耳の穴を塞がないイヤリング型ワイヤレスイヤホンの実力は?【澤田屋ガジェット本舗】
- 文
- 澤田真一
- 公開日時
ambieが耳の穴を塞がないワイヤレスイヤホン『ambie sound earcuffs AM-TW01』(以下AM-TW01)の予約を受け付けています。
これはイヤリング感覚で装着できるイヤホンで、耳に極力負担をかけないデザイン設計。“耳に入れる”ではなく、“耳にかける”製品です。一見、不思議な形のイヤホンですが“合理的な設計のワイヤレスイヤホン”として、あらゆるメディアで注目されているようです。
独特な装着具合
さて、筆者はこれまでにも様々なワイヤレスイヤホンを取り上げてきました。
どの製品にも強い個性が見受けられますが、『AM-TW01』は極めて特異な製品です。装着の仕方からして、通常のワイヤレスイヤホンとはまったく違います。
早速試してみましょう。鏡を見ながら『AM-TW01』を耳に装着……と言いたいところですが、ここで問題が。とりあえず左耳にはめることはできましたが。
右耳にはどうしても『AM-TW01』がはまりません。
これは筆者が10代の頃、格闘技の練習で耳を潰してしまったため。しかし、『AM-TW01』の音を聴くことはできるため引き続きレビューします。
スマホとはBluetoothでペアリング。このペアリング作業は非常に簡単で、まったく難儀することはありません。デバイスに一度紐付けすれば、そのあとは収納ケースを開けることでペアリングを実施するという珍しい設計でもあります。
“耳の穴を塞がないイヤホン”というのは他にもありますが、筆者の知る限り『AM-TW01』と同様の仕組みを持つ製品はambie以外のメーカーからは出ていないと思います。同時に「本当にこれで音楽が聴けるのか?」という不安もあります。
ミュージカルの名曲を聴く
今回、『AM-TW01』を試す上で選んだ曲は1964年の映画『マイ・フェア・レディ』の挿入曲『With A Little Bit of Luck』。歌うのはスタンリー・ホロウェイです。
『マイ・フェア・レディ』は、イギリス人の“英語の発音”に焦点を当てたミュージカル作品。オードリー・ヘップバーン演じる主人公のイライザはロンドンの下町生まれの庶民で、“コックニー”という訛りで話します。「A」を「エー」ではなく「アー」と発音する訛りで、「Hello」を「アロー」という具合に頭のHを飛ばすという特徴もあります。
ある夜、たまたまイライザを見た言語学者のヘンリー・ヒギンズが「イライザの言葉を矯正して、上流階級のレディに仕立てよう」という遊びを思いつきます。ヒギンズはイライザに特訓を施し、下町訛りを矯正していく……というストーリーです。
この作品に登場するイライザの父親アルフレッドは、飲んだくれのロクデナシ。働かずに毎日パブに入り浸っています。そんなアルフレッドが劇中で「神様は俺に鉄腕をくれたが、ちょっと運さえありゃ遊んで暮らせる」と明るく歌い上げるのが『With A Little Bit of Luck』です。しかもアルフレッド役を演じるホロウェイは、これを下町訛りで通します。
『AM-TW01』でこの曲を聴いてみると、まるでアルフレッドがすぐ脇にいるような感覚に陥ってしまいます。ここは20世紀初頭のロンドンのパブか? そう錯覚してしまいそうなほど、この製品の音質には臨場感が備わっています。そして『AM-TW01』は、容赦なく重低音を利かせるロックよりも『With A Little Bit of Luck』のような軽い調子で歌詞を紡ぐ曲との相性がいい気がします。
「会話しながら音楽視聴」が可能
考えてみれば、イヤホンというものは洒落たデザイン設計が難しいものではないでしょうか。
何しろこれは、「耳に装着しなければならない」という絶対条件があります。人間工学を追及すると、どうしても似たり寄ったりなデザインになってしまうのかもしれません。しかし『AM-TW01』の場合は、良い意味で周囲の人が一目置くような外見です。「あの人、ちょっとお洒落な感じだな」と思わせるようなデザイン、と書けば適切でしょうか。
耳の穴を完全に閉塞するものではないので、没入感という点では従来型のイヤホンのほうが優れているかもしれません。しかし、環境音を打ち消さず気軽に音楽を視聴したいのなら、『AM-TW01』はその期待に応えてくれるはず。テレワークの合間の気分転換にも、大いに役立つイヤホンです。誰かと話しながらの音楽視聴にも、『AM-TW01』は真価を発揮してくれます。
公式サイトで予約受付中
この『AM-TW01』は、ambie公式サイトで予約を受け付けています。
価格は1万5,000円で、カラーはホワイト、ブラック、クラウドグレーの3色。ただしクラウドグレーはシーズン限定色のため、現在はホワイトとブラックの2色のみが予約可能です。
さらに注意点がいくつかあります。この記事に掲載されている画像内の『AM-TW01』は、あくまでもサンプルです。製品版とはケースの仕様がやや異なります。
ですが、やや飽和気味のワイヤレスイヤホン分野に新風を巻き起こすほどの斬新さが『AM-TW01』にはあります。今後期待の製品です。
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