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『わるい王様とりっぱな勇者』大人の荒んだ心に染み入る物語、絵本のような表現が最高【綾那のゲームに夢中】

綾那
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 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第47回をお届けします。

 皆さん、ゲームしてますか?

 今回書かせていただくゲームは、『嘘つき姫と盲目王子』のスタッフが送る絵本シリーズ2作目である『わるい王様とりっぱな勇者』です。

 結論から先に言いますと、日本一ソフトウェアさんの絵本調のゲームが好きな方は“絶対にやるべきな物語”でした。

 そもそも私自身、日本一ソフトウェアさんが作る、絵本のように温かみのあるゲームのファンなので、このゲームが発表された時から「絶対にやる!」と心に決めておりました。

 “これは、いつか君に倒される物語”というキャッチコピーも秀逸。この言葉だけで、胸がギュっとなります。

 主人公は勇者の娘のゆうと、かつて邪悪な魔王として恐れられた王様ドラゴン。子どものゆうが、鍋を被っている姿がとってもキュートです。

 悪い王様が誰で、立派な勇者が誰なのか分かったうえでゲームを始めるのは、最初から犯人を分かったうえで見る刑事物に似ていて、王様とゆう、どちらにも最初から感情移入をしやすいんですよね。設定やキャッチコピーで大まかなストーリーが予想できているので、胸がキユッとなるのです。

 “その時”が来た時、この子はどんな選択をするんだろう……と、ドキドキハラハラしながらページをめくっていくわけです。近藤玲奈さんの優しいナレーションで紡がれるお話は、大人になって荒んだ心に染み入ります。

 昔は悪い魔王だったけれども、ゆうのお父さんである勇者と戦った後に改心した王様ドラゴン。そんな王様ドラゴンがわけあって、勇者の娘のゆうを育てることに。

 少女であるゆうは、王様ドラゴンから毎夜語られる父親の冒険の話を聞き、自らも勇者になりたいと思うようになります。「わたし、魔王を倒すんだ!」と。

「あぁ…、ゆうはきっとなれるよ、立派な勇者に」

 その時が来たのだと、王様ドラゴンは思います。この子を立派な勇者へと育てるのだと。いつか君に倒されることになっても。


 キャラクターもフィールドも戦闘画面もすべてカワイらしい絵本タッチのグラフィックになっています。絵本のページをめくるように戦闘に入るところがお気に入り。

 ゆうを見守るようにして、後ろの方にいる王様ドラゴンがいいですね。まごうことなき親バカ王様なので、愛着がわきます(笑)。

 とくぎ“かえん斬り”をする面では、王様が火を吹いて助けてくれるところがあるなど、どこまでも親バカで微笑ましい王様です。

 フィールド移動がちょっと特徴的で、ゆうのレベルがフィールドに出てくる魔物より高くないと走れないんですよね。そのため、レベルが低いと歩き移動になってしまいます。

 サブクエで同じ道を行ったり来たりすることになるのに、そこそこ長い道を歩いて移動するのは少し大変でしたね。

 戦闘自体は程よい難易度かなと思います。倒さずとも、魔物を見逃してあげることもできます。なんて優しいゆうちゃん!

 しかし気を抜くと、結構ピンチに立たされていることも! カワイらしい見た目の魔物でも舐めてはいけません。回復系のアイテムは、ケチらずにきちんと持っていた方がいいですね。

 サブクエは、ゆうが立派な勇者になるための「ひとだすけ」として存在します。サブクエをクリアするとかなりいい装備をもらえるので、サブクエは積極的にクリアしていましたね。

 トロフィーをもらえるようなシリーズもののサブクエもあるのですが、その中でも私が特に好きなのは“美食家ネイサン”。

 グルメなトカゲ族のネイサンと、その友だちハリネズミのハリーが織りなす物語です。ネイサンが心の底から食べてみたい物を探してくることになる、ゆう。サパサパした性格のネイサンが欲する伝説のグルメとは? そしてそれを欲する理由とは?

 心にじんわりとくるサブストーリーでした。プレイした際には、絶対にやってほしいですね!

 話を進めていくと、3人の仲間に出会えて一緒に冒険できます。私は人間の国のお姫様フローラが好きで、最後までずっと一緒にいました。

 「我儘なお姫様なのかな?」と最初は思いましたが、彼女は芯のあるとても心優しいお姫様。武器の傘を変えると、ちゃんと反映されるので、新傘拾うたびにコロコロ変えてました。

 雪ぎつねのコンコは人間の言葉は話せないけれど、見た目がもうカワイらしい。王様ドラゴンの家来であるサカサは口がうまい三下キャラなんですが、憎めないイイキャラしてます。

 どのキャラクターも味がありますし、彼らの背景が人間臭くて好きです。魔物だけど、彼らも人間のように心を持っているわけですから。

 あと、私的にはゆうが勇者を「パパ」と呼び、王様ドラゴンを「おとうさん」と呼ぶのがとてもいいなと思うんです。本当の父親と、育ての父親のどちらも大切にしている感じが出ていて、ゆうの優しさや心の広さを感じられるんですよね。

 公式サイトのスペシャルコーナーにある、ながべ先生のコラボ漫画が素晴らしいです。特に『嘘つき姫と盲目王子』とのコラボ漫画があったことには感動しました! プレイしたけどまだ読んでいない人がいましたら、ぜひとも読んでみてください。

 画面を見て、グラフィックが気になった人、設定が気になった人はぜひ遊んでみてください。

 それでは今回はこの辺で。

 おしまい!

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