神話死にゲー攻略のカギは…スキルカスタマイズ! コアゲーマー向けRPG『スサノオ』レビュー【電撃インディー#49】
- 文
- 紅葉つかさ
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はメビウスから、7月29日に発売予定のNintendo Switch用ソフト『スサノオ~日本神話RPG~』の感想や見どころをお届けします。
本作は、古代日本を舞台にスサノオやアマテラスを始めとした日本神話のキャラクターが冒険するRPGです。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
100年の眠りからスサノオが目を覚ますと……?
本作のストーリーは、100年にわたって眠りについていたスサノオが、高天原(たかまがはら)から使者が来たことをきっかけに目を覚ましたところから始まります。
スサノオはなぜ、眠りについていたのか……公式サイトで、そこに至るまでの物語が紹介されています。
物語
古代日本を舞台に荒神スサノオの新たな物語が幕を開ける
アマテラスの弟“スサノオ”は、傍若無人なふるまいで高天原(たかまがはら)を追放された。
しかし、追放先の芦原中津国(あしはらなかつくに)では、ヤマタノオロチを退治し、いけにえとなるところだった少女“クシナダ”を助けるなど、英雄神としての片鱗を見せていた。
スサノオはクシナダを妻とし、出雲国を統治し、大いに繁栄させると、役目を終え永き眠りについた。
そして100年の月日が過ぎ、スサノオを永き眠りから起こす使者が、高天原からやってくる……
※公式サイトより引用
スサノオの話として有名なヤマタノオロチの退治は、ゲーム本編よりも昔の話。彼は国造りを息子に任せて、眠りについていたようです(まさか飽きてしまったとは……)。
しかし、スサノオの息子であるオオクニヌシがいなくなってしまい、国譲りができなくなってしまいました。そこで、スサノオたちがオオクニヌシを探しに行くという形で、日本神話から分岐した物語が本作では展開されます。
日本神話、というと話が複雑だったり言葉が難しい印象もありましたが、登場するキャラクターたちはそれらを吹き飛ばしてくれるようなイキイキとした会話を見せてくれます。
筆者は、スサノオという名前は知っていても、日本神話について詳しくは分からない状態でした。なので、これからどんな展開になるのか、どんな神が登場するのか、非常に楽しみにしながらプレイすることができました。
新しいキャラクターが登場したときに、モチーフになっている神を知っていると「名前は聞いたことある!」とテンションが上がりますし、知らなかったとしても「こんな神がいるんだなあ」と、学ぶこともできるのがいいですね。
罠だらけのダンジョンを踏破
そんな『スサノオ』のストーリーを進めるには、ダンジョンを攻略していくことになります。
ダンジョンはいくつかのエリアで構成されています。最奥にいるボスを倒すことでクリアとなり、ストーリーが進んでいくスタンダードな仕組みです。
ただし、ダンジョンは最初は暗闇に閉ざされています。「闇を照らしながら進めスサノオ!」と公式サイトにある通り、進んだところの周囲(マス)が少しずつ明るくなるので、確認しながら探索を進めていく流れになります。
初めは自身の周囲2マスほどしか表示されておらず、右と左どちらへ進めばいいのかも分かりません。完全な手探り状態です。
目の前の暗闇から強敵が現れることもありますが、移動の性質を活かして回避することも可能。ほどよい緊張感があり「この先に何があるのだろう?」と、探索を進めるのが楽しくなります。
一度通ったマスや近くまでいって表示されたマスはマップに自動で記録されるので、少しずつダンジョンを調べながら進める必要があります。
また、近くまで行ってマスが表示されても、見えている範囲と隣接しているわけではないことも。今立っているすぐ隣のマスにアイテムがあったり、罠があったとしても、時には隣のフロアから回ってこないと辿り着けないパターンもあります。
宝箱が置いてあると「と、取りたい……!」となりますし、罠が見えると逆に「あの先に何かあるぞ!」と感じます。踏破率を埋めたくなりますね。
もちろん、ダンジョンでは途中で魔物が現れて、スサノオたちに襲いかかってきます。本作では、ランダムエンカウントとシンボルエンカウントの両方が採用されています。
最も多く経験することになるのが、ダンジョンを歩いていると確率で発生するランダムエンカウントになり、これが雑魚戦です。
一方、シンボルエンカウントは、ダンジョンに挑戦した時点では勝つことが難しい強力な魔物が登場する、といった違いがあります。
シンボルエンカウントが発生するシンボルは、スサノオたちがダンジョンで1マス歩くごとに1マス移動します。歩くルートは決まっているので、上述したように、移動ルートを把握していれば戦いを回避するのは難しくありません。
また、シンボルに近づくと音が鳴って操作していても止まるので、見えていないところからシンボルが急に現れて戦闘になるといったことも避けられます。
プレイ中は、まだマップに表示されていないところから急にシンボルが現れて戦闘になりかけることが何度もあったので、このシステムは非常に助かりました。
ランダムエンカウントはダンジョンを移動していると発生しますが、移動しているとだんだん発生率が高くなっていきます。
これは、画面左下にある水晶のようなものの色で確認できます。青色→黄色→赤色の順番でランダムエンカウントの発生率が高くなっていきます。
青色だと戦闘になることがほとんどなく、一度戦闘を挟めば、色は青色に戻るので連続で戦闘になることが少なく、ダンジョンの探索に集中できます。
また、この水晶のようなものの横には“生命力”というゲージがあり、これもダンジョンを移動しているとだんだん減っていきます。
この“生命力”はかなり大事なもので、ダンジョンの攻略に大きな影響を与えます。
というのも、“生命力”が減ると戦闘時の能力が減少するというもので、ゲージが無くなっていると能力が半減してしまうこともあるので、気を付ける必要があります。
アイテムを使ったり、拠点となる“出雲の社”に戻れば回復させられるので、ゲージが少なくなったときはいったんダンジョンから脱出したほうがいいかもしれませんね。
戦闘を有利にするには敵の弱点を狙うこと
戦闘ではターン制のコマンドバトルを採用しており、敵味方の速度が速い順番に行動していきます。オーソドックスなシステムではありますが、本作ならではの“手応え”をここで感じることができます。
ダンジョンにひそむ敵を相手にするスサノオたち。その際に重要になるのが弱点です。
魔物には、炎や闇といった弱点耐性と毒や睡眠といった弱点状態異常が設定されています。
弱点の属性で攻撃するとダメージが2倍になったり、高い確率で状態異常にできるので、これらを意識することが、スサノオの旅をよりスムーズに進めるコツになります。
もちろん、敵だけではなく味方にも同じ条件が当てはまるので注意しておきたいです。
もちろん弱点がわかっていても、弱点で攻撃できなければ意味がありません。そこで、重要になるのが事前の準備です。
本作では“神力”という、いわゆる“スキル”に該当するものが要となっています。
所持しているポイント内であれば、自由に習得できます。隣接するものが習得可能になるので、どの方向に進めるか、考えつつキャラクターたちの個性を活かしたいところです。
そしてそれだけではなく、本作ではこの振り直しが何度でも行えます。そこが攻略のカギを握っている、と言っても過言ではありません。
振り直しをするときにアイテムが必要になるということはなく、気軽に組み換えが行えます。ひとまず習得して、いろいろなスキルを試してみるということも簡単にできますし、状況によってカスタマイズを考え、試行錯誤してダンジョンを突破する、という深みが味わえる部分になっているのです。
たとえば、炎が弱点の魔物が多いダンジョンでは、炎で攻撃できるスキルを習得。強力な攻撃をしてくる魔物が多いダンジョンでは、回復やダメージを軽減できるスキルを習得……と、状況に応じて対応しやすくなっています。
これらのスキルをうまく使うことが、戦闘を有利にするポイントですが、それでも行動順などによっては劣勢な状況になることもあります。
そんな状況で一発逆転の切り札となるのがキャラクターごとに設定されている奥義です。これはスキルと違って変えることはできませんが、非常に強力な効果を持っています。
奥義は、キャラクターが行動したときに一定確率で使用できるようになります。
奥義は、決められたターン以内に使用しないと使えなくなるという制限がありますが、弱点を攻撃するよりも高いダメージを出したり、味方の蘇生・全体回復など、一気に状況を逆転させられる効果を持っています。
これらのスキルや奥義をうまく使っても敵が強く、進めないこともあります。そんな時は、キャラクターの能力に影響する武器や装備品を見直してみましょう。
キャラクターは、武器と腕、胴、脚の3か所に装備することができます。武器はダメージに直結する攻撃力を上げられます。
腕、胴、脚には2種類まで装備できるのですが、ここの自由度も非常に高いものになっています。というのも、同じ名前の装備でも腕、胴、脚のどこに装備するのかによって発揮される効果が違っているのです。
おもに腕は攻撃力、胴は防御力、脚はそれ以外の効果を持っていることが多いです。この効果を考えて、長所を伸ばすのか、短所を克服するのかはプレイする人のスタイルによって決まりますね。
また、同名のアイテムは同じ個所に最大で4個まで装備でき、装備する個数が多いほど効果が高くなるので、ここでも1人を集中して強化するか、まんべんなく強化するのかも選べます。
ただし、同じ色のアイテムを腕に2種類装備させるということはできないようになっています。
ほかにも、戦闘時の隊列もこちらで設定できます。隊列と配置する場所によって、キャラクターの能力や敵からの狙われやすさが変わるので、スキルだけではなく、装備品や隊列まで考えてみると、効率よくダンジョンの探索を進めることができました。
プレイする人によってスタイルが変わるダンジョン探索RPG
筆者はマップを隅々まで探索したい性格なので、探索率を100%にしてからダンジョンをクリアしました。が、寄り道はせずにできるだけ最短ルートでクリアを目指す、といった楽しみ方もできます。
ダンジョンの探索方法だけではなく、戦闘でも神力(スキル)の習得や装備・隊列など、プレイする人がどういった要素を重要視するかによってかなり手応えが変わってくるので、いろいろなプレイヤーが楽しめると思います。
これらの要素が絡み合い、ゲーム自体のボリュームもだいぶ多いように感じました。RPGとして、遊び心が十分にある作品になっています。
ちなみに序盤はわりとヌルゲーと感じる部分もありますが、それはあくまでチュートリアルの延長で……パーティメンバーが増えてきてからが本作の真骨頂! プレイ時間が10時間を超えてくると難易度も上がっていき、神力(スキル)によるカスタマイズの重要性が上がっていきます。
ゴリ押しでのクリアが難しいからこそ、コアゲーマーにとっては楽しいRPGとなっています。油断して負けても、その悔しさをバネに再挑戦することに楽しみを感じられるタイプの方は、ぜひプレイを!
©Hachikumasoft.Published by mebius.
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