この本は素晴らしいビデオゲームになる! 『迷路探偵ピエール』の最高な迷路体験が生まれた背景とは?【電撃インディー#53】
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。迷路探検型ゲーム『迷路探偵ピエール:ラビリンス・シティ』の開発者インタビューをお届けします。
本作は世界的大ヒットの迷路絵本『迷路探偵ピエール』のゲーム化作品です。本記事では『迷路探偵ピエール:ラビリンス・シティ』のクリエイティブ・ディレクターのNoam Roubah氏にお話を伺いました。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
開発者インタビュー:『迷路探偵ピエール』【クリエイティブ・ディレクター】Noam Roubah氏
――本作の注目点を教えてください。
本作の注目点は、手描き風の素晴らしい世界観を生み出す細部にまでこだわったアート、ゲームとしては珍しい物語性のある迷路からの脱出というコンセプト、そして、大人と子どもがそれぞれ、そして一緒に素晴らしい体験ができるゲームを作ろうと試みた事実です。
――本作は絵本の『迷路探偵ピエール』が原作とのことですが、原作となる絵本との出会いを教えてください。
パリの本屋さんで『迷路探偵ピエール』の絵本を見つけたのが始まりでした。その後、家に持ち帰り、午後はずっと子どもたちと遊んでいました。
子どもたちはイラストやかくれんぼの部分、そして迷路をとても気に入り、子どもたちも私も本当に楽しい時間を過ごしました。
次の日、私はこの本を会社に持っていき、「この本は素晴らしいビデオゲームになる!」と、みんなに見せました。
私はすぐにIC4DESIGNのHiroに連絡を取り、この本を読んでとても楽しかったことを伝え、彼らの作品をゲーム化することに同意してもらえるかどうかを尋ねました。
――本作は怪盗Xを捕まえるのが目的ですが、他にはどのようなことができるのでしょうか。
怪盗Xを捕まえることは確かに最大の目的であり、プレイヤーを動かす動機ですが、私たちはプレイヤーが迷路の中をゆっくりと探索し、発見し、キャラクターと会話し、この迷路の旅を楽しむことができるような体験を作りました。プレイヤーは怪盗Xを捕まえるというメインクエストにだけずっと集中する必要はありません。
それに加えて、たくさんのオブジェクト、星、収集物(100個以上)もありますし、各レベルに組み込まれたミニゲームを勝つことで獲得できるトロフィーも10個あります。
――ゲーム内では手書き風イラストが使用されており、原作の絵本に近いものと感じましたが、やはり意識してこのような形にしたのでしょうか。
原作の絵本に近いというか、直接応用し、絵本の原画を使って各レベルを作成しました。そういう意味で、直接的な適応です。
もちろん、いくつか足りない部分のギャップを埋める必要があり、いくつかのアセットは作成しなければなりませんでしたが、方向性は決まっていたので、そのスタイルを再現するだけでした。
私たちは、原画に忠実に、そして敬意を持って作りたいと思っていました。ゲーム用に描かれたものではないので、複雑であったとしても、原画と違うことをするのはいかがなものかと思いました。
どんな種類のアートでもゲームに使うことはできると思います。色々なアートがゲームに使われることで、そのゲームが他のゲームとは違うものになっていくのではないかと思っています。
――キャラクターとの会話も豊富に用意されているようですが、絵本にはない会話はどのように作っていったのでしょうか。
はい、台詞やキャラクターとの会話も多いです! これらの台詞を生み出すために、私たちはHiroやIC4DESIGNの立場に立って考えました。
私たちはつねに「このキャラクターやあのキャラクターを描くとき、彼らは何を考えていたのだろう?」、「これらの背景にはどんなストーリーがあるのだろう?」、「私たちの想像力はどこに向かっているのだろう?」などと、考えながら進めていました。
脚本家のウラジミールには感謝しています。ウラジミールは、大人も子どもも喜ぶような適切なトーンやジョークを見つけ、そしてそれらに合ったすごいアイデアやストーリーを描いてくれました。
――本作でプレイできるパズルもたくさんあるようですがどのようなものがあるのでしょうか。
本作でプレイできるパズルは、私たちが慣れ親しんだパズルではありません。プレイヤーがメインのクエストから一息つけるようなミニゲームもありますが、実際には迷路の仕組みが重要で、道筋を理解し、障害物をどう回避するかを考え、いくつかの物語のパズルや新しい迷路の仕組みを解いていかないと先に進めません。私たちは、この迷路体験のアイデアに、プレイヤーが挑戦しようとしました。
――開発で苦労していたところを教えてください。
まず第1の課題はグラフィックの部分でした。特にゲーム用に描かれたわけではない絵をゲームに適したものにすることです。
ゲームにするつもりはなかったので。第2の課題は、これらの世界に生命を吹き込むことでした。
すべてのものが動いているような感覚を与え、すべてのキャラクターが人生を生きていて、プレイヤーが環境に影響を与えることができるような方法を見つける必要がありました。
――開発をするうえで、特に気を付けている点などを教えてください。
ビデオゲームには、ゲーム性、音楽、ナレーション、アニメーション、プログラミングなど、さまざまな要素があります。
私たちが特に大切にしたのは、これらの要素を組み合わせて錬金術を生み出し、プレイヤーがゲームの流れに沿って楽しみながら、“シームレス”な体験をすることです。
このゲームの音楽は素晴らしく、セリフは参考になるものが多く、とてもおもしろく、アニメーションにはクレイジーなものもあります。
これらはどれも単独では機能しません。私は、チームがこれらすべてを組み合わせて成し遂げたことを非常に誇りに思っていますし、プレイヤーも『迷路探偵ピエール』をプレイすることでそれを実感できると思います。
――今後、実現したい野望などありますでしょうか?
ゲームスタジオとしての私たちの目標の一つは、驚くべきインディーズゲームの体験を、特に若い視聴者に提供し、ビデオゲームの可能性を示すことです。私たちは、ビデオゲームを映画やテレビのような芸術やメディアとして考えています。ビデオゲームを通して伝えられるストーリーはたくさんあるからです!
――ゲームの開発に携わることになったきっかけについて教えてください。
Darjeelingはもともと、12年前に私が共同で設立した制作会社で、ドキュメンタリーやTVアニメなど、さまざまな種類のオーディオビジュアル・コンテンツを制作していました。
――ここ数年でもっとも感銘を受けた、ゲームタイトルを教えてください。
そうですね、ここでは有名なゲームの話はしません。有名なゲームは誰もが知っていて、素晴らしいゲームだからです。最近、『A Short Hike』というインディーズゲームがとても面白く感銘を受けました。これはとても美しく魅力的な島での小さな冒険の物語です。ストーリー(最後までやってみてください!)、世界観、そして時間をかけて没頭できる楽しさがとても気に入りました。
――最後にユーザーに一言お願いします。
好奇心を持って、探索し、新しいゲームに挑戦してください! また、予想外のものを探し、親と一緒に遊んだり、子どもと一緒に遊んだりと、他の人とシェアしながら楽しんでください。
©IC4DESIGN
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