斬新さとレトロさが共存するクランク付き新携帯ゲーム機『Playdate』実機レビュー【ジャイアン鈴木のガジェットキングダム】

ジャイアン鈴木
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 クランク付きの新型携帯ゲーム機「Playdate」の予約が7月30日から開始されました。価格は179ドル(税別、送料別)で、発売日は2021年後半の予定。

 筆者はこの時点で公式サイトで先に予約することをオススメいたします。

 つまり、本製品は“買いの一台”ということです。このあとの実機レビューは、予約してからご覧ください。

  • ▲Panic『Playdate』179ドル(税別、送料別)。バックライトは非搭載で、白黒(1ビット)の反射型液晶を搭載。このとおり直射日光下での視認性は抜群です。
  • ▲コンパクト! 鮮やかイエロー! 可愛さナンバーワンの携帯ゲーム機である点は間違いないです。

 『Playdate』は回転操作が可能なクランクを右側面に装備した携帯ゲーム機。まずはスペックからお伝えしますね。

【主なスペック】
CPU:180MHz Cortex-M7
メモリー(RAM):16MB
L1Cache:32KB
ストレージ(ROM):4GB(Flash)
ディスプレイ:400×240ドット、白黒(1ビット)
サウンド:モノラルスピーカー、コンデンサマイク、ステレオヘッドフォン端子(4極プラグ、TRRS)
ワイヤレス通信:2.4GHz帯IEEE802.11b/g/n、Bluetooth
バッテリー駆動時間:時計表示→最大14日間、ゲームプレイ→8時間
入力:クランク、十字ボタン、Aボタン、Bボタン、スリープボタン、メニューボタン、3軸加速度センサー
サイズ・重量:76×74×9mm・実測約85.6g
パッケージサイズ・重量:実測約200×110×24mm、実測約211.4g

  • ▲本体斜め前。電源オン状態でクランクを出すと「ピロリン」、仕舞うと「ピロ」と音が鳴ります。あら、可愛い。前面には十字ボタン、Aボタン、Bボタン、そして右上にメニューボタンとモノラルスピーカーがあります。
  • ▲本体背面。今回の評価機は最終版のハードウェア。製造国はマレーシアです。
  • ▲本体右側面。右側面にはクランクを装備。左がクランク収納状態、右がクランク取り出し状態です。
  • ▲本体左側面。こちらは特になにも言うことはありません。
  • ▲本体上面(上)と本体下面(下)。上面にはスリープボタン、下面にはコンデンサマイク、ステレオヘッドフォン端子(4極プラグ、TRRS)、USB Type-C端子が配置されています。
  • ▲パッケージには、『Playdate』本体、USB Type-Cケーブル、説明書が同梱されます。
  • ▲説明書には簡単な使い方が記載されています。背面に書かれているのは注意事項です。
  • ▲本体の実測重量は85.6g。でも背面に貼られていたメディア向けの大きなシールのせいで、ちょっと重くなっているかも。
  • ▲今回のパッケージは最終仕様ではないので写真公開、ビデオ公開、インプレッションが許されていません。というわけで、サイズと重量だけ計測してみました。パッケージサイズは実測約200×110×24mm、重量は同梱品込みで実測約211.4gです。

クランクにフィードバックはなし、回した感は音で表現

 『Playdate』の存在を知ったときに一番気になったのがクランクのフィーリング。

 高級オーディオのつまみとかって回すだけで気持ちいいじゃないですか? 『Playdate』のクランクにも同様の気持ちよさがあるといいな~と思っていたのですが、この点だけは予想と違っていました。

 回転は実にスムーズで、耐久性も高そうですが、ラチェットレンチやロータリースイッチのようなカチカチといった感触はありません。

 ただ、プリインストールされているゲームを数本プレイして、その理由に気づきました。ゲーム中でなにを回すかによって、異なるフィードバックが必要なんですよね。

 クランクに物理的なフィードバックを与える機構を組み込んでしまうと、ゲームによってはそれがジャマになります。そこで『Playdate』では回した感をさまざまな音で表現しているわけです。

  • ▲クランク自体にフィードバックはありません。この仕様自体には納得ですが、スマホに搭載されているような小型バイブレーターでフィードバックを演出してほしかったなーと個人的には思います。
  • ▲マグネットビューワーを『Playdate』の上に置いてみると、スピーカーの下、クランクの根本に磁力を確認できます。磁石を使った回転角を検知するセンサーが組み込まれているはずです。

 400×240ドット、白黒(1ビット)の反射型液晶ディスプレイの視認性は良好です。特に屋外ではびっくりするほど綺麗。直射日光下ではスマホとは別次元の見やすさです。

 室内でも照明を点けていればクッキリと鮮やかに見えます。

 ただし、照明が当たっていないと視認性はガタ落ちしますし、視野角も広くはありません。とはいえ、身体を少しずらして照明が『Playdate』に当たるようにすればハッキリ見えるので、個人的には無問題です。

  • ▲反射型液晶ディスプレイだと屋外での撮影がラクチン。
  • ▲400×240ドット、白黒(1ビット)ということで階調表現すら使えないわけですが、“神ドット絵師”の『Playdate』への参加に期待したいところです。

 『Playdate』を試用して、いい意味で予想外だったのはモノラルスピーカーの音のよさ。

 3つ前の写真を合わせて見ていただきたいのですが、かなり大きめのスピーカーが搭載されているようです。

 クランクを回したときのフィードバックとしての音も、この高音質&大音量なスピーカーだからこそ回した感を得られるのだと思います。

 ただし、ゲームによってはBGMが音割れすることがありました。ボリュームは11段階で調節できるのですが、ゲームによっては8~9段階ぐらいに留めておいたほうがよいかもしれません。ひょっとしたらゲームメーカーが発売前に調節するかもしれませんけども。

  • ▲小さいながらも高音質を予感させるスピーカーデザインです。

 一応、『Playdate』の発熱をチェックしてみました。

 クランクを使用するゲームを5分ほどプレイしたあとで、サーモグラフィカメラで撮影したところ、前面は最大32.5℃、背面は最大34.7℃となりました(室温28.7℃で測定)。

 計測しておいてなんですが、これはおそらく筆者の体温が移っただけですね。

 Panicは『Playdate』のCPUを“元気いっぱいな小型プロセッサ”と表現していますが、180MHz Cortex-M7はフル稼働時でも発熱量は低めと考えてよいでしょう。

  • ▲前面の最大温度は32.5℃。
  • ▲背面の最大温度は34.7℃。

Playdateには24本のゲームソフトが毎週2本ずつ無料で降ってくる

 すっかりお伝えするのを忘れていましたが、『Playdate』はこれまでのゲーム機とは異なる方法でゲームソフトを提供する予定。

 セットアップすると毎週2本のゲームが届くという仕様になっています。12週間続けて提供される24タイトルはすべて無料です。

 このシーズン1とは別に異なるゲームのリリースも予定されていますが、現時点では新シーズンがどのように配信されるか発表されていません。無料なのか、有料なのかも含めて。

 ただ無料でダウンロード可能なSDK(ソフトウェアデベロッパーズキット)が近日公開される予定となっており、誰でもPlaydateのゲームを作れるようになります。

 ブラウザー版の開発環境も用意されるとのこと。これまでのアプリストアの例で言えば無料ゲームも提供される可能性が高いでしょう。

  • ▲これが『Playdate』のシーズン1で提供される24本のゲームソフト。ボリュームはさまざまとのことです。
  • ▲SDK(ソフトウェアデベロッパーズキット)とは別に、ウェブブラウザーだけでゲームを作れる環境“Pulp”も用意されます。この“Pulp”では『Playdate』に直接ゲームをインストール可能です。

実際にPlaydateでゲームをプレイした感想は?

 さて今回の評価機には4本のゲームがプリインストールされていました。今回はそのうちの『Crankin’s Time Travel Adventure』と『Whitewater Wipeout』に絞ってレビューをお届けします。

 『Crankin’s Time Travel Adventure』は時間操作系のアクションゲーム。操作はクランクのみで行ない、クランクを順回しすると主人公のゼンマイロボットの行動が進んでいき、逆回しすると行動が戻っていきます。

 本作でユニークなアイデアが、自キャラを攻撃してくる蝶や鳥、猪などの敵キャラの時間は止まらないこと。つまり敵キャラを避けられる場所、姿勢に自キャラの行動を導くわけです。

 時間操作系ゲームというと『バレットタイム』的に自キャラだけが速く動けるタイプが多いですが(特にVR系では)、敵キャラが止まらないというのが斬新です。

  • ▲寝過ごした主人公のゼンマイロボットが恋人のもとに急いで向かう……というのが基本のストーリーのようです。でも毎回、厳しい仕打ちを受けます。
  • ▲時間を送ったり、戻したりして、タイミングを合わせて敵キャラの攻撃を避けます。
  • ▲避け方にはいろんなバリエーションがありますよ。

 個人的イチオシなのが『California Games』に収録された『Surfing』を彷彿とさせる『Whitewater Wipeout』。

 クランクでスラロームして加速したり、サーフボードの角度を調節して高く飛んだり、また飛んでいる間にクランクを猛回転して回転技を決めたりと、まさに『Playdate』ならではの操作性に仕上げられています。

 ただ回転技では、クランクの回転数に合わせてスコアが高くなるので、相当クランクを酷使しますね。『Playdate』が壊れないかとちょっと心配。クランクの軸を意識して回転させましょう。

  • ▲サーフボードを下に向けると競技スタート。
  • ▲スラロームを繰り返すとどんどん加速していきます。
  • ▲回転数に応じてスコアが上がっていきます。
  • ▲どんなに高難易度な技を決めても、着水できなければスコアは入りません。

『Playdate』は斬新さ、レトロさが共存する全年齢対応携帯ゲーム機

 今回評価機でプレイできたゲームは4本のみなので、クランクを生かしたゲームがどのぐらいリリースされるのか未知数ですが、個人的には今回ピックアップしてレビューした『Crankin’s Time Travel Adventure』と『Whitewater Wipeout』だけでも十分元が取れると判断しています。

 また開発環境が充実しており、公式ゲーム以外にも多くの作品がリリースされることが期待できます。クランク操作による斬新さ、白黒グラフィックによるレトロさが共存する『Playdate』は、年令問わずゲーマーを惹きつける携帯ゲーム機です。

  • ▲『Playdate』を保護する『Playdate Cover』(29ドル、『Playdate』と同時に予約開始)。
  • ▲『Playdate』を充電できるステレオBluetoothスピーカー『Playdate Stereo Dock』。価格、発売時期は未定です。

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