スクエニのこだわりが詰まった『ダンジョンエンカウンターズ』。“システム全振り”の尖ったゲーム性とは?

スズタク
公開日時

 スクウェア・エニックスから10月14日(※)に発売されるPlayStation 4/Nintendo Switch/Steam用ソフト『ダンジョンエンカウンターズ』。その先行レビューやTGS試遊範囲のレポートをライターのスズタクがお届けします。

※Steam版は10月15日に配信予定です。いずれもダウンロード専売で、価格は税込3,520円です。

 『ダンジョンエンカウンターズ』は、スクウェア・エニックスが贈る完全新作のダンジョン探索RPG。最大の特徴は、派手なビジュアルや演出、ストーリーなどを極限まで抑え、ゲームシステムそのもののおもしろさを突き詰めている点です。

 本作のディレクターは『FFIV』や『FFV』、『FFタクティクス』などでゲームデザイン・バトルデザインを担当した伊藤裕之さんが手掛けており、ゲームシステムやバトルデザインにとことん注力した作風になっています。

 そんな『ダンジョンエンカウンターズ』を発売に先駆けてプレイできたので、レビューをお届けしていきます。また、TGS試遊で体験できたタイムアタックのレポートもありますので、ぜひチェックしてください!

思わず二度見、三度見するほどシンプルなデザイン

 本作をプレイする際、事前に「このゲームはシステムそのもののおもしろさが味わえる」「デザインは飾り気がなくシンプル」「スクウェア・エニックスのなかでは珍しいタイプの作品」といった情報だけ知らされていました。

 個人的にはそういう“シンプルイズベスト”なゲームは好きなので、どういう内容なのかとても興味がそそられましたね。そして、いざプレイしてみると、目に飛び込んできたのは想像をはるかに超える作品でした……。

 本作は、拠点となる00階からひたすら地下へ潜っていくダンジョン探索RPGです。ダンジョン探索型のRPGはたくさんありますが、このゲームではマップが正方形のマスで構成されており、キャラクターをマス上で動かして先に進んでいきます。まるですごろくのような絵面ですが、キャラクターは自由に動かすことができます。

 マスには白い番号が書かれていることがあり、そのマス上に立って調べればさまざまな“イベント”が発生します。階段の上り下り、HPの回復、お店の利用なども“イベント”として管理されています。

 一般的なゲームならば、階層移動時の階段やワープポイント、マップのあちこちにある宝箱、武器屋や防具屋などは個別のビジュアルが用意されているものですが、『ダンジョンエンカウンターズ』ではすべて白い番号が書かれているのみです。ビジュアル表現や演出を控えめにしているとは聞いていましたが、まさかここまでとは……!

 マップ上で敵と遭遇すると、ターン制のコマンドバトルが発生します。『ファイナルファンタジー』シリーズおなじみのATB(アクティブ・タイム・バトル)システムを採用しており、コマンド選択時に時間が停止するウェイト設定も可能です。

 マップ上の敵は、“バトル番号表示”というアビリティをセットすると、黒い番号で表示されるようになります。マスに書かれた白黒の番号を見極めつつ、試行錯誤してダンジョンを踏破していくのが本作の遊び方となります。

 TGS試遊では、ここまで書いたような内容を説明されたのち、45分間で地下10階まで到達できるかのタイムアタックを実施。1階層を5分足らずで踏破しないといけないので、最初はかなり難しく感じましたが、敵のマスを積極的に無視していけば比較的スルスル進めました。

 また、道中のイベントマスで“仮想階段下り”というアビリティを入手できたのも大きかったです。これは、現在地と同じ縦横座標にマスがあれば、1つ下のフロアに瞬時に下りられるという効果があります。このように、探索をラクにするアビリティやイベントマスも豊富に用意されています。

 “仮想階段下り”のおかげもあって、無事タイムアタックは成功。地下10階達成記念として、本作のポスターをいただけました!

  • ▲地下10階に下りると背景が変化。10階層ごとにロケーションが変わるようです。

詰将棋のような楽しさが味わえるバトル

 TGS試遊のタイムアタック後、もっと深くゲームをプレイしてみると、本作のバトルの魅力・奥深さに気づかされました。先述のとおり、バトルはターン制のコマンド式なのですが、敵にダメージを与えるにはひと工夫が必要です。

 敵にはそれぞれ物理防御と魔法防御の数値があり、HPにダメージを与えるにはまず防御値を減らさないといけません。物理属性で攻撃するなら物理防御、魔法なら魔法防御を0にすれば、以降の攻撃でHPにダメージを与えられるわけです。

 物理と魔法の攻撃属性は装備武器に依存しています。本作は最大4人パーティで、基本的に各キャラクターには2つまで武器を持たせられるので、誰にどの武器を装備させるかがとても重要になります。

 また、飛行している敵には弓や銃などの遠距離攻撃しか当たらないので、例えば高威力の剣を装備させていても飛行種相手には無力となります。魔法は飛行している敵にも当たりますが、なかには魔法ダメージを反射させてくる敵もいたり……。

 バトル中はこのような物理、魔法、飛行などの属性を頭に入れつつ、いかに効率よく防御を削ってHPを減らしていくかがカギになります。防御とHPのバランスは敵によってバラバラで、“魔法防御が高いけど物理防御は0”という敵もいれば“どちらの防御も高いけどHPは1”という極端な敵もいます。

 敵味方の行動順を見ながら“最少手で倒す手順”を考えるのは非常におもしろく、詰将棋のような楽しさが味わえます。ダメージ計算などを頭の中で細かく行うので、バトル設定はよほどのことがない限りウェイト推奨ですね。

刺さる人には刺さる“システム全振り”のゲーム性!

 スクウェア・エニックスのRPGといえば、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズなどに見られる壮大なストーリーや美麗なグラフィックが特徴と思う人は多いかと思います。そんなイメージを切り捨て、ゲームシステム特化で生まれたのがこの『ダンジョンエンカウンターズ』です。

 ストーリーもビジュアルもとにかくシンプルですが、ダンジョンを少しずつ踏破していく達成感やバトルの奥深さはたしかに存在し、ゲームとしての魅力は感じられます。少なくとも僕は、クリアまで遊んでみたいと思いました。

 スクウェア・エニックスが現代に出すゲームとしてはかなり異色ゆえ、万人受けする作品ではないと思いますが、システムに振り切ったゲーム性は刺さる人には刺さるかと。Nintendo SwitchとSteamでは間もなく予約開始。発売記念セールとして10月末まで20%オフになるようですので、興味がある人はぜひ手に取ってみてください。

(C)2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: Ryoma Ito

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら