『真・三國無双8 Empires』開発者インタビュー! 特徴的な重ね着や戦況判断が重要な“攻城戦”について質問

電撃オンライン
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 コーエーテクモゲームスより発売予定の『真・三國無双8 Empires』の開発者インタビューを掲載する。

 『真・三國無双8 Empires』は、一騎当千の爽快なアクションを楽しめる『真・三國無双』と、大陸制覇を目指すシミュレーション要素を融合させた『Empires』シリーズの最新作。『真・三國無双8』に登場した94名の無双武将&凡用武将約700名がすべて操作でき、プレイヤーの行動によって変化する自分だけの三国志を紡いでいくことができる。

 東京ゲームショウ2020オンラインで発表され、オープンワールドの廃止や『仁王2』をベースにした多彩なエディット機能などが話題を呼んだ本作。インタビューでは気になる開発状況や魅力をゼネラルプロデューサーの鈴木亮浩さんとディレクターの栗田崇祐紀さんにうかがった。

  • ▲鈴木亮浩さん

 なお、インタビュー中は敬称略。

完成度は95%! 爽快アクションと国取が融合する『Empires』の魅力

――改めてになりますが、本作開発の経緯を教えてください。

鈴木:『真・三國無双』シリーズはナンバリングごとに、『猛将伝』、『Empires』という外伝的な作品を出す展開をしています。

 『真・三國無双8』に関してはシステムを大きく変えたため、『猛将伝』ではなくダウンロードコンテンツやアップデートで少しずつユーザーの皆さんの遊びを増やしていく形にしました。

 そのあいだも『Empires』シリーズのファンの皆さんから「ぜひ出してほしい」という声がたくさん届きまして、その期待に応えなければと開発に着手した形です。

 しかし『真・三國無双8』でオープンワールドに挑戦し、賛否両論いただきまして、このまま開発したらどうなるのかという期待と不安の声がユーザーから上がっていた部分もあります。そのため、どんなゲームの方向性に持っていくか、開発内でもかなり議論しました。

――ナンバリングとは違った楽しさがあるだけに、『Empires』独自のファンも多い印象があります。今回初めて遊んでみようという方も多いと思うのですが、『Empires』ならではの魅力や特徴はどこだと思いますか?

鈴木:メインはアクションですが、それに国取要素を絡めて自由度を高くしています。国取のシミュレーション要素はありますが、複雑にしすぎると爽快感が損なわれ、ユーザーの皆さんに楽しんでもらえない可能性があるのでバランスには注意しています。

 他の特徴としては『無双』シリーズは武将に成り代わって活躍するのに対して、『Empires』はエディットで自分の好きなキャラクターを作って三国志のいろいろな人物の立場を体験できる部分はあると思います。

――さきほど実機映像を見せていただき、発売が近づいているという印象を受けました。現在、開発はどのくらい進んでいるのでしょうか?

鈴木:本日見ていただいた映像が最新版で、ほぼ完成しています。あとは不具合の修正と微調整をするだけなので、95%と言ったところですね。

 発売時期が大きく変更されてしまったのは、調整に時間がかかったためです。作り直したわけではなく、各パートの調整に時間がかかりました。

戦闘やエディットが大きく進化した一方で苦労も!

――開発されているなかで手ごたえを感じている部分を教えてください。

鈴木:手ごたえを感じている部分は“攻城戦”ですね。『真・三國無双8』で三国時代の中国全土をかなりのスケール感で作りこんだので、そこに登場する城を“攻城戦”に活用できると思いました。

 従来は、兵站を繋げて前線を押し上げながら陣を取っていく戦闘だったのですが、今回は実際の“攻城戦”を再現した方がおもしろいだろうというコンセプトで作っています。もちろん攻城兵器用の拠点を落さないといけないなど、ゲーム的な要素もありますが、そういうものもひっくるめて攻略性の多様化という“攻城戦”らしさを表現できたと思います。

 自分でも何度もプレイしていますが、歯ごたえがあっておもしろい出来になっていると感じます。

――逆に、苦労された部分はどこですか?

鈴木:内政の“散策”です。この“散策”は、オープンワールドのマップを活用する遊びの部分として残してあります。ただこの要素があることで、オープンワールドのようなプレイスタイルのゲームだと思われてしまう懸念もあり、社内でも賛否両論ありました。

 気軽に“散策”で遊べるようにしつつ、メインの要素を邪魔しないようにするのが1番大変でした。

栗田:“散策”は大変でしたね。『真・三國無双8』の要素を引き継いでいる作品なので、私もなくさない方がいいだろうと思っていました。しかし社内からは「マップを使うなら、もっと遊びの要素を増やしてほしい」という意見や「遊んでもらいたい要素はそこじゃないよね」という意見があり、バランスに苦労しました。

 また開発として苦労したのは、キャラクターエディット部分です。パーツが豊富なぶん通常の武将よりも処理負荷も高いですし、今までとの差別化や本当に楽しくなるのかという部分も含めて苦労しました。

――キャラクターエディットの多彩さは、本当に魅力的です。どれくらいのバリエーションが用意されているのでしょうか?

鈴木:具体的な数はまだお話できないのですが、基本部分は『仁王2』をベースにしているため、顔や髪型はこれまでよりもかなり詳細に作成可能です。顔の装飾は3つ重ねられ、さらにその上に眼鏡や眼帯などのアクセサリーをつけることが可能で、かなりこだわって作り込むことができます。

 また、今回は、衣服を着た上に防具を着るという“重ね着”のシステムを採用しました。鎧や衣服の数そのものはそれほど多くありませんが、組み合わせることにより、従来よりかなり多くのバリエーションが実現できます。

――衣装を重ねられるのは、かなりおもしろそうです。この要素を取り入れられたきっかけは?

鈴木:細かいエディットができて話題になった『仁王2』が同じ社内にあったので、それを取り入れるのがいいだろうと思いました。ただ、それだけでは驚きが少ないので新しい要素を入れたいと開発と話していました。

 以前から鎧と衣服を別にしたらおもしろいだろうという案はあって、それを現場と話していたんです。しかしプログラマーやデザイナーからは、服と防具の干渉の問題があって「技術的には難しいです」と言われました。ただ、実際の装備も重ね着が基本ですし、個人的にはどうしてもやってみたいなと。

栗田:『真・三國無双8』には平服が用意されていて、本作でも“散策”時は平服で過ごしています。エディット武将だけ違うのは寂しいかなと思って、防具の非表示で散策の時は防具を着ないで平服風に、ということもできるようにしました。散策中に武将と交流するイベントの時も、いかつい防具姿ではない姿になれます。

――新たな挑戦のぶん、大変な作業だったのでは?

鈴木:最初のデザイン段階で、重ねても問題ない、目立たないように気を付けていましたが、実際に3Dモデルを作成して調整する段階になると、開発現場はかなり苦労したようです。

栗田:組み合わせ自体はあった方が楽しいので、いい要素です。ただ、「この服とこの防具を組み合わせると肩が出っ張っているからまずい」など、細かな調整は本当に大変でした。

プレイヤーの戦況判断が戦いの行方を左右する

――先ほどのお話やプロモーション映像からも、“攻城戦”の熱さが伝わってきます。実際にプレイする時に楽しんでほしい部分、または注目してほしい部分はどこでしょうか?

鈴木:井欄や衝車など門を開ける攻城兵器だけでも複数あり、攻略方法がたくさんあります。ただし、攻城兵器を進めるためには陣を取らなければいけないし、兵器を守らなければいけません。

 また敵味方の“作戦秘計”が戦況に大きく関わるので、自軍の作戦を進めたり、逆に相手を妨害したり、戦況に合わせてプレイヤーに判断してもらう場面が多いです。選択肢が多くなるぶん悩みますが、そこがおもしろさにもなっています。

 難易度を上げるだけで勝てなくなったりするので、これまでよりも戦況を見ながら戦うことになると思います。

――確かに実機プレイを見せていただいて、攻守のバランスが重要そうだなという印象を受けました。

鈴木:そうなんです。今回も、出陣している武将に指示を出せるので、そういう選択肢もあります。自分が攻める時に味方の武将に陣を守ってもらうなど、個別指示も重要な要素の1つですね。ちなみに、指示を出せるのは、自分よりも立場が低い武将に対してだけです。

――お話にも出た“作戦秘計”の見どころを教えてください。

鈴木:“作戦秘計”は、戦闘に入る前に自軍の出陣武将の提案から選びます。種類がたくさんあり、効果が高いものは発動条件が難しくなっていたりするので、達成できそうなものにするのか、難しくても効果の高いものを選ぶのか、プレイスタイルによって違いが出る要素です。

 一緒に出陣した武将が提案してくれるのですが、友好度が一定以上だと提案する確率が上がっていきますので、普段から仲よくしておくと“作戦秘計”を行いやすくなります。

――“作戦秘計”は最初に決めたものの他に、突発的に提案されることもあるのでしょうか?

栗田:戦闘前に決めたものだけですね。ただし敵の“作戦秘計”が発動することがあるので、それを阻止するのも大事です。

 また敵将の性格によっては、イレギュラーな動きをしかけてくることはあります。例えば呂布のような猛将であれば、総大将なのにいきなり前線に出てきたり、曹操のような性格の武将であれば伏兵を仕掛けてきたりとかですね。

――新要素“兵科相性”についても教えてください。

鈴木:これは率いている部隊がどの属性を持っているかを表現したものです。自分が“騎兵”を選んだからといって、騎兵となって登場するのではありません。

 基本的には“騎馬”、“弓兵”、“歩兵”が三すくみの状態になっていて、相性が悪い武将と戦うと不利になってしまいます。相性のいい武将だけと戦ってもいいですが、“作戦秘計”との兼ね合いでどうしても戦わないいけない場合も出てくるでしょう。

 そんな時は、味方に近づいて“同行”コマンドを選ぶとその武将と一緒に行動でき、さらにその武将の兵科属性も付与されるので、相性を変えて戦えるようになります。

――本シリーズといえば一騎当千が魅力ですが“同行”することで、背中を預けていると言いますか一緒に戦っている感が増しますね。

鈴木:そうですね。今回は他の武将も活躍してくれますので、楽しみにしていてください。

――自由度も高く判断要素も多くなったぶん、難しい印象を受ける方もいると思いますが、フォローはあるのでしょうか?

鈴木:バランスは難しいところです。難易度で調整できるほか、プレイヤーが調整できる部分があります。

 プレイヤー武将の強さは装備に因るところも大きいです。武器装備に宝玉を装備して、パラメータを底上げできるようになっていて、アイテムは周回プレイでたまっていくため、遊ぶほどいい装備を集められるようになっています。アクションが苦手な方はうまく利用していただきたいです。

 また『Empires』では、状況や立場を選べます。在野武将でのプレイは難しいですし、ある程度国ができあがった後半シナリオではより在野から国を興すことが難しく、難易度の高いプレイを楽しめます。シナリオと立場を調整することで自分に合った難易度で遊んでいただけるので、まずは大きい勢力の武将で慣れていくのがいいかなと思います。

――戦いだけでなく、プレイによって変化していくドラマも見どころの1つです。シナリオ面についても聞かせていただけますか?

鈴木:本作もこれまで同様、イベントをたくさん用意しています。プレイスタイルによってパラメータが変化し、それによって得られる称号が変化して「自分はこういう風に遊んでいるのか」ということもわかるようになっています。

 自分のプレイスタイルによってイベントが変化します。親しくしている味方武将と義兄弟になったり結婚したりすることが可能で、夫婦や義兄弟など関係性によって発生するイベントもあります。

 また『真・三國無双8』で用意した景勝地を舞台にしたイベントもたくさん用意したので、そちらも楽しみにしてください。

――最後に発売を楽しみにしている読者に、メッセージをお願いします。

鈴木:去年の東京ゲームショウで発表させていただいてから丸1年。まだ発売日も発表しておらず申し訳なく思います。今年の東京ゲームショウから大きく情報を出せることになり、さらに10月2日の公式生放送内で発売日も発表することになりました。今後はどんどん情報を発信していきます。

 新要素の“攻城戦”は、やりごたえのある内容に仕上がっていますので楽しみにしてください。

 ユーザーに向けた体験版の配信も検討していますが、メディアやインフルエンサーから情報が公開されていくので、まずはそれを見ていただき、続報をお待ちいただけたらと思います。

栗田:お待たせしてしまい、申し訳ございません。皆さんの期待にそえるように開発してきました。ファンがクスッとできる仕掛けも用意しています。シミュレーションとして武将集めをして自分だけの三国志が楽しめる作品に仕上がっているので、楽しみにしていただけたら幸いです。

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