狂気…深淵…名状しがたい恐怖…。『DI』がスクエニ産のクトゥルフ神話大系説(信じようと、信じまいと)

そみん
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 先日、スクウェア・エニックスがTVアニメ・コミック・ゲームの3つのメディアで展開する新プロジェクト『Deep Insanity(ディープインサニティ)』を発表しました。

・関連記事:スクエニの漫画『ディープインサニティ』が10月アニメ&9月ゲーム化。早くも事前登録開始!

 コミック版『ディープインサニティ ニルヴァーナ』は2020年1月から月刊『ビッグガンガン』で連載中で、筆者も愛読してきましたが……今回のゲームやアニメ化で、これまでなんとなく思っていたことを口にしてみたいと思います。

 『ディープインサニティ』って、クトゥルフ神話大系のように、スクウェア・エニックスが恐怖をモチーフに総合的な物語大系を作ろうとしているんじゃないの? と。

狂気…南極…名状しがたくリ分で不当な恐怖…。『ディープインサニティ』がスクエニ産のクトゥルフ神話大系説

 そもそもクトゥルフ神話大系(もしくはクトゥルー神話)とは何かの説明を始めると長くなりすぎるので、詳しく知りたい方はwikiなどネットの海で調べていただければと。

 ここでは、クトゥルフ神話は1920年台に発表されたハワード・フィリップス・ラヴクラフトらの小説を中心としたホラー作品を発端とするもので、のちに多くの人々によって体系・大系化され、架空とは思えないほどしっかりとした世界が形成されていった……という簡単な説明にとどめさせていただきます。

 まあ、今やクトゥルフ神話は非常にメジャーで、ゲームにアニメに小説に漫画と、さまざまな作品でモチーフにされているので、知らない人のほうが少ないとも思いますけど。筆者は中学~高校時代に創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』を読みふけり、テーブルトークRPGのシナリオに生かしていました。
(アザトース、インスマス/インスマウスとかヨグ=ソトース、這い寄る混沌ことナイアルラトホテップ/ニャルラトホテプとか、聞き覚えありますよね?)

 個人的にクトゥルフ神話は、宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)と呼ばれる根源的な恐怖が描かれるホラー作品としての魅力と、ラヴクラフトの手を離れて、シェアードワールドとして今なお世界観が広がり続けている魅力の2軸を中心として大好きなのですが、このへんも語り始めると長くなるので、割愛を。

 さて、というわけで話を戻します。『ディープインサニティ』って、クトゥルフ神話大系のように、スクウェア・エニックスが恐怖をモチーフに総合的な物語大系を作ろうとしているんじゃないの? って話です。

 そもそもコミック版『ディープインサニティ ニルヴァーナ』を呼んだ時にもクトゥルフ神話の気配は感じたんですよね。

 生物や無生物を異形(スカード)へと変貌させる、謎の昏睡病ランドルフ症候群。そして、南極大陸で発見された大穴アサイラム。

  • ▲漫画版のPVからいい感じのシーンを紹介していきます!


 ここでは漫画のネタバレは控えますが、魚のような異形も出てくるし、時空が歪んでいるというか常識が通じない空間である大穴アサイラムの理不尽さとか、わくわくしながら連載を追っています。
(もちろんというか、直接的にきついホラー描写も多々あります……)



 公式な形で『ディープインサニティ』がクトゥルフ神話をオマージュしているとかリスペクトしているとかいう発表はなかったと思いますが、自分としては第1話の時点で、謎の昏睡病ランドルフ症候群……クトゥルフ神話に登場するランドルフ・カーターのことか!? と妄想が止まりませんでした。




 アサイラムは、かの有名なミスカトニック大学があるクトゥルフ神話内の都市アーカムにアーカム・アサイラムなんて施設があったし、それが元ネタなのかなと思いつつ。ただ、アサイラム自体に閉鎖病棟とか避難所とか精神病院とかいろいろな意味があるので、あくまで僕の妄想ですけど。
(『ディープインサニティ』の作品内でも、まだアサイラムという名称がついた理由は明かされていなかったはず)

 そもそもタイトルのインサニティ(狂気)がもう、クトゥルフ神話のテーマを感じさせますよね。ああ、サニティ(正気)が脅かされてSAN値が下がりそう……。

 そんな言葉遊びの妄想もありつつ、何よりもコミック作品内で描かれる「なんだか名状しがたいけど、いや~な感じ」がクトゥルフ神話っぽさを想起させてくれたんですよね。
(最新話近辺の展開とか、とてもいやな感じでナイスです。たたみいわしとか、食べるのがちょっとイヤにさせられました)

 そして今回、ゲームとアニメが発表されました。さっそくPVを見ましたが……特にゲーム版のPVがよい!
(アニメ版のPVはホラーというより、冒険物語のような? まだティザーなので、詳細は不明ですが)

 開始3秒で出てくる「――我らが真に恐るべきものは恐怖それ自体である。名状しがたく理不尽で不当な恐怖――(フランクリン・ローズヴェルト)」の言葉。第二次世界大戦時のアメリカ大統領であるフランクリン・ローズヴェルトのこの言葉は、世界恐慌に向けた鼓舞の言葉と言えますが……明らかに狙ってますよね? 名状しがたい恐怖ですもんね?

  • ▲ゲーム版PVより。音の演出も含めて、不気味な雰囲気が素敵!

 続いて出てくる無数の手。「見てはいけない。知ってはいけない」という思わせぶりな言葉とあわせて、不安感を煽る演出が続きます。

 「求めるのはシンソウか、それともキョウキか。」というキャッチコピーも含めて、いい感じのミステリー+ホラーに仕上がっていそうです!




 余談ですが、公式サイトの先行体験会告知ページの下段には、こっそりゲーム画面が掲載されています。バトルについてはサイドビューで展開するようですね。

  • ▲公式サイトより。RPGということで、仲間ごとの好感度とか特殊エピソードとかもあるといいなあ。

 さておき、時間軸的には漫画版が一番昔で、ついでアニメ、そしてゲームがもっとも時間軸が進んだ状態ということで、ゲーム版が“解決編”的なポジションになるのではないでしょうか。

 ただ、公式サイトを見た感じでは、3つの作品は同じ世界観でありながら、それぞれ独立したテーマや物語になっていそうな気がするんですよね。

 1つの世界観を複数の視点や作品、テーマで描くというシェアードワールド的な展開もまた、自分が『ディープインサニティ』=スクエニ産のクトゥルフ神話大系なんじゃないかと妄想した理由の1つであります。

 3つの『ディープインサニティ』にとどまらず、いろいろな形で本作の世界観=神話大系を広げていくんじゃないかと、筆者は妄想しております。信じようと、信じまいと――。

まとめ:いろいろと置いておいて、ホラー+ミステリ的な作品として『ディープインサニティ』が面白そうということで!

 と、長々と書いておいてなんですが、ぶっちゃけのところ『ディープインサニティ』がクトゥルフ神話っぽいかとか、それをモチーフにしているのかとかは、どうでもいいんですよね。

 一番大事なのは、この『ディープインサニティ』という作品がいい感じにホラーで、いい感じに謎めいていること。特に個人的には、ホラー作品として面白そうなところに注目しています。

 和風ホラー的な“忍び寄る怖さ”も好きですけど、わけがわからない存在に脅かされる恐怖と、深淵に触れた人間たちが異形と化したり精神的に大変になったりと、恐怖に翻弄されるホラーも……好きです。
(漫画版を読む限り、そのへんはいい感じに仕上がっています!)

 みなさんも、『ディープインサニティ』というホラー作品を楽しんでみてはいかがでしょうか?


 9月25日に漫画の単行本が1・2巻同時発売されることを幕開けとし、9月にはゲーム、10月にはアニメが展開予定です。

 漫画版はヒロインというか、主人公の保護者的ポジションの山田が、かっこいいを1周回ってかわいく見てくるところとか、好きです!

 ゲームについては7月2日(金)15時からAndroid端末で先行体験会が行われるので、気になる方はぜひ!


そみん:どんなゲームでも美味しくいただく雑食ゲーマー。しっとりぞわぞわ系のホラーも好きだけど、恐怖を煽るホラーも好き。都市伝説とかSCPもいいですなあ。


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