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『リンクの冒険』リスペクト。横ゲー『フェノトピア』開発者インタビュー【電撃インディー#39】

Ak
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はフライハイワークスが贈るアクションアドベンチャー『フェノトピア』の開発者インタビューをお届けします。

 『フェノトピア』は、村の大人の失踪事件から大冒険へと旅立つ主人公の少女“ゲイル”の活躍を描く2Dサイドビューアクションアドベンチャー。

 壮大なストーリーや世界観のほか、歯応えのあるアクションとバリエーション豊かな謎解き要素、そしてインディーゲームとは思えない圧倒的なボリュームが魅力的な作品です。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

開発者インタビュー:Cape cosmic

――『フェノトピア』の注目点を教えてください。

 農業が盛んな田舎町を離れて、宇宙人に攫われた仲間を探しに大冒険に出る話ですが、色々な街を探索して、ダンジョンに潜って、個性豊かなNPCと会話をして、恐ろしい敵と戦い、時には釣りをする……ちょっと『ゼルダ2』(注:リンクの冒険)に似ているけど、現代要素も取り込んでるゲームです。

――どこか懐かしい、ドット調のグラフィックを採用した理由を聞かせてください。

 ドット絵が大好きなんですよ。NESの時代から『マリオブラザーズ』で遊んでたので、刷り込みでノスタルジアを感じてしまってるのかもしれません。

 それと、ドット絵というのはまだ可能性を秘めてると思うのです。古いコンソールとは違って、今のコンソールは様々な色が出ますから、3Dで陰影を表現できますし、輪郭を縁取る必要もないですし、グラデーションだって細かく設定できます。このゲームでも色々と試してみましたが、この先もピクセルの限界に挑んでいきたいです。

――本作の独創的な世界観について、着想はどこから得たのでしょうか?

 何年も前に、少女が王子を助けるという“逆・おとぎ話”を作ったのがきっかけです。それにどんどん色々な設定を想像して追加していくうちに膨らんでいった感じですね。

 今では先進的なテクノロジーだったり、宇宙人だったり、レーザーガンまで登場してしまってる世界に……。もう少し上手にまとめようとはしています。

――序盤から怒涛の展開を見せる本作のストーリーの見どころを教えてください。

 まず、宇宙人の誘拐からはじまることで掴みは良い気がします。また、ゲームを遊んでるうちに大きな壁が世界を隔てていることにも気づくと思いますが、壁を超えると世界の真実が見えることとか……これ以上はネタばらししたくないので、是非本作を遊んで発見してみてください。

――開発で苦労していたところを教えてください。

 いつ、この質問をされたかでおそらく返答が変わっていたというくらい、大変なことは沢山ありました。一番苦労させられたけど愛おしくもある部分は、やはりそのボリュームでしょうか。『フェノトピア』の世界は700以上の部屋から成り立っています。エンディングまで平均40時間かかりますし、やりこみ要素までコンプリートするなら100時間くらいかかります。

 これほどまでワールドを大きくするのは必然的でした。元は2014年に無料でリリースしたフラッシュゲームなのですが、作り直すことになった時は、もうちょっと大きくして、改善して、見た目もよくしよう、と安易に考えていました。

 ただ、1つ目のダンジョンを作り終えたころには色々とトリックや秘密を組み込んで、作りこんでしまって……「初めのダンジョンに負けないくらい、他の部分もクオリティーを上げていかなきゃ」という必要性に迫られたんです。最終的には6年間も費やしてしまいました。色々と勉強になりましたね。

――開発をするうえで、特に気を付けている点などを教えてください。

 できるだけ生き生きとしたリアリティのある世界観を心がけて作っています。遊んでる間、「これはただのゲームだ」と意識されないように。キャラクターも徹底して管理してますし、家を作る時だって住んでる人の数に合わせてベッドを配置しています。

 唯一、非現実的だけどこの世界には含めないでおこう、と皆で決めたのはトイレの存在ですね。この世界のキャラクターは用を足さないので。

――ゲームタイトルにこめた想いを教えてください。

 『フェノトピア』とは未来、足を踏み入れることになるであろう場所の名前です。様々なキャラクターたちがフェノトピアを作るに至るまでの話がある予定だった……のですが、何せストーリーが長いので、第一作目にはまったくその要素を含めることができませんでした。ごめんなさい!

――今後、実現したい野望などありますでしょうか?

 野望は少年漫画の主人公のように(ゲーム制作を)極めることな気がします。今はまだヒヨッコですが。いつか、最高のゲームを作れる人になりたいです。

――ゲームの開発に携わることになったきっかけについて教えてください。

 大学にいた頃はコンピューターサイエンス専攻だったんですが、これがまったくうまくいってなくて。下位15%内にいたんじゃないですかね。それもあって大学3年になっても、どこもインターンとしてとってくれなかったんですよ。

 それで、これはなんとかしないといけないと危機感を感じて、家に帰って猛勉強し始めました。まずはフラッシュについての教本から手に取ったのですが、その理由は「ゲームにかかわるものなら興味を失うことなく勉強を続けられそう」だと思ったからです。思惑通り、うまくいきました!

――ここ数年でもっとも感銘を受けた、おすすめのインディーゲームについて教えてください。(インディーゲームでなくても構いません)

 最近では『ドラゴンクエストXI』ですね。作り手の愛を感じます。やりきった後、すがすがしい気持ちになれるのは、モヤモヤした疑問を残さないからだと思ってます。自分でもゲームを作る時は疑問を残さないように意識しています。

――最後にユーザーに一言お願いします。

 難易度が高いというコメントがいくつも寄せられていることは知っています。実際、作っている最中は『ダークソウル』くらいの難易度を目指して調整していました。だから、初めてこのゲームを目にする人は、かわいいグラフィックに騙されないでぜひ挑戦してみてほしいです。

 それと、コミュニティには感謝しきれません。Twitterでファンアートを見る度、笑みがこぼれます。RTAの方々も、僕なんかより全然、上手にゲームを攻略していて、遊んでいただいている皆さんにはいつも驚かされていて、そういうのを見る度に作りこんでよかった、頑張ってよかったと思えます。

 だから、心の底からありがとう、と伝えたいです。


©Cape Cosmic

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