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それでも会場にはゲームがあった。専門学校ブースのゲームに感動【TGS2021/電撃インディー#97】

まさん
公開日時

 9月30日~10月3日の4日間にわたり、一般層を対象としたオンラインイベントとメディア向けのオフライン放送(&VR会場)が同時開催で行われた“東京ゲームショウ2021(TGS2021)”。

 2020年は昨今の情勢を受けてオンラインのみの開催となっていましたが、今年はプレスおよびインフルエンサーのみを招くことでオフラインでの開催を実現。例年から規模を大幅に縮小しましたが、2019年以来、久々に千葉県の幕張メッセでイベントが行われました。

  • ▲例年に比べて広告も少なく、人もまばら。寂しい物があった反面、ドーンと広告を出してくれた『エクス アストリス』はかなり目立っていました。

 会場に入れない一般層には、TGS2021オンラインとして各メーカーが最新情報を配信したり、公式サイトでは特別なVR会場が設置されたりするなど、オフラインとオンラインの同時開催という新しい試みが行われたTGS2021。インディーゲーム担当として長年TGSを取材してきた担当ライター・まさんが、オフライン会場での様子をお届けしていきます。

厳しい感染対策と徹底した人数制限のもとに行われたオフラインイベント

 今年は世界的にワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたこともあってついにオフラインでのイベントが再開!

 プレス&インフルエンサー限定ですが、幕張メッセでTGS2021が開催されました。終日ビジネスデーというこれまでにない形ではありますが、開催できただけでも感動です。やっぱり、オンラインだけではなく現地で実際に触れる機会があること自体がゲーマーとしてうれしい!

 いつもなら人でいっぱいの入口も今回はガラガラ。受付の場所も変わっていました。ビジネスデーでも、ここまで静かな開場は初ですね。これはこれで新鮮かも。

 毎年お昼を食べていたレストランも最終日以外締まっていましたが、開催されただけありがたいものです。たぶん、自分は1ゲーマーとして今年のTGSを忘れることはないと思います。撮影しているだけでも、なんだか感慨深いものがありました。


 最終日だけの営業となっていたレストランの入口や感染症対策が書かれた看板。まだ日常と非日常が入り混じった空気を感じました。今年の合言葉「それでも、僕らにはゲームがある」が、心に重く響きますね。

 会場の広さはいつもの4分の1程度。展示されていた作品や出展メーカーも例年より少なかったのですが、それでも熱気を感じられたのが専門学校生やインディーゲームのブース。

 例年だと、どうしてもメーカー取材が中心で回りきれないのですが、今年は4日間たっぷり使って専門学校生のブースを中心に回ってきました。個人的に楽しかったですし、収穫もあってニッコニコ。

  • ▲写真に写っている範囲で、ほぼすべての展示が収まっています。1区画のさらに半分以下のスペースですが、展示されているゲームと開発者の熱量は例年以上!

日本工学院のレベルの高さと、製品として欲しい掘り出し物『チューズ』に驚愕!

 今年は専門学校生や大学生の作品をじっくり見るチャンス……と考えて、最初に向かったのが日本工学院専門学校。ここでは、展示されている4つのゲームを遊べました。

 何より驚いたのは、どの作品もレベルが高いこと。展示されていた『モノハコビのプロ』『Wild West Locomotive』『チューズ』『Chainer』の4作品は、インディーゲームのブースと比べてもそん色なく、卒業生たちの将来が楽しみな完成度でした。

 まず、タッチで車の荷台に物を載せていく『モノハコビのプロ』。荷台に物を乗せるパートと、乗せた荷物を落とさないようにトラックを動かす2つのパートが楽しめました。乗せるのはもちろん、動かしながらバランスを取るのがもどかしい! でも、そこがまた良し。

  • ▲『モノハコビのプロ』は、現在スマートフォンでも配信中です。

 『Wild West Locomotive』は、打って変わって西部劇。列車上から狙いを定めるのは大変ですが、うまくヘッドショットできると快感! 連続で的を攻撃して高得点を狙う。連結部を攻撃してルートを変えるなど、短い中にやり込み要素もありました。

  • ▲貨物列車の屋根に乗って、迫ってくる悪党たちをバンバン撃つゲーム『Wild West Locomotive』。

 鎖でつながれた2人の少女を主役にしたジャンプアクション『Chainer』も独得の楽しさ。ボタンを押すと少女たちが交互に右回転、または左回転で飛びあがり、クルクルと回転しながら飛んでいくほかにない浮遊感が特徴です。コツがわかるとスルスル飛べて楽しい!

  • ▲遠心力を感じる操作感と言うべきか……実際に遊んでみないとお伝えしにくいジャンプ操作が特徴の『Chainer』。

 そして、今回のイチオシが『チューズ(CHOOSE)』。これは数ある専門学校の展示作品のなかでも、いや、展示されていたインディーゲームのなかでも上位に来る面白さのパズルかもしれません。

  • ▲アイデアをきっちり形として仕上げ、かなりうならされるパズル『チューズ』。

 内容は、メビウスの輪の上を歩いてゴールまで目指すパズルゲーム。パネルを回転させて裏と表を入れ替え、上下を切り替えて道を作り、入れ替えて……と遊んでいると頭が混乱しそうになるのですが、うまく繋がって解けたときの気持ち良さが何とも言えないのです。思わず、ずっとプレイしそうになったくらい。製品版として遊びたいくらいのアイデア物なパズルでした。

  • ▲回転させてグルグル見渡すと、あそことあそこが繋がるな……なんて気付いたりして……これ、スゴイ作品ですよ!

日本電子専門学校ブースに展示してあった20作品を連続でプレイ!

 次に向かったのが日本電子専門学校。VRなどは時間がかかるので触れられませんでしたが、展示されていたゲーム制作科や企画科などの20タイトルを一気に遊んできました。流石にすべてを画像で紹介しきれないので抜粋しますが、どれも若さと情熱を感じられて楽しかった! みなさん、良いゲームクリエイターになって欲しいものです。

  • ▲個性的なゲームがたくさんありました。最近の専門学校作品はレベルが高いので、TGSの一般公開が再開したらブースを回ってみてください。
  • ▲6番のみ諸事情でプレイできませんでしたが、1~20番のゲームをすべて遊んできました。

 オバケに追っかけられながら探索するホラーゲーム『Orgal』や、敵に応じてパレットの色を変え、撃つ弾を変えて戦っていく『パレット・バレット』など、個性的な作品が揃っていた1~5番のタイトル。そのなかで気に入ったのは『あめのかえりみち』です。

 これは、土砂降りの雨の中で家路を急ぐゲーム。走ってくる車や雨に当たって濡れないように、傘を動かしながらおうちを目指していきます。

 かわいらしいゲームではあるのですが、濡れると傘も女の子もボロボロになっていくのがかわいそうで……。なんとかゴールしたのですが、濡れすぎて母親に怒られてbad endになってしまいました。この家キビシー!

  • ▲女の子と傘の濡れ具合をうまく調節しながら、チェックポイントを経由しておうちを目指す『あめのかえりみち』。

 フィールドをグルグル回転させながらギミックを解き、ゴールを目指す3Dパズルアクション『Mystrick』も気に入ったのですが、6番から10番のなかでは9の『RACING-D』が好みでした。

 ドローンを使ったレースゲームですがスピード感もあって、上下の高低差を意識して動かしながらリングをくぐっていく感覚が楽しかったです。

  • ▲シンプルに楽しめたドローンレース『RACING-D』。ドローンを動かしますが、操作は難しくありません。

 11番から15番は特徴的なゲームばかり。遊んでいる人を見ると、LRボタンを使って張り手や組み手などを細かく操作できる対戦型相撲ゲーム『天下開山』の人気が高かったようにも見えました。

 自分は、12番の『椅ースポーツ』を推したいところ。小学生の休み時間みたいなバカバカしい実況で思わず笑っちゃいましたが、椅子が行き過ぎないようにうまく力を調節するゲーム部分もよくできていました。

  • ▲椅子を使ったカーリングという小学生みたいな発想に負けた『椅ースポーツ』。

 16から20番のなかでもっとも感心したのは『モーセの啓示』。素材を集めて建設を行ったり、人を探索させてバトルさせながら街を発展させていくシミュレーションなのですが、チュートリアルがとにかく丁寧。遊ぶ人のことを考えて作られており、詰まることなくプレイできました。こういう丁寧さを持つ人はいいクリエイターになりそうです。

  • ▲チュートリアルがわかりやすく、ゲーム部分のテンポも良かった『モーセの啓示』。

 隣に設置してあったレースゲームやVRも気になったのですが、20タイトル遊んだだけでも相当な時間を潰してしまったのでいったん離脱。会場でしか遊べないゲームができるのも、専門学校ブースの良さですね。

Vantan Game Academyブースで1人用ゲームをプレイ!

 続いて立ち寄ったのが、ピンク色がド派手で目立つVantan Game Academyブース。とにかくピンクで目立つ! ブースそのものがカラーのおかげもあってわかりやすい作りでした。


 ここで遊んだのは、シングルプレイ用のタイトル。武器を切り替えながら戦うウェーブ制のアクション『Never Ends Act』や、空を飛びながら正面から来る弾幕を避けて戦う3DSTG『Imperial Wizard』など、爽快感のある作品が目を引きました。

  • ▲ボタンごとに振り分けられたアクションを駆使して、次々と敵を切っていく『Never Ends Act』。

 リサイクルをテーマに作られながらも、正反対な雰囲気だった『めびうす島漂流記』と『SIGMA』にも注目。

 かわいい女の子がサバイバルする前者は、空腹や水分のパラメータもあって割とガチ目のサバイバル。後者のほうは、敵を倒すと画面下のベルトコンベアに敵が流れていき、素材を手に入れて武器や防具を作っていくなかなか強烈な横スクロールアクションでした。

  • ▲空腹や水分の要素もあったサバイバル『めびうす島漂流記』。脱水しながらも、なんとか1ステージをクリアできました。

 他にも、広島市立大学×Movere Inc.が展示していた『VR用歩行装置 Crus』なども遊びたかったのですが、人気があってプレイする機会を掴めず断念。

 ブースが少なくても全部遊びきれないくらいでしたが、例年以上に専門学校や大学のゲームが遊べて大満足です。最近は専門学校作品のレベルがなかなか高く、ゲーム業界の未来は明るいですね……って、専門学校ばかりでインディーゲームのブースレポート全然できてないじゃん! というわけで後編に続きます!!

東京ゲームショウ2021 オンライン 開催概要

【開催期間】9月30日~10月3日
【参加料】無料


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