ポチが主役のアクションでも“鋼鉄の魂(メタルマックスらしさ)”は健在! 『メタルドッグス』レビュー【電撃インディー#65】

おしょう
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、本日8月25日よりSteamにてアーリーアクセス版の発売がスタートした、24Frame開発のローグライクアクション『METAL DOGS(メタルドッグス)』の先行レビューをお届けします。

 本作は“戦車と人間のRPG”である『メタルマックス』シリーズ30周年企画の一環であり、昨年発売された『メタルマックスゼノ リボーン』のスピンオフ作品でもあります。はたしてシリーズのファンが実際にプレイして感じた本作の感想やいかに!?

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

アクションゲームだけど、驚くほど『メタルマックス』っぽい!

 本日発売の『METAL DOGS』アーリーアクセス版を、先行してゲーム後半までプレイさせていただきました!

 さっそくここではその感想を語っていきたいのですが、いきなり核心部分から言ってしまいますと、この『METAL DOGS』、ゲーム性などがイロイロ異なるのに“驚くほど『メタルマックス』っぽい”です。

 『メタルマックス』といえば1991年にファミコンで1作目が発売されて以降、30年にわたってシリーズが続く“戦車と人間のRPG”。

 もちろん作品ごとの違いはあれど、基本は“荒廃した近未来のなかで戦車を探して自分好みに改造し、その戦車で各地を自由に探索してモンスターや賞金首を倒していく”というのが大まかな共通点であり、ファンをひきつけてきた要素であります。

 ですが本作『METAL DOGS』でプレイヤーが操作するのは、戦車でも人間でもなく『メタルマックスゼノ リボーン』に登場した戦闘犬・ポチ(+2匹)!

 さらにゲームジャンルもRPGではなくローグライクアクションとなっており“METAL”の名を冠した関連作品のなかでは、最も異色なタイトルと言えるでしょう。でもその中には、随所に濃厚な“『メタルマックス』らしさ”が込められており“『メタルマックス』の系譜ならではのローグライクアクション”になっているのです。

 以降ではゲームの要素解説とあわせ、その“『メタルマックス』らしさ”についても触れていきたいと思います!

  • ▲戦車には乗らずにポチ一匹孤軍奮闘! でもこのポチ、成長するとかなり強いです。
  • ▲世界観は『メタルマックスゼノ リボーン』と地続き。モンスター名、アイテム名などもおなじみのものばかり!

やっぱりWANTED(賞金首)との戦いはアツい!

 本作はまず、敵にやられて死んでしまったポチが、とある科学者の電撃によって蘇生されるところからスタートします。

 ちなみにこの科学者、シリーズのファン的にはどう見ても過去作に登場したマッドサイエンティスト・Dr.ミンチなのですが、本作では名前は明かされないまま。でもDr.ミンチの名ゼリフ「蘇るのじゃ! この電撃でぇええっ!」は健在です(笑)。

  • ▲名もなき科学者。でもきっとDr.ミンチ……ですよね?

 そして本作の登場人物はこの科学者と犬のみ! ついでに言うとポチはもちろん犬なので、セリフを話すのは科学者のみ! よって物語はこの科学者の語りによって進行し、それに合わせてポチは次々と新たなクエスト(ダンジョン)に挑んでいくことになるのです。

 なお、シリーズで初めて犬が登場した『メタルマックス2』は、敵戦車の攻撃でポチが死にまくることで有名でしたが、本作でも死にまくります!

 ただし死んでもデメリットはほぼありません。ローグライクアクションのなかには、死んだときに“レベル1からやり直し”といったものや“それまでに入手したアイテムを失う”といったシビアな作品もありますが、本作では死んでもレベルや経験値、それまでに入手したアイテムは維持されます。

 ですので死んだときのデメリットは“そのクエストを最初からやり直す必要がある”ことだけ。安心して死にまくりましょう。

  • ▲序盤ではクエスト失敗を気にせずガンガン行きましょう! なお、さすがにボス撃破直前で失敗すると、デメリットがないとはいえヘコみます……。

 次にそのクエストについてですが、基本は“与えられた目的を達成してダンジョン最下層のゴールに到達”すればクリアとなります。

 ダンジョンの構造は毎回ランダムで、もちろん道中には強力なモンスターがうじゃうじゃいるのですが、序盤のうちは少数で対処しやすく、アクション的な難易度はかなり低いといっていいでしょう。

 しかし! そんななかでも一部のクエストに登場する“WANTED(賞金首)”モンスターだけは別格。

 コイツはほかのモンスターとは段違いの強さを持つ強敵で、さらに周囲にも護衛モンスターがいたりと、装備が充実していないタイミングでは苦戦することは必至です(WANTEDの撃破がクエスト目的でない場合はいったんスルーすることも可能)。

  • ▲WANTEDとのバトル。WANTEDのなかにはこの巡航サイゴンのように、シリーズおなじみのものも。

 でも逆にその時点の最大火力を用意すれば、WANTEDでも比較的ラクに撃破可能で、そのモンスターだけが落とすレア装備や、莫大な賞金を入手することができます。

 そしてその装備や賞金を元にポチの装備をさらに強化して、さらなるWANTEDに挑むことに。これはまさに『メタルマックス』シリーズならではのサイクルであり、WANTEDとの戦いが本作で最も手に汗握るポイントと言えます。

 もちろんBGMはシリーズファンならおなじみの名曲「お尋ね者との戦い」! ちなみに同じクエストに再出撃すれば、一度倒したWANTEDと再度戦うことが可能なので、繰り返し倒して賞金を稼ぐのもアリでしょう。

  • ▲大金ゲット! そしてこのお金でさらなる強力な武器を購入!

自由度の高い武器構成。そしてよりスゴイ付与効果の装備を求めて

 次にアクション・装備についても解説しておきましょう。本作の攻撃アクションは3つの武器ボタンによって行うのですが、この3つのボタンには自由に武器を装備することができます。ポチが装備できる武器は大きく分けて以下の3種類です。

【機銃】威力は低めだが連射可能で、リロード時間も短い。

【大砲】最も高威力だが、基本は1発撃つごとにリロードが必要(なかには1発で複数の弾を同時発射するスパルクや、装弾数が多いバーストなどの大砲もあります)。

【S-E(Special Equipment)】大砲に迫る威力の砲撃や、特殊効果のある砲撃を連発できるかわりに、リロード時間が最も長い。

 この武器種がまさに『メタルマックス』! 戦車と違ってポチ自体を改造する要素はありませんが、そのかわり3つの武器ボタンにどの武器を装備するかは自由で、S-Eを3つ装備して順番に撃つことでリロードの長さをカバーしたり、大砲3つを装備して強力な単発攻撃を連射したりといったことも可能です。

  • ▲武器はクエスト中に宝箱やモンスターから手に入りますが、ショップでも購入できます。

 また武器以外の装備としては、HPを増加させる防具と、ゲージをためて強力な必殺技“ラッシュ”を使えるようになる首輪もあります。

 そしてこれら武器・防具で重要なのが“クエスト中にモンスターが落としたり宝箱から入手したりするものは、スロットの数だけ特殊な付与効果が付く可能性がある”ということ。

 例えば武器なら、ショップで買うものより大幅に攻撃力がアップしていたり、リロード時間が短縮されていたりします。そして防具なら、自動でHPが回復する効果が付いていたり、移動速度がアップしたりするものも!

 これらは効果によっては一気に戦闘難度を変える可能性があり、そのためにもよりスゴイ装備を求めてクエストに挑むことになります。そういう意味ではいわゆるハクスラ的な要素も本作の大きなポイントと言えますね(本作の場合は“Hack and Slash ”というよりはShoot and Bombard”とでも言ったほうがいいかもですが)。

  • ▲付与効果のなかでもHP自動回復効果や被ダメージ軽減効果は、生存率をかなりアップさせてくれます。
  • ▲構成物質変異剤というアイテムがあれば、ランダムで装備に付与効果を付けることも可能。

惜しい点もあるが『メタルマックス』ファンならプレイを!

 ということで結論としては、本作『METAL DOG』は“『メタルマックス』ファンならかなり楽しめるアクション”と言っていいかと思います。ただ、手放しで楽しい部分以外に、改善してほしい点や惜しい部分も複数あります。

 改善してほしい点としては、まずロックオンのしにくさ。相手にカーソルが合っているときにボタンを押すことでロックオンできるのですが、複数のモンスターが画面にいる状態で特定のモンスターをロックするのが非常に困難。この点はなんとか改善してほしいですね。

 次に惜しいのが犬たちの個性。本作では途中でポチ以外にもベルとボナンザという2匹の犬が登場し、どの犬で出撃するかを切り替えることができるようになります。

 一応、ベルは移動速度に優れ、ボナンザは攻撃力に優れるという特徴があるのですが、劇的に操作感が変わるものではありません。せっかくなのでもう少し個性がハッキリ出ると、使い分ける楽しさが格段に高まります。

  • ▲こちらはベル。もう少し固有の要素があると個性が際立つのですが……。

 3つ目は攻撃の単調さでしょうか。機銃、大砲、S-Eそれぞれの攻撃アクションは武器を交換してもあまり変化がなく、もう少し特徴的なアクションにつながる武器等も欲しいな、とは感じました(たとえば敵を貫通するレーザー大砲とか、周囲を幅広く攻撃できる音波S-Eとか!)。

 とはいえこの価格かつアーリーアクセス版としては、かなり遊べる作品だと思います。ぜひプレイして、気になる部分を開発にフィードバックしてほしいですね。

 そしていずれは、さらに進化した『METAL DOGS』になり“超深層まで潜れるダンジョン”“超レアな武器”などが追加されることを妄想&希望します!


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