『新すばせか』レビュー! 14年経っても色あせない“渋谷”愛あふれるアクションRPGが想像以上にすばらしかった

スズタク
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 スクウェア・エニックスより7月27日に発売されるSwitch/PS4/PC(Epic Games Store ※PC版は2021年夏発売予定)用アクションRPG『新すばらしきこのせかい』。本記事では、そのレビューをお届けします。

 本作は、2007年にDSで発売された『すばらしきこのせかい』の続編。じつに14年ぶりとなる新作であり、3Dで再現された渋谷の街を舞台に、新たな主人公・リンドウが謎に満ちた“死神のゲーム”に挑みます。

 この記事では、そんな『新すばらしきこのせかい』を第1週7日目までプレイしたレビューをお届け。発売を迎えた本作が気になっている人は、ぜひチェックしてください。なお、遊んだのはPS4版となります。

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プレイしたらきっと渋谷の街に行きたくなる

 魅力的な世界観や尖ったゲーム性で、国内外問わず多くのファンを生み出した前作『すばらしきこのせかい』。その続編ということで、タイトル発表時から『新すばらしきこのせかい』に期待していたファンはたくさんいたでしょう。

 とはいえ、14年の歳月はかなりのもの。長い年月をへての続編登場なので、1作目の雰囲気やゲーム性を本作が引き継げているか心配だった人もいたと思います。

 世界観の継承は、ある意味『新すばらしきこのせかい』で一番重要なポイントでしたが、プレイを初めてすぐにその不安は払拭されました。渋谷の建物の特徴をよく押さえた再現、雑多な人波、個性的な店員たち、バックで流れる石元丈晴さんの音楽……。「そうそう、『すばせか』といえばコレだよね!」とファンが感じる要素がしっかり詰め込まれていました。

 長い歳月を挟んでもここまで“『すばらしきこのせかい』らしさ”を表現できたのは、主要スタッフが前作から変わっていないおかげだと思います。前作から違和感なくゲームに入り込めるのは、本作の大きな評価ポイントですね。

 渋谷の街を題材にした本作は、そこに住まう人たちも個性的で、とくにショップの店員は要注目です。1人ひとりキャラクターデザインが凝っているだけでなく、性格や生い立ちなどの設定も練られており、意外な人間関係が明らかになることも! “キャラクターボード”でこれらの情報をチェックするのが、けっこう楽しかったりします。

 『すばらしきこのせかい』を遊ぶと現実の渋谷をめぐりたくなる気持ちになりましたが、それは本作でも同じです。見覚えのある街並みを練り歩き、店員さんと徐々に仲良くなる過程を積み重ねると、いつの間にかゲーム内の渋谷も現実の渋谷もたまらなく好きになります。『新すばらしきこのせかい』をクリアした際は、渋谷めぐりをしたくてウズウズしていると思います。

想像以上に存在感が濃ゆい女子“ナギ”

 ストーリーについてはネタバレ防止のためほぼ語れませんが、ストーリーを彩るキャラクターは今回も全員魅力的です。なかでも、個人的に注目したのは主人公たち“ツイスターズ”のメンバーであるナギ。配信中の無料体験版ではリンドウ、フレット、ミナミモトまでが登場していて、ツイスターズのなかではナギだけ姿を見られなかったこともあり、自然と期待が高まっていました。

 トレーラーで初めて見たときから印象に残っていたナギですが、ゲーム内ではより強烈な個性を見せつけます。リンドウに対しては比較的フラットに、フレットにはひたすらに冷ややかに、推しキャラクターに似ているという理由でミナミモトには熱い視線を注ぐなど、会話中の態度がコロコロ変わるのが見ものです。あと、顔芸がおもしろい(笑)。

 見た目からしてバリバリのThe・オタク女子であるナギは、セリフにもオタク的な用語やノリが多く、理解している人ならニヤリとすることうけあいです。戦闘中のボイスも個性的で、急に奇声を上げたときは思わず吹き出しそうになりました。

 また、ナギは固有サイキック“ダイブ”で人にとりついたノイズを祓うことができるのですが、このダイブバトルでCPを集めると、プレイを快適にするさまざまなスキルを獲得できます(CPはほかにも入手方法あり)。ゲームを進めれば進めるほど、ありがたさからナギ先輩には頭が上がらなくなりました。

前作とは違うベクトルで脳が忙しくなるバトル!

 『すばらしきこのせかい』といえば、DSの2画面やタッチペンなどの機能を存分に生かしたバトルも特徴の1つでした。ハードが変わった『新すばらしきこのせかい』では、前作ほど複雑で尖ったシステムではありませんが、ユニークなバトルが味わえます。

 本作では、サイキック能力を秘めたバッジを装備することで攻撃が可能。バッジにはそれぞれ発動ボタンが設定されており、パーティ内で発動ボタンが被らないようにバッジを装備させる必要があります。例えば、リンドウに△ボタンで発動するバッジを装備させたら、ほかのキャラクターには□やR1ボタンで使うバッジを装備させる、といった具合です。ゲームを進めると、パーティ内で同一ボタンのバッジも装備可能になります。

 そして、バトル中は各ボタンを押すことでバッジを装備したキャラクターが攻撃します。攻撃するごとにバッジのエネルギーが減り、完全になくなるとリブート状態になって一定時間使用不可になります。

 ここまではそれほど複雑な仕組みではありませんが、本作のバトルを奥深くしているのが“シンクロコンボ”のシステムです。バッジ使用時に、コンボフィニッシュを当てたり敵を吹き飛ばしたりすると、敵にシンクロゲージのアイコンが表示。このアイコンのゲージが消える前に別のキャラクターが技を当てると、コンボが成立してシンクロ率が上がります。

 シンクロ率が一定値以上になると強力なマッシュアップバッジが使用可能になり、敵に大ダメージを与えるチャンスに! 強敵とのバトルでは、シンクロコンボを意識することが求められるわけです。

 単にバッジを1つずつ使っていく戦い方ならカンタンですが、シンクロコンボを決めるとなると話はまったく別。各バッジの射程やシンクロゲージ表示条件を頭に入れ、敵との位置取りやバッジのエネルギーを管理しながら動かす必要があります。コンボを1回決めるだけならわりとラクなものの、2回、3回と続けて成功させるのは至難の業です。

 苦労するだけあり、シンクロコンボが決まるとエフェクトや効果音もあいまって爽快感が格別。テンポよくシンクロコンボが成功すればマッシュアップバッジでサクッと敵を倒せ、バトルリザルトでも高評価を得られていいことづくめです。

 前作はタッチペンでネク、ボタンでパートナーを同時に動かすという頭が混乱しそうなバトルでしたが、今回も違うベクトルで脳が忙しくなるバトルになっています。しかし、決して不快な難しさではなく、プレイヤーの上達が如実に感じられる『すばらしきこのせかい』らしいシステムだと感じています。

よく食べ、よく戦う者が渋谷を制する!!

 フードを食べることでキャラクターのパラメータが上昇するシステムは、前作から引き続き健在。本作では、敵を倒してレベルアップしてもHPが上がるだけなので、攻撃力や防御力などを基礎から上げるには食事が必須となります。

 食事をするとその場でパラメータが上がりますが、同時に満腹度も上昇。満腹度が100%を超えると食事できなくなりますが、バトルをこなして消化すれば満腹度が下がり、再びフードを食べることができます。

 このフードシステムとバトルがうまく噛み合っており、食事をする→連戦バトルですぐに消化される→また食事をする、という流れがおもしろくてやめどきに悩むほどでした。食事によるパラメータ上昇は永続なので、まさに“食べるほど強くなる”仕組みなのもいいところです。

 渋谷にはじつに豊富な飲食店がそろっていて、ラーメン屋、スイーツ店、ドリンクショップに甘味処などよりどりみどりです。各フードには食欲をそそるイラストや説明書き、カロリーなども表示されていて本当にお店で注文しているような気分が味わえます。食事を単なる成長システムとして登場させるわけではなく、雰囲気作りまでていねいに行っているのが好印象ですね。

この夏もっとも熱いアクションRPG

 14年たってもシリーズの“らしさ”を失わず、新たなハードで新たなゲーム性を実現した『新すばらしきこのせかい』。作り手の色あせぬ“渋谷”愛があるからこそ、ここまで違和感のない正統続編が生み出せたのだと感じています。

 本編シナリオだけでも大ボリュームで、それ以外にもやり込み要素は豊富です。バッジやファッションなどのコレクション、レポート内のエネミー図鑑、相関図を確認できるキャラクターボード、一風変わったルールの渋谷スクランブルバトルなど、極めようと思ったらかなり長く遊べるかと。

 本作のバトルはパッと見だと魅力が伝わりにくいかもしれませんが、自分の手で動かせば間違いなく楽しめるものなので、気になる人はまず無料体験版で触ってみてほしいです。この夏を一番盛り上げる作品といっても過言ではないので、シリーズファンもそうでない人もぜひ“渋谷”へ飛び込んでください!

※画面は開発中のものです。
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CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA & GEN KOBAYASHI & MIKI YAMASHITA

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新すばらしきこのせかい

  • メーカー:スクウェア・エニックス
  • 対応機種:PS4/Switch/PC
  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売日:2021年7月27日(PC版:2021年夏)
  • 価格:7,480円(税込)※パッケージ版、ダウンロード版ともに

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