素の強いキーワードが入ってくるので余計にイメージを掻き立てられます。
平成期には今挙げたようなワードを内包したローファンタジーの名作が媒体問わずに多く生み出されて大勢のファンを魅了してきましたし、令和になった今、これらの要素を黄金比のように組み合わせた作品が登場するというのは、ジャンルの1ファンとしてうれしいものがあります。
ちなみに、ストーリー&キャラクターコンセプト設計を担当したのは、脚本家・シナリオライターの里見直氏。『ペルソナ』シリーズや『カリギュラ』などを手掛けてきた同氏だからこそ、こういったテーマをうまく昇華させてくれるのではないかと期待してしまいます。
そういう意味では安心感のある作品ともいえますし、ゲーム序盤のシナリオは王道色が強くサクサク読めたのですが……その根幹にクトゥルフ神話が絡んでいるとなると、まだいろいろなギミックが施されているに違いないという予感と(いい意味での)不安もあって。いやー、先が気になりますね!
コンセプトアートでも描かれているような、心に訴えかけてくるような郷愁を漂わせながらも、目を凝らすと非日常的で禍々しい世界がこの作品を通してどういう風に広がっていくのかもまた楽しみです。
さて、ここからはRPGとしてのシステムについても見ていきましょう。まずウィアードとの戦闘は、シンプルで戦略性の高い“ターン制コマンドバトル”という形で表現されています。
戦闘に参加できるのは最大4人のノッカーアップ。彼らが1ターンに取れる行動はそれぞれひとつだけなので、そこでどんな行動をとるのかというのがシンプルに結果につながるシステムですね。
通常の攻撃以外に特殊な行動も用意されており、こちらは一度選択すると再使用までに一定のターンが必要になるというリスクがあります。
また、体力の下に表示されている黄色いゲージが100%になると強力なアストラルフォースを繰り出しながら、一定ターン“星辰超過状態(オーバーモード)”という能力が上昇した状態にチェンジすることができます。
強力な攻撃を繰り出すのは味方だけではなく、敵のウィアードも一定のターンごとに強力な攻撃を仕掛けてきます。代わりに、一定量のダメージを与えるとダウンさせて行動不能にすることができるので、うまくゲージを調整しながら立ち回ることが大切になりそう。
ちなみに現行のバージョンでは、ノッカーアップには味方に複数のバフを付与する行動が豊富に用意されており、これをうまく使ってウィアードに備えるというスタイルが有効そうでした。
効率を重視する人にとって大切なポイントとして、バトルは“AUTO”で進めることもできます。“フォースのあり/なし”を設定することもできるので、途中から切り替えるような細かい対応もできる仕様になっていました。さらに倍速機能も搭載されているので、周回プレーが必要になったとしてもストレスなく対応できそうです。これはありがたい!
ゲームとしての期待値も高いのですが、本作はメディアミックス作品として7月よりTVアニメ『D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION』(制作:サンジゲン)も放送開始となります。
こちらは東京都の渋谷が舞台で、古堅蘭堂ではなく織田龍平(声優:阿座上洋平)というまったく別のキャラクターを中心としたストーリーが描かれるということで、両作品の因果関係も気になるところ。
みなさんもぜひ、この懐かしくも特異な世界に入り浸ってみてください。
クローズドβテストの応募受付が開始!
電撃オンラインのニュースでも紹介した通り、『ディーサイドトロイメライ』のクローズドβテストが7月29日~8月2日にかけて実施されます。
これにともない、テスト参加者の募集がスタート。応募期間は、6月24日~7月20日となります。
募集人数は、iOS/Android版 各2,500名の計5,000名。当選発表は7月21日となっています。
本作の内容が気になる人は、まずはこちらのクローズドβテストに応募してみてはいかがでしょうか。
©D_CIDE TRAUMEREI PROJECT
©D_CIDE TRAUMEREI ANIME
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