『ブラスターマスター ゼロ』について西沢さんに質問。特徴やこだわりポイント、キャラをネタバレ有でトーク

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 インティ・クリエイツから発売されている『ブラスターマスター ゼロ』シリーズを手掛ける、西沢智シリーズディレクターへのインタビューを掲載します。

 2017年に『ブラスターマスター ゼロ』がリリースされ、2019年には続編『ブラスターマスター ゼロ 2』がリリースされました。そして最終章と銘打たれた『ブラスターマスター ゼロ 3』が2021年7月29日にリリースされています。

 インタビューでは、発売された『ブラスターマスター ゼロ 3』を中心に、キャラクターやシリーズの内容について西沢さんに語っていただいています。

 なお、インタビューの後半には物語やキャラのネタバレが含まれているため、未プレイの方はご注意ください。

シリーズ最大級の驚きと、心に残る何かを得られる1本に!

ーー『ブラスターマスター ゼロ 3』が発売されて、手ごたえ、反響はいかがですか?

 3作作ってきて、不思議と毎回開発スケジュールがタイトなのですが、今回は『トリロジー』も並行して進めなければならないという、今までに輪をかけて超絶タイトなスケジュールの中、何とか詰め込んだ……というのが正直なところ。実はマスターROMを提出した時点では、完成した実感というのはまったく持てていませんでした。

 本シリーズは、特定の条件でノーマルエンドとトゥルーエンドの2つのルートに分かれるのがお決まりの展開なのですが、今回そのあたりの条件を、プレイヤーの“気づき”に委ねるという、かなり挑戦的なことをやっています。できる限りの誘導はしたつもりではあるものの、これが本当に成立しているのかどうか、こればっかりは発売してみないと正直分からず、万が一ほとんどの人が気づけないなんてことになろうものなら大問題。そういった意味では、本当に“完成”と言えるのかはただただ不安でした。

 実際に発売されてみて、おおむね皆さん気づいてくれてトゥルーエンドへ進めているみたいで、ようやく「あ、このゲーム完成してたんだ」という実感が持ててきたところです。 

ーーユーザーの声でうれしかったこと、驚いたことはありますか?

 クリア後に「泣いた」なんていうつぶやきをTwitterなどでちょくちょく目にしたんですが、“遊んでくれた人の心のどこかしらに突き刺さる何か”を目指してずっとやってきたシリーズなので、そこまで感動していただけたのであれば、とても光栄です。

 あと、最初のボスと最後のボスを戦車に乗り降りしながら戦う戦法を編み出されるとは思ってませんでした。自由に遊んでもらえているということで、まったく問題はないんですけど(笑)。

ーー改めて『ブラスターマスター ゼロ 3』の特徴はどこになりますか?

 前2作で培われてきた“サイドビュー+トップビュー”の混成型探索アクションに、逆転がテーマの新システム“VRVシステム”を加えて、シリーズ最大級の遊びごたえが感じられる作品である、というのが特徴です。

 “ジェイソンとイヴの物語”としても最終章ということで、シリーズ最大級の驚きと、心に残る“何かいいモノ”を得られる1本になっていると思います。

ーー『ブラスターマスター ゼロ 3』で、EXプレイヤーやミニゲームといったダウンロードコンテンツの要素は予定されていますか?

 今のところ、特に予定がないんですよねぇ。

 やらしい話、追加モードやDLCを出すことで『ゼロ3』本編の売り上げアップに直接繋がるようなコラボ先があればやるんじゃないかと思うんですが……。

 EXプレイヤーはそういうプロモーション的な役割に真っ向から逆らって「ただのスキン替えじゃ作る意味がない」という思想で、コスト的にかなり無理をして作っています。それは『ゼロ2』の“アキュラ from 白き鋼鉄のX(イクス)”で文字通り“DLCキャラクターのX(きょくげん)”を迎えたと考えていて、実はあれは「これでもう最後だから」というつもりで、めちゃくちゃしんどい思いをしながら作っていました。

 今回、そこまでできるほどチームの気力と体力が残っているかどうかというと……どうでしょうか。諦め半分でご期待いただければと思います。

ーージェイソンのガンレベルやウェポン、ソフィアのメインウェポンは、シリーズを追うごとに絶妙なバランスや使いやすさが進化していると感じます。過去作のユーザー意見などを参考にして調整することはありましたか?

 実は“ユーザーの意見”という形では一切取り入れていません。

 それよりは、ちょっとした感想だったり、プレイ動画だったりという“ユーザーの体験”を見て、引っ掛かっている場所や改善点を見つけて、それをチーム内で咀嚼して、取捨選択をしつつ反映するようにしています。

ーーボツになったウェポン案などがあったら教えていただけないでしょうか?

 実は“アクセルチェンジャー”は元々G-ソフィア用のマニューバで、発動中はSP消費がなくなる代わりに、効果が切れると強制的にシステムダウンする、というものでした。確かゲーム中での入手タイミングを整理していった時に使いどころがなさそう、ということでボツになって、名前だけジェイソンのサブウェポンに引き継いだんじゃなかったかなと。

 また、『ゼロ1』のマルチプレイヤーモードで、アシスト側のプレイヤーが使える、敵の弾を吸収してアイテムゲージに変換する“イレイザーボム”というモノがあったのですが、これも『ゼロ2』でG-ソフィアのサブウェポンに流用しようとして、色々あってボツにしました。

 これは『ゼロ3』のジェイソンのサブウェポン“グラビトンイレイザー”に引き継がれています。

 あとサブウェポンではないですが、過去作のEXプレイヤーも、仕様書まで作ったけどポシャったキャラが3体、7割程度まで実装したけどポシャったキャラが2体います。

 これは完全に大人の事情でボツになっているので、どんなキャラかも言えませんし、今後DLCとして出すこともありません。ただただヤキモキしてください。

開発時のこだわりや好きなキャラは?

ーーシリーズタイトルの中で思い入れのある作品や話があればお教えください。

 たくさんあり過ぎて語り尽くせません。困ったもんです! なので、全体的なこだわりの話を。

 8bitテイストは絵的な表現としてはすごくシンプルなのですが、その反面、遊ぶ人がそのシチュエーションを想像で補完する余地が大きいというところに強みがあると思っています。

 毎回そうなのですが、私の場合はだいたい「ここを一番見せたいんだ!」というシーンがあって、そこ向かってステージやシナリオ演出を組み立てていく……という作り方をすることが多いです。もちろんクライマックスのシーンがそれに該当するのですが、それ以外でもステージ中のちょっとしたことも、シーンとしてはすごくこだわって作った部分が多々あります。

 そのため、サイドビューやトップビューといった“ゲーム画面の見え方”にとらわれず、“ジェイソンが見ている光景”を想像しながらロールプレイしてみると、またちょっと違った視点で楽しめるんじゃないかと思います。

ーーシリーズ登場キャラで好きなキャラクターがいたらお教えください。

 どのキャラにも強い思い入れがあってもちろん大好きなのですが、シリーズを構築するうえで一番思い出深いのは、権兵衛とタエです。『ゼロ1』から『ゼロ2』に世界観設定を広げるにあたって、一番最初に考えたキャラクターでした。

 「サンソフトといえば」というキャラクターであり、「お百姓さんが万能戦車に乗って“いっき”をやっている」というメチャクチャな設定が存在して、しかもそこにホイッとジェイソンたちが放り込まれてもいい世界観なんだ、という、シリーズ全体の方向性と言うか、雰囲気を決定づけたのが権兵衛たちで、FC版『いっき』はもちろん、アーケード版に『いっき おんらいん』、ライトノベル版に至るまで、とにかく拾えるネタは徹底的に拾って突っ込んだ、こだわりだらけのキャラクターです。

 あと、ボスミュータントでいうとロブスガータが好きです。カニのボスは永遠のアコガレなのです。

ネタバレを含めてタイトルの構想などを質問!

ーーここからは、設定や構想などについて、ネタバレを含めて質問していきたいと思います。未プレイの方はご注意ください。『ブラスターマスター ゼロ』シリーズは3部作の構想は最初からあったのでしょうか?

 『ゼロ1』を作っている時点では1回こっきりで終わりだろうと思っていたので、まさか3作も作るとは思っていませんでした。なお、あくまでディレクターである私個人の見解で、もしかしたらプロデューサー的には最初からそういう目論見があったのかもしれませんが……。

 自社のオリジナルIPであっても、受託開発のゲームであっても、開発中は常々「次があったら」を考えない時はありませんし、私はちょいちょい後々伏線になりそうな要素を仕込みたいタイプではあるのです。一方で毎回毎回、魂を限界ギリギリアウトのところまですりおろしてお届けしているのも常(つね)なので、「もう次のことなんて知るか」と考えながら作ってもいます。

 つまり、先のことはフンワリとしか考えていないのです(笑)。

ーーつまり『ブラスターマスター ゼロ 3』の真エンドの構想は、『ブラスターマスターゼロ』シリーズを始めた当初からあったのではなく、後から用意されたということですか。

 『ゼロ1』の時点では、1作だけで終わるものだと思っていたので、本当にカケラも考えていませんでした。

 『ゼロ2』の時に、さまざまなサンソフトモチーフのキャラクターを登場させましたが、終盤、困難に立ち向かうイヴに、「“アンドレイア”を託すのにふさわしいキャラクターは誰か?」と考えた時に、モチーフはともかく、少なくともキャラクターの名前だけは“エルフィ”と“ロディ”以外あり得ない、と決めていました。

 イヴとジェイソンを助けた彼女らの名前が、PS版『ブラスターマスター』に登場する、ジェイソンとイヴの子どもに受け継がれていったのだろうな……という感じで考えてはいましたが、その時点でもシリーズとしては『ゼロ2』でフェードアウトしていくものだと思っていました。

 結局のところ、ある日突然「『ゼロ3』を作れ」と言われるまでは、構想と呼べるほどのことはほとんど考えていなかったのが正直なところです。

 つねに行き当たりばったりでハッタリをかましているのです。

ーー『ブラスターマスター ゼロ 3』のゲーム難易度が序盤はシリーズの中でも簡単な方だったのに対して、終盤の終盤はシリーズ最高難易度になっている感じたのですが、こちらは意図されたものでしょうか? また、このようなゲームバランスにされた経緯は?

 全体的に、『ゼロ1』、『ゼロ2』、『ゼロ3』と進んでいくにつれて徐々に難易度が上がっていくように意図してレベルデザインをしていて、そういう意味では『ゼロ3』の最終盤がもっとも難易度が高くなっているのは、意図的なものではあります。

 ゲームのシステム上、何度かやられてリトライすることにはなると思うのですが、シナリオ上では立ちはだかる“彼ら”をものともせず突破してきていることになるので、そういう形でプレイヤーキャラクターの“歴戦の強さ”というか“格の違い”を演出したいという意図もありました。

 そういう演出意図がある反面、初見プレイではプレイヤーにシナリオを深読みする暇をあまり与えたくなかったという相反する意図もあって、とにかく最終盤は畳みかけるように“難易度が高い”奴らが出てくる、という展開にすることで、ボスを攻略する方に集中してもらって、「なぜ立ちはだかってくるのか」を深く考えさせないように誘導したい……とか、いろいろもっともらしいことも考えながら作ってはいます。が、結局のところは“少ない開発期間の中でいかに強く印象に残すか”を考えた結果ああなった、というのがラストステージの全体的な経緯です。

 また、ここだけの話、ラスボスの片方(どちらかといえば難易度が高い方)についてですが、実はプレイヤーのそれまでの武装の使用率が行動選択確率に反映されるような作りになっています。

 プレイヤーが好んでよく使っていた武装が選ばれやすくなっているはずなので、これによって“かつての自分(プレイヤー)と戦っている”感覚に近づけたいというのが狙いでした。ただ、実験的な意味合いが強かったので、演出としてはあんまりうまくいっていないような気がします……。

 ゲームバランスというのも、なかなか難しいものです。

ーー『ゼロ3』でケインとジェニファーが登場します。『ゼロ1』では名前だけ、『ゼロ3』では本人が登場という流れに驚きました。こちらの経緯は?

 『ゼロ1』の時点では、『メタファイト』ファンに向けたファンサービスという位置づけだけだったのですが、『ゼロ2』で宇宙を旅する話にしたいけど、旅の理由と目的地を考えたら“惑星ソフィア”しかないということで、最終的に辿り着いてしまったのです。

 結果的に『ゼロ3』で出さないわけにはいかなくなった……というと、これまた行き当たりばったりな感じになってしまってますが、狙ったわけでもなく「いろいろと考えていたら必然的にそうなっていった」というのが正しいでしょうか。

 インティ・クリエイツはあくまで『Blaster Master(メタファイト)』という作品をお借りしているに過ぎないので、オリジナルを作ったわけでもない我々が、原点に踏み込むようなことをするのには相当な覚悟が必要で、普通はあまりやるべきではないと思うのです。しかし、よく考えたら“別の『ゼロ』”でもそういうことをしていたので、「むしろインティ・クリエイツだからこそやるべきだ」と思いました。

 そういう企業体質なのかもしれません。いや、違うかもしれませんが(笑)。

 『ブラスターマスター ゼロ』シリーズ、特に『ゼロ1』は、「NES『Blaster Master』とその原作であるFC『超惑星戦記メタファイト』のリメイクである」という紹介をされることが多いのですが、作っている側としては“リメイク”を作っているつもりはなくて、『メタファイト』に連なる『超惑星戦記』シリーズという大きな流れのひとつであり、過去作品を整理してなるべく橋渡しするための“リブート”であると考えて作っています。

 ライセンス元のサン電子(サンソフト)さんは、古いIPを風化させないよう努力されている企業で、『ゼロ1』も元々はそこから始まっています。

 『メタファイト』を知らない人や、『Blaster Master』に慣れ親しんできた海外の人からすれば“ケイン”や“ジェニファー”と言われても、「このキャラは誰?」になると思うんですが、原点には『超惑星戦記メタファイト』というゲームがあったということを知るきっかけになってほしいという想いを込めて作っていた……のでしたら、美談にできたかもしれなかったんですが、作っている時はそんなことをこれっぽっちも考えていなくて……まぁ結果オーライということで(笑)。

 なんというか、出したかったんですよ、ケインを! オリジナルのメタル・アタッカーで立ちはだかってほしかったんですよ!!

 『ゼロ1』の最後で思い付きで無責任に結婚させちゃったもんだからジェニファーだけじゃなく、2人の子どもとしてエヴァも出して……と、これもまぁ世界観の広がりに一役買った形になったので、結果オーライということで。

ーー『ゼロ3』では、『ゼロ2』から“ライプニッツ”と“カンナ”が引き続き登場しますが、この2人を選ばれた理由は?

 「次があったら」はつねに考えているものなので……。

 ライプニッツは『ゼロ2』の時から、もし『ゼロ3』があるなら一番重要な役割を果たすだろうと位置付けて生まれたキャラクターでした。そんなわけでここに関してはもう理由がないというか、“必然”としか言いようがありません。

 少し余談ですが、“ライジングガルーダ”はとにかく強くあらなければならないので、前作でのライプニッツの機体“ガルーダ”の光速さをよりカッコよく突き詰める方向性にしたのです。担当のプログラマーにはライプニッツの言葉通り「もうここで『ブラスターマスター ゼロ 3』終わりにしちゃっていいから」と伝えて作ってもらいました。

 でき上がったものに、さらに私の方で調整を加えたのですが、担当プログラマーは発売後に「担当したのに、実際にプレイして戦闘が始まったら速くて隙がなくて笑いが出た」と言っていました。

 カンナに関しては、海外で人気があるので、海外ユーザーのニーズを考えたら出さないわけにはいかないという、商業的な理由もあるのですが、カンナがいる“惑星ストランガ”の、ミュータントすら凌駕する超環境が『ゼロ3』でも何かしら関わってきたら伏線としておもしろいんじゃないかと、『ゼロ2』の時にうっすらと考えていたのが理由です。

 また、『ゼロ2』発売後に配信したDLCミニゲーム『カンナをそだてまストランガ!』のカンナの成長バリエーションを、社内のいろいろな人に用意してもらっている中で、『ゼロ3』のカンナのエピソードが固まっていきました。

 ……まぁ最終的には、ライプニッツやカンナに限らず全員出てくるんですけれども。

ーー『ブラスターマスター ゼロ 3』はとてもきれいな終わり方をしたと思うので、やや変な質問になるのですが……新作『4』や新シリーズの構想はありますか?

 「次があったら」はつねに考えて……(笑)。

 “サイドビュー+トップビュー混成探索アクション”というジャンルは、ほぼ唯一無二のものですし、個人的には「まだまだ全然作り足りない!」と思っています。作るとなると本当に大変ですが……。

 ただし、会社としては“このシリーズにちゃんと需要がある”と見込めないと、なかなか次に繋がっていかないという大人の事情があります。

 かといってプロモーションもずっと続けられるわけではないので、ここから先はこのシリーズを遊んで気に入ってくれたユーザーの皆さんのまわりで、こういう“何かいいモノ”に飢えている人がいれば、ぜひオススメしてもらって、感想を言い合っていただき、コミュニティの輪を広げていっていただけるとうれしいと思います。

 単純にレビューやちょっとした感想を発信していただけるだけでも励みになります。

 うまくいけば、またいつの日か“次”をお届けする時が来るかもしれませんよ! ……保証はできませんが。

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