『僕のヒーローアカデミア』福圓美里さんインタビュー。トガヒミコとの出会いや新章の見どころは？
- 文
- kbj
- 公開日時
TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』に出演するキャストインタビューを掲載します。
『僕のヒーローアカデミア』は“個性”豊かなヒーローが敵（ヴィラン）と戦いを繰り広げる人気作品。2021年でTVアニメ放送開始から5周年を迎え、物語は新たな展開“ヴィランアカデミア編”に突入します。
新章開始に際して、敵（ヴィラン）の紅一点・トガヒミコ役の声優・福圓美里さんにインタビューを実施。トガヒミコの持つ魅力やキャラの印象、この後の物語における見どころについて、伺いました。
繊細な表現が難しくもやりがいのある“トガヒミコ”の魅力
ーートガヒミコがどのようなキャラか、改めて教えていただけますか。
普通の女子高生ではあるのですが、血を吸うことに興奮を覚える敵（ヴィラン）の女の子です。彼女の“個性”（能力）もそれに直結していて、血を吸うことで吸った相手に変身できます。
ーーキャラを演じることになったきっかけは？ また、ご覧になった時の印象は？
トガちゃんを演じることになったのはオーディションではなく、指名がきたことでした。
『ヒロアカ』がおもしろい作品で、とても人気があることは知っていました。テレビや本屋さんでプロモーション映像を見るたびに魅力があって、「演じがいがありそうだな」や「参加している人がうらやましい」と思っていたんです。
そんな時に『ヒロアカ』のお話がきて、役を聞いてみるとトガちゃんでした。キャラの中でもやりたかった役をピンポイントでいただけたのはうれしかったですね。
最初は猟奇的なところがあるけれどカワイらしい女の子、というイメージでした。そこでカワイイ感じで演じたら、音響監督さんから「福圓さんにそれを求めているわけないでしょ」と言われましたね（笑）。
ーー演じる際にはどのようなことを意識されているのでしょうか。
トガちゃんは“サイコパス風なキャラ”にならないように注意しています。例えば、「好きな人を見ると血を見たくなるよね」というようなセリフがあるのですが、その時には「いかにもアニメーションにおける、サイコパスな役の表現をやらないで欲しい」と音響監督さんに言われました。思わず周りが避けてしまうような本当に危ない人にして欲しいと。
自分の中でキャラクターを掴みきったり、すべてを理解して演じてしまうと、当たり前ですが私は血を吸いたい欲求はないので、変に正当性が出て常識人っぽくなってしまうんです。
そのため、言葉にするのは難しいですが、「この反応を取られたらこちらはゾッとするな」という表層がまず最初にあって、それから中身を埋めていくような感じで演じました。
ーー演技に際してスタッフから方向性の指示があったり、相談したりはありましたか？
音響監督さんがお芝居に精通されている方で、現場でいろいろ助けていただきました。1つ1つ「ここは相手に話しかけないで」など会話の矛先を整理してくださり、「こういう効果が欲しいんだな」と認知しながら作っていきました。
原作マンガのイメージプラスアニメ制作の皆さんのイメージを合わせながら演じているのですが、シーンが増えていくたびにトガちゃん像が構築されていきました。トガちゃん自身も話が進んでいくうちに少しずつ変わってきているので、その変化の塩梅を見ながら表現できるように演じています。
ーー『ヒロアカ』のエピソードでお気に入りのものを教えてください。
ありすぎて困りますね（笑）。
トガちゃんにしぼると、“死穢八斎會編”でしょうか。トゥワイスと一緒に行動するようになって、些細なやりとりが伏線になっているのがいいですよね。
トゥワイスが言っていた「結婚してくれ」はネタだと思っていたのですが、後のすごくいい展開の伏線だったりして……。トゥワイスのなかでトガちゃんの存在が大きくなるのもいいです！ 今ではトゥワイスとトガちゃんが一緒にいるとすごくうれしいです。
ーー凸凹でありつつ、いいコンビという印象です。
トガちゃんが「包めばひとつですよね」とトゥワイスの頭に布をかぶせるシーンがあるんです。彼女的には優しさだと思っていないかもしれないですが、そこにトガちゃんの普通の少女らしさが垣間見えましたね。人間味が表れていて、すごく好きなエピソードでした。
敵（ヴィラン）同士のつながりは、それぞれ違っているんですよ。仲間が殺されたことに憤りを覚える人がいれば、そうでない人もいる。自分のコミュニティを傷つけられたことに対して、自分を傷つけられたということだと解釈する人もいる。分かりやすいつながりではないのですが、その描き方がすごく絶妙だなと感じます。
ーー立場的にトガヒミコは敵（ヴィラン）ですが、もし雄英高校に入っていたらどんな学園生活を送っていると思われますか。
彼女が口で言っていること、そのままじゃないでしょうか。デクくんのストーカーをして、お茶子ちゃんや梅雨ちゃんと恋バナをしていたと思います。
もし、目覚めた“個性”が違っていたら、違う展開になって、よりよかったかもしれません。血を吸いたい衝動が先で“個性”がついてきているのか、“個性”の片鱗があったから衝動が出てしまったのかはあいまいですが……例えばこれが“キスする”とかだったら問題はないわけですから。そこが悲しいですよね……。
普通に女子高生をしているところも見たかったなと思います。
ーートガヒミコは変身という“個性”の持ち主ですが、福圓さんがこの能力を使えるとしたら、どのようなことをしたいですか。
180センチのイケメンになりたいですね（笑）。私は身長が低いので、違った世界を見たいというのと、その姿で女性をくどいて歩きたいという願望が強いのです。
そのため、生まれ変わったら私は絶対に180センチのイケメンになると決めています！ もしくはパリコレモデル！
とにかく背の高い人になりたいです。
“ヴィランアカデミア編”では敵（ヴィラン）サイドの過去に注目してほしい
ーー今回の物語では、トガヒミコはどのような立ち回りを担っているのでしょうか？
大枠としては、異能解放軍が敵（ヴィラン）連合に宣戦布告する流れに巻き込まれる形にはなります。トガちゃんは、異能解放軍の幹部の女性“キュリオス”と戦います。
『ヒロアカ』はどんな敵にも感情移入できるというか、嫌いになりきれないことが多いんですが、キュリオスは違いましたね。私がトガちゃんを演じているからかもしれないでけれど、すごく嫌な女で嫌いです！（笑）
表向きは出版社の人間で、報道する側ということもあってか、世間の枠に当てはめようとしてくるんですよ。ただ、実は全部間違ってもいないところがより嫌なんですね。私は勝手にそうくみ取ったのですが、トンチンカンなことだったらトガちゃんだってあんなに嫌な顔をしないし、彼女が嫌った「不幸・かわいそう」という表現は100％間違ってるわけでもない。
でも知りもしないのに、話もしてないのに、大多数の“普通”を楽しそうに押し付けてくる。レッテルを貼って晒しあげてくる行為が、嫌いなんです。……ですが、本田貴子さんが演じていて、演技がメチャクチャお上手なので、結局嫌いになれないんですよね（笑）。
ーートガヒミコの“個性”が覚醒するという、珍しい展開がありました。この展開に、どのような感想を抱かれましたか？
元々のトガちゃんの“個性”は、戦いづらいものでした。強い皆さんに紛れてはいたものの、前線に出られないので暗躍することが多かったんですね。
今回覚醒することによって、前線に出られる可能性が出たことはうれしいです。危機的状況の中で「出久くんのそばにいるお茶子ちゃんが羨ましい。お茶子ちゃんになりたい。」という好きをベースにしたモチベーションでの覚醒はとても彼女らしくて素敵です。
ーー物語では過去が描かれています。
彼女の生い立ちのエピソードは、どれも胸をうちすぎるもので、印象的でした。コミックを読んだ際には、先が気になって止まらなくなってしまい、泣きながら一気に読んでしまいましたね。
トガちゃんが普段ニヤニヤしていることは、気持ち悪がられるからせめて笑顔で笑っていようと思ったんだなとか、異端だと言われることに彼女自身傷ついていたんだなと、端からは分かります。
第三者から見ると不幸ですがそれは見る側がそう思えばいいだけであって、彼女は自分に悲劇性なんか全然感じていないんです。感じないようにしています。「私は普通に生きたいの」というセリフが印象的で、つい絞り出して言いたくなるのですが、そもそも哀れまれることを彼女がよしとしていないので、それを演じるのは難しかったです。
ーー具体的に、意識されたことや、難しかった部分などは？
第三者側の印象とトガちゃんからの見えている世界が全然違うので、あまり悲劇を背負わないように、自分のやっていることや自分の価値観が間違っていると思っていないので、ただ当たり前のことをしゃべっているように心がけました。
だからといって普通にやりすぎるとサラッとしすぎて、いつもと変化がなくなります。傷はあるのだけど自覚していない、それを表現するのは難しいと感じましたね。
傷があることを感じたのは、キュリオスに過去のことを言われたときの嫌がり方です。未だかつて見たことがないくらいの嫌な顔をするので、そこについては親近感が沸きましたし、トガちゃんをより一層好きになりました。
ーー今回のエピソードで気になるキャラを教えてください。
新キャラは、みなさんカッコいいです！
キャラではなく物語になってしまうのですが、弔くん（死柄木弔）の過去話のパンチが強すぎました。ここだけを読んでいる時には、「デクくんを応援できないかもしれない……」といった気持ちになりましたね。
とはいえ、その先の展開を見ていくと「やっぱりデクくん素敵」となるので『ヒロアカ』はすごいと思うのですが、弔くんの過去話では弔くんが一番好きになりすぎちゃいました。
家族構成はビックリしましたし、唇や目の周りがくすんでいるのは全部理由があって、ヒーローと敵（ヴィラン）は紙一重で少し道がずれただけというところを一層感じました。
エピソードの中でも弔くんのお母さんの描写は夜中に嗚咽するくらいに泣いてしまいましたね。
ーーあらためて、演じているキャラの魅力はどこにあるとお考えですか？
敵（ヴィラン）の中で唯一の女性というのは大きなアイデンティティだと思うのですが、トガちゃんの魅力はビジュアルと能力のエグさの乖離だと思います。
また、彼女の美学がはっきりしていて、興味のあるものないものがあるので、回りと状況に左右されないところも魅力ですね。
髪形や好みにしても全部マイワールドがあり、いいと思ったものはいい。誰かの手前でせざるを得ないといったものがないところは、魅力的に映るのではないでしょうか。
ーー最後に敵（ヴィラン）の物語を描いた今回のエピソードの見どころを含めて、読者にメッセージをお願いします。
私は演じているキャラが敵（ヴィラン）になるため、あちら側の立ち位置になっているからかもしれませんが、敵（ヴィラン）のメンバーがさらに好きになるようなエピソードが山盛りで入っています。
それぞれの過去を確認することで、どうして今、みんながこうなっているのかがはっきり分かると思います。トガちゃんはもちろんですが、弔くんの過去は本当につらいのですが胸を打たれるエピソードなので、ぜひ見てください！
©堀越耕平／集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
