『モナーク/Monark』インタビュー! “エゴ×狂気”新・学園RPGのキャラはこうして生まれた(so-bin×フリュー林)
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- カワチ
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10月14日発売予定のPS5/PS4/Nintendo Switch用ソフト『モナーク/Monark』。本作は精神を狂わせる謎の霧に包まれ、不思議な力場で外界から遮断されてしまった“新御門学園(しんみかどがくえん)”が舞台の完全新作RPG。
主人公が4人の“バディ(仲間)”とともに学園の異変を解決するため理不尽に抗い、悪魔のちからで戦うという内容です。
ここでは、キャラクターデザインを担当されたso-binさんとプロデユース、ディレクション、シナリオを担当された林風肖さん(フリュー)のインタビューをお届けします。
so-binさんの新しい挑戦だった学園モノ
――so-binさんは『モナーク/Monark』のお話を聞いたとき、作品にどのような印象を持たれましたか?
so-bin:最初に林さんからメールをいただき、フリューさんで打ち合わせをさせていただいたのですが、ゲームの内容を聞いて純粋に面白そうだなと思いました。
――そのときは設定画なども存在していなかったと思うのですが、林さんからはどのような説明を受けたのでしょうか?
so-bin:伊藤さんたちが参加すると聞いて、その段階で「あぁ、こういうゲームなんだろうな」と思いました(笑)。
林:(笑)。ただ、誤解されないように言っておくと、新・学園RPGと謳っているとおり、これまでの作品の劣化コピーを作ったり、リバイバルするつもりは無いです。
影響を受けた作品の好きなところはリスペクトしつつ、新しいものを作ろうと思いました。そのなかでダークな雰囲気の作品に仕上げたいと思い、so-binさんにお願いしました。
そういえばはじめてお話したとき、so-binさんが現代ものや学園ものは新鮮だったとおっしゃっていました。
so-bin:そうですね。学園モノは、もう一生、依頼が来ないんじゃないかと思っていました。
自分としてもいろいろな仕事にチャレンジしてみたかったし、『モナーク/Monark』で若い子が描けたのはうれしかったです(笑)。
――それでは『モナーク/Monark』の仕事はノリノリでやれたのではでしょうか?
so-bin:最初の打ち合わせ後にすぐ作業に取り掛かり、ラフを仕上げていきました。
林:so-binさんから「早く描きたい」という熱を感じたので、自分も早めに資料をお渡しできるように頑張りました。
so-bin:設定を聞いて早くキャラクターを形にしたいという気持ちがとても強かったです。
林:お声がけをするタイミングもちょうど良かったみたいで、打ち合わせ後すぐに制作に取り掛かっていただくことができました。
――最初に打ち合わせをしたのはいつ頃だったのでしょうか?
so-bin:2年ぐらい前でしたね。
林:2019年の6月でした。
――サブキャラクターや敵キャラクターを含め、かなりの人数をデザインしていますが、スケジュールは問題ありませんでしたか?
so-bin:はい。スケジュールはまったく問題なかったです。自分自身でリテイクをしたりもしたので、予定通りにいかない部分もありましたが、期限通りには提出できたはずです。
林:とても筆が早くて驚きました。今までお仕事をご一緒させていただいた方の中でも、so-binさんがいちばん早かったです。
――学園モノが楽しかったということですが、逆に大変だった部分はどこですか?
so-bin:制服のデザインですね。これまでやったことがなかったので大変でした。
――制服のデザインもso-binさんが手掛けられているんですね。
so-bin:デザインもすべて担当させていただきました。服だけではなく校章などもデザインしましたね。
――主人公たちはバトルのときに変身して戦いますが、そのときのイメージは林さんからso-binさんにお伝えしたのでしょうか?
林:ビジュアルイメージに関してはお任せしていて、チェスのデザインにするということは打ち合わせのなかで決まっていきました。
あとはゲームのパートを作る必要があるため、各キャラクターたちはどういうタイプの武器を使うのかはあらかじめ相談させていただきました。
so-bin:形が出来上がったら林さんにお見せするようにしていました。ただ、OKをもらったときも自分の中でまだ納得できない部分があるときはセルフリテイクをしていました。
――やり取りをかわしながら作っていったと。
so-bin:やり取り自体は多かったです。とくにキャラクターの思装(バトル中の恰好)に関しては、何度もすり合わせをしましたね。
林:『モナーク/Monark』というタイトル自体は最初から決まっていましたが、モナークという言葉が君主という意味があることから、so-binさんが主人公に王冠を被らせたデザインをしてくれたんです。そこからインスパイアを受けて、チェスの駒に見立てるアイディアが浮かんでいきました。
――各キャラクターが持っている武器に関しては、剣や槍、銃のような種類の指定はあったのでしょうか?
so-bin:近距離や遠距離という部分は決まっていましたが、具体的になにを持たせるのかという部分は決まっていませんでした。
望は最初は剣を持っていましたが、槍に変わりました。ナイトのモチーフを詰めて考えていったときに槍のほうがいいのではいう話になり、現在のデザインになりました。
チェスをモチーフにしたデザインのキャラクターたち
――最初にデザインが完成したキャラクターは誰だったのでしょうか?
so-bin:主人公ですね。そのあとが望で、信哉、こころ、凌太郎という順番でデザインしていきました。
――メインキャラクターのなかでデザインに難儀したキャラクターはいますか?
so-bin:こころちゃんですね。最初はぜんぜん違う雰囲気のキャラクターでした。林さんから「違うかな」という意見が出て、変えることになりました。
林:最初のデザインも社内のスタッフや、開発チームのデザイナーさんたちから好評で、このまま進めることもできたのですが、自分のなかで譲れない部分もあって。
こころは文学少女ですが、最初のデザインは“光属性の文学少女”だったんです。自分のなかで文学少女のなかにも光と闇があると思っていて、こころは闇属性の文学少女にしたくて、髪を下ろしてもらったりとこまかい調整をしてもらいました。
so-bin:最初のデザインは、あえて大人しい印象のイメージとは離れたものにしていました。
林:ちなみに、バディのキャラクターはそれぞれ、好きになってもらえるであろうターゲット層が異なっていて、こころちゃんは美少女ゲームが好きな人に主に刺さって欲しいと考えていました。
――ほかにデザインが大きく変わったキャラクターはいますか?
so-bin:凌太郎はタンクトップを着ていて、もっと肉体派のイメージでした。ただ、高校生に見えないという意見をたくさんいただいたので、マイルドにして現在のデザインになりました(笑)。
――ほかのふたりに関してはいかがでしょうか?
so-bin:望ちゃんは髪型もロングでおしとやかな感じでした。発注書には“聖母”や“優しいお姉さん”と書いてあったので、柔らかさをイメージしました。
その後、もうちょっとしっかりした女の子にしてほしいという要望があり、修正していきました。
林:望ちゃんは意思の強さがほしかったので目をキリッとさせてほしいといったお願いをしました。
so-bin:自分はもらった発注のイメージとは別のデザインにしたくなることが多いんです。「あえてこっちのデザインにしてみたら、おもしろそうだし、どうだろう」というものも出来上がったら見せるようにしています。
林:発注する側が試されるんです(笑)。また、デザインをしていただいている段階でプロットも作っているので、so-binさんのデザインに引っ張られてキャラクターのセリフが固まっていくという部分もありました。
so-bin:プロデューサーの林さんがシナリオも同時進行で作っていて、大変そうでしたよね(苦笑)。
――so-binさん的にはシナリオが完成していない段階でキャラクターを作るのは大変だったのではないでしょうか?
so-bin:そこは林さんとこまかく打ち合わせして情報を共有していたので大丈夫でした。
林:そうですね。キャラクターの設定やストーリーの進捗や変化があったときはso-binさんに相談させていただいていました。
――信哉に関してはいかがでしょうか?
so-bin:信哉に関しては素直にデザインしたこともあり、初期からほとんど変わる部分は無かったです。
林:そうでしたね。
――ズボンの片方だけめくれているのはこだわりでしょうか?
so-bin:自分が学生のころに流行していたファッションです。ほかにも『モナーク/Monark』では自分が学生だったころに流行してたものをいくつかデザインとして取り入れています。あかねやスミレの制服のダボッとした感じなどですね。
――本作では主人公とそのバディとなる仲間たち以外にもいろいろなキャラクターがいますが、作るのはどちらが大変でしたか?
so-bin:バディたち以外のキャラクターはほぼリテイクが無かったですね。大変だったのは敵キャラクターの戦うときの恰好のデザインでした。もともと自分がデザインする予定ではなかったのですが、最終的に自分がデザインすることになりました。
林:鞍馬くんや、ある別のキャラクターはほかの方にデザインをしていただいていますが、それ以外のキャラクターはso-binさんにデザインしてもらいました。
もともとのスケジュールだと、分業しないと間に合わないスケジュールだったのですが、so-binさんの手が早かったので途中でお願いすることができました。
――各キャラクターの思装はキャラクターのどのような部分を膨らませて作っていったのでしょうか?
so-bin:やはりチェスですね。望ちゃんのナイトなら騎士っぽく、ビショップのこころちゃんは司祭、凌太郎くんのルークなら歯車を装飾として加えて、信哉くんはクイーンなのでベールを被せるといったことをしています。
――バニタスは本作のマスコットキャラクターでもあると思いますが、どのような点にこだわりましたか?
so-bin:丸みですね。この丸みを出すのには苦労しました。なお、バニタスは最初のラフの段階でOKはもらっていたのですが、まったく別のデザインも作ってみたりもしました。
ただ、どれもしっくり来なかったので最初のデザインに落ち着きました(笑)。
林:バニタスに関してはso-binさんが名前を付けてくれたキャラクターでもあります。一番最初にデザインしてもらったのが主人公とバニタスでしたが、バニタスはマスコットキャラクターという指定だけで名前は無かったんです。
so-bin:うさぎのバニーと空虚や虚しさを意味するバニティを組み合わせました。まさか正式に採用されるとは(笑)。
――バニタスはゲームではいつも耳を掴まれていますね。
so-bin:そうですね(笑)。デザインしているときは意識していなかったので、ゲームの映像を見たときは面白かったです。
――主人公をサポートしてくれる、妹キャラの愛川千代はいかがでしょうか?
so-bin:彼女は病弱キャラですが、わかりやすい病弱キャラにはしたくないというのが、林さんとの共通見解でした。そのため、暗くならないようにはしました。
林:千代ちゃんもほとんど修正が無かったキャラクターですね。
――保険医の長谷川カケルについてもどういうイメージで作ったのか、こだわかったデザインのポイントをお聞かせください。
so-bin:最初は好青年のイメージで提出したのですが、キャラ的に弱いということでリテイクになりました。
林:好青年ですが、サイコパスな感じもありました(笑)。
so-bin:校医ということで綺麗な感じに描いていたのですが、そのときは林さんもカケルのキャラクターに悩んでいて、「もう少し特徴付けをしたいな」という相談を受けました。
そのなかで、もう少しだらしなく、ボロッとした雰囲気にしようという話になり、現在のデザインに詰めていきました。
林:いっしょにいてホッとする大人のキャラクターを目指しました。
――寧子(シロネコ先生)はいかがですか? 体験版には登場しないキャラクターですが、どういう人物でしょうか。
so-bin:寧子は林さん要望で初期の望のデザインを元にデザインし直したキャラクターです(笑)。
林:望ちゃんの初期デザインにはシロネコ先生のイメージである、優しさや癒やしが詰まっていたんですよね。
so-bin:このシロネコ先生は名前に林さんのこだわりがあるんですよね?
林:そうですね。安良城寧子(やすらぎねいこ)でシロネコという、あだ名にするところはこだわりました。ネコの文字が入っている名前が可愛くて好きで、いつか自分の作品でやってみたいと思っていました。
――学園長の神宮ソラはどうでしょうか?
so-bin:ソラもほぼリテイクは無かったですね。
林:そうですね。ソラは秩序をモチーフにしたキャラクターだったので太陽をモチーフにしたアクセサリーは似合うなと思いました。
――執事の優悟はいかがでしょうか?
so-bin:もともとは用務員と聞いていたのですが、執事になったと聞いて驚きました。上着のデザインは執事だったときの名残りですね。外を掃除しているおっちゃんのイメージです。
――林さんのなかで上がってきた優悟のイラストは用務員では無かったのでしょうか?
林:伊藤さんや鈴木さんといったシナリオ関係のみなさんから、この顔や設定画で用務員はもったいないという話をいただきましたね。イラストを見ていて、彼の活躍に広がりを感じたので、ただの用務員のおじさんだったところを執事のキャラクターに変えました。
――so-binさんは優悟が執事になると聞いたときはビックリしましたか?
so-bin:そうですね。本当に用務員としてデザインしていたので、普通のズボンを履いていました。途中で修道服のようなズボンにしてほしいと依頼され、現在の形になりました。
――おふたりが好きなキャラクターは誰でしょうか? 林さんはこころちゃんですか?(笑)
林:全員好きですよ。無理やりひとつ挙げるならマスコットキャラクターのバニタスですかね。外見もかわいいし、声も中身も可愛いので。みなさんにもぜひ注目していただきたいです。
so-bin:自分は望ちゃんですね。体験版部分のストーリーを観て、この先の展開がどうなっていくのか気になりました。
――so-binさんはゲームをプレイしたユーザーにどういったところに注目してほしいですか?
so-bin:主人公の行く末ですね。みなさんがどのような選択をして、どのような結末を迎えるのか楽しみですね。
――最後に発売を待つ方々にひとことお願いします。
林:キャラクターの設定やビジュアルで本作が気になっている人も多いと思いますが、今回のインタビューの話のなかにもあったように、ストーリーとビジュアルは相互に影響しあっているので、絵で気になった人はキャラクターのエピソードを気に入ってもらえると思うので、楽しみにしていただければと思います。
so-bin:キャラクターは魅力的ですし、ゲーム部分も面白い内容だと思っています。林さんいわく、やり込める要素もあるようなので、自分自身もゲームを遊ぶのが楽しみです!
カワチ:RPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。
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モナーク/Monark
- メーカー: フリュー
- 対応機種: PS5/PS4/Switch
- ジャンル: RPG
- 発売日:2021年10月14日
- 価格:通常版8,470円(税込)、数量限定画集付BOX10,890円(税込)、デジタルアートブック付版10,890円(税込)