『ゴースト・オブ・ツシマ ディレクターズカット』仁の過去と後悔に迫る”壱岐之譚”先行プレイレビュー

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 2020年に発売され、日本のみならず世界でも高評価を獲得した『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)。新たな物語や追加要素を加えた『Ghost of Tsushima Director’s Cut』(ゴースト・オブ・ツシマ ディレクターズ・カット)がついに8月20日に発売されます。

 この記事では、先行プレイによって判明したさまざまな追加要素やこだわり。そして境井仁の過去に繋がる”壱岐之譚”の内容などを担当ライターのシューがお届けいたします。

そこは冥人の噂が届かぬ海賊の島

 本編クリア済みのセーブデータを引き継いでゲームをプレイしたのですが、壱岐島の住人は冥人の活躍を知らないどころか、侍を毛嫌いしている、敵視している人たちが住んでいる島でした。

 しかし、物語を進めていると明らかになるのが「壱岐では境井家が恨まれている」という事実。どうやら今回の主軸は仁というより境井家にまつわる内容のようなのです。実際、”壱岐之譚”の冒頭でも「境井家の鎧を着るならば、家紋を隠さねばな」という仁の台詞がありました。

 そんな雰囲気、もしくは壱岐における恨みのせいなのか、仁は壱岐島に渡る際に大嵐に巻き込まれます。大風に助けられた元寇での戦いとはまるで正反対の風すら敵にすらなっている物々しさ。

 壱岐ではオオタカと呼ばれる長が島を占領しており、さらに仁の父である境井正が建てた境井砦が根城にされていました。島には侍がおらず、代わりに海賊たちがその攻勢に抗っている様子。

 壱岐で恨みを持たれている仁は自分の出自を隠し、彼らと協力して壱岐に平和を取り戻すべく立ち向かうというのが本筋となっています。

 仁は単身で壱岐に乗り込んだため、志村殿やゆなといったキャラはほぼ出番がありません。一方で、丶蔵(てんぞう)や海賊の長であるふさなど、新キャラが出てきます。

 これがまたいいキャラしてるんですよ! 海賊らしく血気があるというか堂々としているというか。身にまとう猛々しさはまさに戦士。男どもに負けてない威勢がいいですね。

 とくに丶蔵。自分の着物のキレイな部分を包帯として差し出したり、「来世では幸せにな…」という仲間への優しさ。その裏でしっかりと蒙古を討つというギラギラとした思いもあり、竜三とはまた違う意思を持つ戦士だなぁと。仁に対する目線、感情などにも注目したいキャラです。

壱岐は小さな島。猿あり鹿あり猫あり。

 本編は厳原、豊玉、上県と3つの大きなエリアに分かれていましたが、壱岐はそこでいう1つのエリアよりやや小さめの範囲の島。いくつかの敵拠点と本拠地があるのは変わらず。蒙古兵がブラついているのも同じですが、戦闘していると頻繁に海賊たちが加勢してくれるのはやや新しい感覚。

 にしてもロケーションの良さは相変わらずでしたね! 群生した植物。色とりどりの花畑。そして海岸、岸壁。対馬はフィールドが広く、島でありながらも陸感がありましたが、今回は高台に登るとすぐ海が見えるので島であるのをハッキリと印象付けられるのも良かった点です。

 新しい要素としては各地に猿。鹿。猫がいます。いるだけじゃなくて、こんな可愛い動物たちを檻に閉じ込めてる野蛮な蒙古兵どもがいます! こらしめましょう。成敗したあとに笛を吹くと動物たちが寄ってきて仲良くなれます。とくに笛を吹くミニゲーム(?)をしていると、少しずつ寄ってくる猫がかわいー!

 もちろん可愛いだけじゃなく、対馬でいう狐のような新要素。彼らがいる場所を訪れたり、または助けることで各動物たちに関連する護符が強化されていく仕組みとなっていました。

 また小さな土地でありながらも、伝承の物語も2つありました。その1つに猿に関するものがあり、猿を各所にあしらった鎧が手に入ります。これがまたデザインが凝ってていいんですよ! とくに大袖の猿の咆哮。毛皮が各所に付いているのですが、一体化しているのがいいですよねぇ。格好良い。

 今回の伝承もかなり凝っていました。1つは黒手の陸と恐れられた猿を従えた男の話。もう一つはこの地に残された仁の父、境井正の形見を探す話。導入は琵琶法師の軽妙な語りではないものの、土地に伝わる逸話をいつもの墨絵をバックに、伝承に関連ある人物たちが語ってくれます。この墨絵がまた見られるのがグッときますね。雰囲気がとても好きなんです。

 とある場所に訪れると壱岐で過ごした幼少の頃の仁と父親の記憶に触れることができます。つまり仁の過去の話。これまで父への後悔のシーンが出てきましたが、それよりももっと幼い頃の話。壱岐で過去に何があったのか。壱岐で正は何をしたのか。そこで仁は何を感じたのか。もっと仁を知りたかった身としては境井家の掘り下げは、かなり嬉しかったですね。

 また、この過去の記憶に触れる場所には必ず白い鹿がいるんですよね。白い鹿は幸運を司っているようですが、これも意図してのことでしょうか。あくまで過去の出来事なので、今に仁への幸あれ的なメッセージなのかなと色々と考えてしまいますよね。

新しい兵術や兵具なども追加。さらに再戦も!

 新しい土地や話、装具や護符、そして収集品だけでなく、馬に乗って突進を行う”馬力”や壱岐の各地へスムーズに向かうための誘い風も新たに習得できます。とくに”馬力”による突進は気力こそ消費しますが、かなり強力! 敵集団を一瞬で圧倒でき、まさしく馬の底力を感じる力強いアクションです。

 稽古台を覚えてますか? 竹を斬って気力の最大値を増やす場所です。壱岐には侍がおらず稽古台が少ないのですが、代わりに弓術の修練を重ねているようで、弓の修練場が各地にありました。時間内に的を射るミニゲームなのですが、なかなか技術を要されます。このゲームをこなすことで、”集中の護符”による集中時間が延長されていく効果がありました。

 またいくつかのイベントの再戦が可能になっていました。これは嬉しい! あのボスとの再戦。あのシチュエーションをもう一度。といった希望が叶っていました。個人的には菅笠衆との戦いが手強くて好きだったので、これがまた戦えるとは! 再戦できるのは黄色い再戦アイコンの付いた集落や菅笠衆、野営地などの一部のようです。

 

丁寧かつ愛のある新要素の数々

 総評すると、ただの本編の繰り返しという安易な作りではなく、新規の話や伝承。新録の台詞。新しい動物や新たな余興、探索。孤島というシチュエーションなどなど。非常に丁寧かつ愛を持った要素を各所に感じます。

 敵も同じモーションやパターンではなく、こちらの型に応じて構えや武器を変えてくる手強さ。呪師の経によって強化されて打たれ強くなっており、本編をクリアした冥人でも歯応えを感じるほどでした。

 この原稿を書いている時点では”壱岐之譚”こそ終わっていますが、まだ壱岐の隅々まで探索し終わっておりません。つまり2~3日で終わるようなボリュームではなく、かなり堪能できる内容となっています。ま、良いロケーションを見つける度にカメラで撮影をしているので、進んでいないといえばそうかもしれませんが!

 追加の話だけでしょ? と思っている方にこそオススメです。再び『ゴースト・オブ・ツシマ』の世界、雰囲気が全力で帰ってきますし、仁の新たな一面を見られます。

 楽しみにしている方、このディレクターズカットは間違いなしです! 思いっきり楽しんで下さい。敵、強いですよ。あと猫可愛いです。ではまた放浪を再開して、壱岐の島を巡り尽くそうと思います。

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