『フロストパンク』CS版にDLC登場! 過去とは異なるコンセプトで極限の街作りを楽しめる【海外ゲーム名作案内】

柏又
公開日時

 海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、8月12日に国内PS4版のダウンロードコンテンツが配信され、各ハードでプレイ可能となった『Frostpunk(フロストパンク)』のDLCのレビューを、PS4版をもとにお届けします。

 なお、画面写真はPS4版をPS5で撮影しているため、決定が×ボタンですが、PS4でプレイすれば〇ボタンが決定となります。

『Frostpunk』ってどんなゲーム?

 『Frostpunk』は、ポーランドの11 bit studiosが手がける都市開発シミュレーション。氷河期を迎えた架空の18世紀を舞台に、氷点下の世界で生き残るための街づくりを行います。

 暖房兼エネルギー源となる施設“ジェネレーター”から同心円状に形作られる独特の街の景観や、資源や食料に加えて寒さへの大作が必要なサバイバル要素、シナリオ主導でプレイヤーを引きつけるゲーム展開などが魅力です。

 ソフトは、DMM GamesからPS4およびPC版が発売されているほか、開発元の11 bit studiosからはXbox One版およびPC版(Steam/Epic Game Store)が発売中です。

 ゲーム本編には、“新しい家”をはじめとする4つのシナリオと、街づくりそのものを楽しむ“エンドレスモード”が収録されています。今回発売されたDLCは、『The Rifts(裂け目)』と『“The Last Autumn(最後の秋)』、『On The Edge(綱渡り)』という3つがあり、新たなシナリオに加えて、エンドレスモードに新モードや機能が追加されます。

 また、3つのDLCをまとめてお得な価格で購入できる『シーズンパス』も存在します。

『The Rifts』は独特の地形を持つエンドレスモードのマップを追加

 『The Rifts』は、エンドレスモードに新マップ“裂け目”を追加するDLCです。

 このマップは、文字通り裂け目によって細かく分断された陸地で街づくりをするというもの。裂け目の特定のポイントに、このマップだけの建築物“橋”を設置することで隣の陸地の開発が可能となります。

 ただしこの橋、建築に木材200、鉄150という大量の資源が必要です。このため、特に開発序盤では設置する場所の計画性が求められます。新しい橋を設置するたびに開発できる範囲が広がっていく楽しさが、このマップ独特のおもしろさといえるでしょう。

 ちなみに最初に橋をかけるなら、鉄くずを収集しきる前に“鉄鉱石の鉱床”のある陸地を目指すのがオススメです。一度設置した橋の解体はできないので、あまり考えずに設置すると序盤で詰む危険があるので注意したいところです。

 また、このマップには貴重な“蒸気核”を採取できる“破壊された蒸気核輸送車”がいくつも存在するところも見逃せません。エンドレスモードでの蒸気核や生存者の探索は、ランダム性がかなり強いのですが、うまく資源をやりくりして蒸気核を集めれば早い段階でオートマトンを駆使した街づくりができるのも魅力的ですね。

『The Last Autumn』は氷河期を前にジェネレータを建造する新シナリオを追加

 『The Last Autumn』は、『Frostpunk』の街の根幹をなす施設であるジェネレーターをいちから建造するというだいご味が楽しめるDLCです。新シナリオ“最後の秋”とエンドレスモードの新モード“建築作業員”が追加されます。

 新シナリオ“最後の秋”は、世界が完全な氷河期を迎える前、迫りくる危機に備えるために北極圏にジェネレーターを建造するのが目的です。プレイヤーは建設の責任者となり、労働者とエンジニアで構成される作業チームを指揮します。

 このシナリオは、これまでとは目的や時系列が異なるため、完全に新規の研究ツリーと法律ツリーが用意されているのが第一の特徴。本編をやり込んだプレイヤーでも、同じシステムを使った別のゲームで遊んでいるような印象を受けるかもしれません。

 プレイヤーの目的は、期日までにジェネレーターを完成させること。ジェネレーターの建造はいくつかの段階に分かれていて、それぞれに期日が設けられています。期日までに目標を達成できないと本国から警告が出され、次に目標未達となると解任されてゲームオーバーとなります。

 ジェネレーターは、地熱を利用するため火山活動が活発な場所に深い穴を掘ってその上に建設されます。現場では有毒ガスが噴出して労働者の健康を害する他、事故が発生するリスクがあるのです。リスクを回避するためには、法律で安全な作業手順を確立するなどの方法が用意されているものの、そのほとんどが作業効率の低下につながります。

 さらに、重大な事故が発生すると大勢の労働者が死の危険にさらされることも。事故や労働者の健康に配慮しつつ、期限内の作業を達成できるかという緊張感がこのシナリオのおもしろさといえるでしょう。

 なお、シナリオ完了後には事故などの際にプレイヤーが行った対処によってジェネレーターの完成度が評価されます。

 もちろん、段階を追うごとにプレイヤーの知っている形になっていくジェネレーターの姿を見るのも本作の楽しさです。氷河期を迎えた時に人々を寒波から守るジェネレーターを、どこまで完成度の高いものにできるか? 非常に挑戦しがいのあるゲームになっていると感じました。

 時間が過ぎるごとに感じられる氷河期の前触れ、19世紀イギリスをモチーフとした労働者とエンジニアの確執、現場の不満が引き起こすストライキとその交渉など、シナリオ的にも非常に興味深いので、ぜひプレイしてほしいところです。

エンドレスモードでは爆発したジェネレーターを再建するモードが遊べる

 『The Last Autumn』で追加されるエンドレスモードの“建設作業員”モードは、建設中に爆発事故を起こした現場を片付けて新たなジェネレーターを建造するという、新たなシチュエーションで街づくりを開始できます。マップは自由に選択可能。

 このモードでは、完成するまでジェネレーターがもたらす熱やエネルギーの恩恵を得られません。代わりに開始から50日近くまでは気温が-20~-60℃、定期的に訪れる嵐も-70℃の気温がまる1日続くだけで済みます。

 プレイヤーはその間に住人の衣食住のケアをしつつ、工場を建てて必要な資材を生産し、ジェネレーター建造を行わなければなりません。完成を急ぐ場合は“突貫工事”で期間を短縮できますが完成後のジェネレーターの品質に問題が発生する場合があるのが悩みどころです。

 ジェネレーターが完成するまでオートマトンが使えないため、人員のやりくりに苦労しますが、探索をしっかり行えばほかのモードに比べて多くの生存者を見つけやすい印象です。自分たちで使うジェネレーターをこの手で建造するという、やり応えのあるモードになっていると感じました。

『On The Edge』は“新しい家”シナリオのその後のエピソードがつづられる

 『On The Edge』は、自分たちが住む街の外側との交流を主軸にすえたDLCです。新シナリオ“綱渡り”のほか、エンドレスモードで“集落”要素が追加可能となります。

 “綱渡り”は本編のメインシナリオ“新しい家”舞台であるニューロンドンのその後が描かれます。ニューロンドンは-150℃に達する厳しい嵐を乗り越えましたが、この嵐の後でぼう大な物資が貯蔵された陸軍倉庫が発見されます。

 プレイヤーは、ニューロンドンから派遣された前哨部隊のリーダーとなって陸軍倉庫の近くに拠点を構築、倉庫から運び出した物資を街へ送る任務につきます。

 陸軍倉庫の近くに食料の確保手段はなく、倉庫内にある鉄と蒸気核以外の物資は残りわずか。生命線となる食料はニューロンドンからの補給頼りですが、運び出した物資と引き換えでそれも充分とはいえません。ちなみに、序盤はニューロンドンの許可なく法律に署名することも不可能です。

 ニューロンドンに頼れないと悟った前哨チームが、周辺地域を探索して他の生存者との協力を仰ぎ共存共栄の関係を築く、というのがこのシナリオの目的です。都市開発というよりは、新しい家のその後のストーリーと周辺地域との交流を楽しむのがメインといった印象ですね。

 このシナリオのマップは狭く、収集できる資源も限られているため、建設の余地はそれほどありません。足りない資源は、陸軍倉庫の周囲にある“温泉”と“廃船キャンプ”、“子どもたちの炭鉱”の3カ所と物資をやり取りして手に入れます。

 こちらが欲しいものを相手が希望する資源と物々交換することも可能ですが、物資のやりとりは相手の集落の開発に協力する報酬として獲得するのが中心となるでしょう。開発が進むと相手との安全経路を建設可能となり、完成すると1日おきに先方から物資を無償でもらえるようになります。

 『Frostpunk』の都市開発とはちょっと趣が異なりますが、故郷だったはずの場所から見捨てられた人々が他の場所の人と新たな関係を構築し、生きる道を見いだしていくよりストーリー主導のシナリオになっていると感じました。各地域の成り立ちやその思想、交流が進むにつれて起きる軋轢も含めて非常に考えさせられる内容だと思います。

エンドレスモードでも不足する資源を集落とやり取りできる

 『On The Edge』の導入でエンドレスモードに追加される“集落”要素をオンにすると、街の外に“温泉”と“廃船キャンプ”、“子どもたちの炭鉱”が出現。“綱渡り”と同様に交易と開発の協力ができます。

 この要素のポイントは“集落”オンにすると同時に“ランダムハザード”も強制的にオンになるところ。“ランダムハザード”は、定期的に訪れる嵐のあとに都市機能が大幅に低下する要素のことです。

 “ランダムハザード”よって生産量が危機的になった資源を補うために、周辺地域と交流するというのが“集落”要素の目玉、というわけです。

 正直なところ“ランダムハザード”は、生産や施設の選択が限られる序盤では厳しい要素で、従来なら直前でセーブして影響の少ないものが出るまでリセットしたり、始める際に要素をオフにしたりすることもありました。

 自分の街以外で特定の資源を確保できる“集落”要素の追加で、“ランダムハザード”の予測不能の事態に対処する楽しさがしっかり味わえるようになったと感じました。

 今回発売されたDLCは、いずれも本編となかなり異なる趣のゲーム体験が楽しめる内容。本編をプレイして、この世界感やシステムの虜となったプレイヤーなら買ってもまず損はしないと思います。

 また、『Frostpunk』本編は、都市開発に加えて、“生き残るためにプレイヤーに究極の選択を求める”という、なかなかヘビーなテーマを持つ傑作です。都市開発シミュレーション好きなら知らない人はいないかもしれませんが、スチームパンク世界やディストピア設定、サバイバル系の作品に興味がある人に強くオススメしたいですね。

Published in Japan by DMM GAMES. 2020 © 11 BIT STUDIOS S.A FROSTPUNK and 11 BIT STUDIOS are trademarks and/or registered trademarks of 11 BIT STUDIOS. All other marks and trademarks ar e the property of their respective owners. All rights reserved.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

Frostpunk(フロストパンク)(ダウンロード版)

  • メーカー: DMM GAMES
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: SLG
  • 配信日: 2020年2月27日
  • 価格: 3,980円+税

Frostpunk(フロストパンク)

  • メーカー: DMM GAMES
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: SLG
  • 発売日: 2020年2月27日
  • 希望小売価格: 3,980円+税

関連する記事一覧はこちら