『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』レビュー。知恵とアイテムを駆使した始まりの物語を楽しめる

MAC佐藤
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 7月16日に発売されるNintendo Switch用ソフト『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』をプレイしたレポートをお届けします。

 Wii版『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』が発売されたのは2011年11月。今からもう10年近く前になるんですね。当時、電撃オンラインの特別企画で、メーカーさんにて一足早くプレイさせてもらってレポートを書いた覚えがあります。6時間のプレイで最初のダンジョン“天望の神殿”をクリアせよ、というなかなか大変なミッションだったのですが、なんとか時間内に終了しました(笑)。

 そして「これは楽しい! 製品版を買って続きをプレイせねば」と、ソフト発売日にゴールドのWiiリモコンプラスが付属している『ゼルダ25周年パック』を購入。さらに、現在は終了してしまった会員サービス“クラブニンテンドー”で、ソフト購入者はポイント割引となるゴールデンヌンチャクも交換……と意気込みは十分だったのですが、その後いろいろ忙しくなり、結局プレイする機会がないまま積みゲーになってしまったという……。

 10年越しとなってしまいましたが、またこうしてプレイできる機会に恵まれたのはとてもありがたいですね。そして今回改めてNintendo Switchで『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』をプレイして、なぜ当時最後までクリアしなかったんだと、いまさらながら反省しております。

 まあ、名作はいつまでたっても名作ということで!


“当たり前”な『ゼルダ』もやっぱりおもしろい!

 本作はWii版をNintendo Switch向けにリメイクした作品で、『HD』という名前のとおり高画質になり、さらにフレームレートが60fpsになって、より美麗かつ滑らかな映像になりました。ゲーム内容はWii版と大きな違いはないのですが、ボタン操作に対応していたり、amiiboを使えたりといった新要素があります。

 ゲームの流れは、ストーリーに沿ってフィールド&ダンジョンをめぐり、仕掛けを解きながら探索を進めます。アイテムを入手することでどんどん新しい場所へ進めるようになるという、謎解きに重点が置かれた伝統的な形式の『ゼルダ』です。

 2017年に発売された『ブレス オブ ザ ワイルド』は、“『ゼルダ』の当たり前を見直す”というコンセプトで、この流れも見直されていました。フィールドはオープンエアーでほとんどの場所に移動可能、ストーリーは用意されているが決められた道筋はない、謎解き要素はあるが解き方の手順が1つではないものも多いなど、いわゆる『ゼルダ』シリーズのお約束の数々が見直されており、探索の自由度がとてつもなく高くなっています。

 これまでのシリーズとは異なる新しい世界とシステムを築き上げた『ブレス オブ ザ ワイルド』はまさに革新的で、『ゼルダ』ファンだけでなく、シリーズを遊んだことのないプレイヤーを魅了しました。

 とはいえ、自分のようなオールドファンには、いつもの『ゼルダ』も遊びたいなという思いがあります。

 本作をプレイして感じたのは、当たり前の『ゼルダ』もやはりいいものだなと。いろいろと悩みながら試行錯誤して、うまく謎を解けた時の達成感がまた格別なんですよね。少しずつ行けるようになる場所が増えていくのは、自由に探索できることとはまた違ったおもしろさがあります。

 謎解きに関しては、これまでとは違うタイプのものも多くて、シリーズ経験者でも悩むことも。この目玉のようなスイッチがついている扉の開け方は「そう来たか!」という感じです。それだけに、解けた時は本当にうれしかったですね。

リンクとの一体感を味わえる体感操作が気持ちいい!

 本作最大の特徴といえるのが、Joy-Con2本持ちによる体感操作です。Wii版では、Wiiリモコンプラスとヌンチャクを使って操作しましたが、本作ではそれをJoy-Con2本持ちによって再現しています。

 剣や盾、アイテムなどを使ったアクションを、両手のJoy-Conを動かすことで直感的に行えます。剣は右のJoy-Conを振る方向に合わせて、縦斬り、横斬り、斜め斬りと変化。Joy-Conを前に突き出すと突き、2本同時に振ると回転斬りとなります。

 敵との戦闘は、単に斬りつけるだけでなく、ガードの反対方向から斬る、弱点を守るもののすき間から斬るなど、奥深い駆け引きを楽しめるようになっています。Wii版『トワイライトプリンセス』でも、Wiiリモコンを振るとリンクが剣を振るという要素はありましたが、『スカイウォードソード』ではそれがさらに進化した感じです。

 敵の状態をしっかり観察して、斬る方向を見極めて攻撃。この植物のような敵は、口が開いている方向(この写真の場合は横)に斬ればダメージを与えられます。敵との戦闘も、ちょっとした謎解きのような感覚で楽しめます。

 最初のうちは違う方向に剣を振ってしまったり、思うように狙えなかったりと、もどかしく感じることもあるかもしれませんが、慣れてくるとリンクと一体になったような感覚を味わえて、とても気持ちいいです。

 ちなみにJoy-Conを振っている方向に剣を振ってくれないという時は、ジャイロがずれていることが多いので、こまめにYボタンでジャイロリセットするように心がけると、快適に操作できるようになると思います。

 ゲームが進むと敵がだんだん強くなってきて、やみくもに剣を振ってもガードされて手痛い反撃をくらうことが多くなってきます。ガードの堅い敵に対して有効なのが盾アタック。盾は左のJoy-Conを振ることで構えることができ、盾を構えている間は敵からの攻撃を防ぐことができます。

 普通に防いだ時は盾の耐久力が減ってしまうのですが、敵の攻撃に合わせてタイミングよく盾を構えることで盾アタックとなり、耐久力が減らないうえに攻撃を弾き返してスキを作り出すことができるのです。『ブレス オブ ザ ワイルド』のガードジャストのような感じですね。タイミング的にはそれほどシビアではないので、敵の攻撃の予備動作を覚えれば簡単に狙えると思います。難しければ、左のJoy-Conを振りまくるというのもアリです(笑)。

 強敵との戦いでは、相手の攻撃を待って盾アタックを決めたあとに反撃するのがオススメ。攻撃直前の予備動作から、実際に攻撃が繰り出されるまでの時間は敵によってまちまちなので、タイミングをしっかり覚えましょう。

 体感操作はキャラクターとの一体感が味わえる一方、通常の操作よりプレイヤー自身の動作が多くなってしまうという面があります。Wii版の時は、Wiiリモコンプラスで長時間プレイしていると結構腕が疲れたのですが、Joy-Conは軽いので疲れを感じないというのもありがたいポイントですね。

 ちなみに各コントローラーの重さは、Wiiリモコンプラスは単三電池2本込みで約140g、Joy-Conは約50gとなっています。単三電池2本だけの重さと、Joy-Conの重さがほぼ同じなんですね。Joy-Conに慣れた今、Wiiリモコンプラスを持ってみると、だいぶ重く感じます。

 本作では、Wii版にはなかった“ボタンオンリー操作”が追加され、剣の操作をRスティックの弾き入力で行うことが可能になりました。斬りたい方向にスティックを弾くことで剣を振るという、新たな操作感覚で楽しめます。これにより、携帯モードやNintendo Switch Liteでもプレイできるほか、Joy-Conを振る“モーション操作”が苦手という人でも気兼ねなくプレイできるようになりました。

 ボタン操作だと、縦、横、斜め方向の斬りはほぼ確実に狙った方向に出せるのが大きなメリット。その代わり、回転斬りはコマンド入力で、スティックを左、右、左と素早く入力することになるので、少々出しづらくなってしまいます。

 自分のプレイスタイルに合わせて操作方法を選べるのはうれしいですね。ただ、個人的には直感的に遊べるモーション操作をオススメしたいです。

大空と大地を舞台に、魅力あふれる人物たちが“はじまりの物語”を盛り上げる!

 本作では、天空に浮かぶ島“スカイロフト”で暮らすリンクが、竜巻に襲われて雲の下に落ちてしまったゼルダを探すため、広い大空と雲の下の大地を行き来するという壮大な冒険が展開します。

 大空には冒険の拠点となるスカイロフトに加えて、ところどころに浮島が点在。ロフトバードに乗ることで大空を飛び回って探索することができ、浮島に降り立つことも可能です。

 大地には大きく分けて“フィローネの森”、“オルディン火山”、“ラネール砂漠”の3つの地方が存在。自然豊かで多彩なフィールドが広がっていて、各地には謎多きダンジョンも待ち受けています。

 ちなみに、大地にいる時は通常は鳥のモニュメント(セーブポイント)からしか大空に帰れませんが、amiibo『ゼルダ&ロフトバート』を使うことで、どこにいても大空に帰れます。その後、再び空でamiiboを使えば、大地の元いた場所へすぐに戻ることができます。ダンジョン内にいる時でも使うことができ、すぐに大空に帰ることが可能。大地と大空の行き来がとてもスムーズになります。

 大地のフィールドやダンジョンを探索中にアイテムがなくなった時に、スカイロフトのショップに戻って補充してすぐに戻るといった使い方ができます。

 冒険を進めていく中で、リンクはさまざまな人物と出会います。女神の剣に宿る精霊で、リンクの冒険のサポートをしてくれるファイ。自らを魔族長と名乗り、行く先々でリンクの前に立ちふさがるギラヒム。大地でゼルダとともに行動する謎の女性インパといった個性豊かで魅力的なキャラクターが登場し、物語を盛り上げます。

 あと、最初のうちはリンクのことを目の敵にしている同級生のバドですが、ある出来事をきっかけに変わっていくさまにも注目ですね(笑)。

 ハイラル王国の王女ではなく、リンクとともにスカイロフトで育った幼なじみとして登場するゼルダ。ハイラル王国建国前の時代なので、当然といえば当然ですが。冒険を進めていくと、彼女の秘密も明らかに……。

 『スカイウォードソード』は、『ゼルダ』シリーズの時系列で最古の時代を描いた作品となります。シリーズでおなじみとなっているマスターソード、ゼルダ姫、トライフォース、ハイラル王国といった起源に関するエピソードが明かされます。

 『ゼルダ』の世界の始まりが紐解かれる重要な位置づけとなる作品で、ストーリー的にも見どころが盛りだくさん。Wii版を未プレイの人は、この機会にぜひ自分の目で確かめてほしいです。

 また、『ブレス オブ ザ ワイルド』で『ゼルダ』初体験だったという人は、謎解きをはじめ戸惑うことがあるかもしれませんが、本作を手始めに伝統的な『ゼルダ』もぜひ楽しんでもらいたいなと思います。


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