『FFRK』間P&佐々木Pに直撃インタビュー! 5周年を迎えた今と未来を聞く

スズタク
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 スクウェア・エニックスとDeNAがサービス中のiOS/Android用RPG『ファイナルファンタジー レコードキーパー(以下、FFRK)』の開発者インタビューをお届けします。

  • ▲左から佐々木悠プロデューサー、間一朗プロデューサー。

 インタビューのお相手は、スクウェア・エニックスの間一朗プロデューサーとDeNAの佐々木悠プロデューサー。4周年インタビューと同様、開催中の5周年イベントや新機能についてお話を伺いました。

アプリ業界とともに成長してきた『FFRK』

――『FFRK』5周年おめでとうございます! 昨年もインタビューさせていただきましたが、今年もお話を聞かせてください。

間一朗さん(以下、敬称略):5年経った今だからそろそろ言っちゃいますが、最初はこんなに続けられると思っていなかったです(笑)。やるならできるだけ長く続けようとは話し合っていましたが、まさか5年後もこうして携わっているとは想像していませんでした。

佐々木悠さん(以下、敬称略):『FFRK』が始動した当時は、まだスマートフォンアプリのなかで長期継続しているタイトルが少ない印象でした。なので、正直僕らもどうやれば長く運営できるのかわからなかったですね。そんな手探りのなかスクウェア・エニックスさんとご一緒してきて、気づけば5年も経っていたというのはなかなか感慨深いです。

:ゲームの運営だけで丸5年だからね。『FFRK』というゲームを作ろうと話を持ち掛けた頃から数えると、7年ぐらいの付き合いだよね。

――競争が激しいアプリ業界で5年も続けられているというのは、それだけで大きな成果だと感じます。

:あんまり競争しているという意識はありませんでした。目の前に山ほどある、やるべきことに取り組んできただけです。

佐々木:まだアプリ業界が立ち上がり始めたような時期でしたから、ほかのタイトルに対してライバル意識などはなかったですね。それよりも、お互いに高めあって業界とともに成長してきたような感覚です。

――運営を5年も続けられた秘訣はどこにあると考えていますか?

:一番大きいのは、ゲームを制作しているスタッフの方々が『ファイナルファンタジー(以下、FF)』シリーズの熱烈なファンであることかな。あまりに思い入れが強くて、時々“色”が出すぎちゃうこともありますけど(笑)。

佐々木:『FFRK』以前に『ファイナルファンタジー ブリゲイド』というタイトルでもスクウェア・エニックスさんとご一緒していたおかげで、連携がとりやすかったのはありがたかったです。『FFRK』は当時DeNAのなかでもかなりチームの規模が大きくて、取りまとめるのに苦労していたので、そのうえスクウェア・エニックスさんとの連携にも手間取っていたらどうなっていたかわかりません。

 あとは、何が何でもいいものを届けようという気持ちはありました。生放送もその一環で、できるだけプレイヤーのみなさんの意見や要望をキャッチしようとしています。もちろん、全部に応えることはできなくてお叱りを受けることもありますが、極力プレイヤーのみなさんの声は拾おうというのがチーム全体の姿勢です。

どんな時も新規プレイヤーのことを忘れずに

――開催中の5周年イベント“5th ANNIVERSARY CARNIVAL”についてお聞きします。このイベントの見どころや重視した部分は?

佐々木:毎年周年イベントは力を入れていますが、やはり5年や10年というのは大きな節目として扱われていますよね。なので、今回の5周年は過去最大規模でお送りすると同時に、「まだまだ『FFRK』は新しいことをやってくれるな」とプレイヤーのみなさんに期待してもらえるような内容を目指しています。

 大きなところとしては全体のお祭り感、『FFRK』の5年の歴史を振り返る“Record Keeper's History”、あとは高難易度ダンジョン“黒晶に封じられし福音”などに注目してもらいたいです。

――メインイベントの“黒晶に封じられし福音”では『ファイナルファンタジーIV(以下、FFIV)』の“ゼロムス最終形態”が待ち構えていますが、このボスを選んだ理由とは?

:スタッフの方々のやりたいことに対して『FF』シリーズ内の出来事と何がマッチするか考えた結果、『FFIV』でセシルがクリスタルを使ってゼロムスに立ち向かう流れがキレイにはまり、今回はゼロムスをボスにしました。

佐々木:イベント内でパーティを強化しながらダンジョンをクリアしていく展開は今までになかったので、ぜひやりたいと考えていました。ただ、“不思議な力でとりあえず強くなる”というのは避けたくて、何かしら『FF』シリーズと結び付けられないかと模索した時に、『FFIV』の最終戦がちょうどマッチしたんです。

――最後に戦える“【邪念】ゼロムス最終形態”はどれほどの強さなのでしょうか?

佐々木:僕らのなかでは、今までのボスのなかで一番強いと思っています。イベントのなかでパーティのパワーアップ効果があるので、それを含めたうえで歯ごたえのあるバトルになっていますよ。

――長年『FFRK』を遊んでいるプレイヤーにとっては、楽しみな相手となりそうですね。

佐々木:ぜひ挑戦してみてください! もちろん古参のプレイヤーだけではなく、これから始めようと思っている人でも楽しめるイベントをたくさん用意しています。

 長年運営を続けていると、どうしてもより新しい要素や強い要素に目がいってしまい、結果的にヘビープレイヤー寄りのゲーム作りになりがちなんですよね。ヘビープレイヤーのことを考えつつも、そうでないプレイヤーや新規のプレイヤーにもどんなプレイ体験を届けるべきか常に考えています。

:僕も実際にプレイしているから実感できているんですが、『FFRK』は新規要素の実装と並行して基礎部分の改修も忘れずにやっているんですよね。

佐々木:そこは忘れないように心掛けています。周年のような大きなイベントでもそうですが、日々のイベントでも初心者目線は大切にしています。

――5周年当日に、過去のログイン日数に応じた特別なログインボーナスがサプライズで配布されました。このログインボーナスを最大まで受け取れるのは、何日ログインしていた人なのでしょうか?

佐々木:累計で1700日です。約4年半ほどログインしていれば、“5周年装備召喚チケット”を5枚受け取れる計算になっています。5周年当日に今まで長い間遊んでくださっているプレイヤーに感謝の気持ちを伝えたいと思って、このような仕様にしました。とはいえ、ログイン1日目の方でも1枚は受け取れるので、初心者の方も是非ログインしてください。

“レコードボード”で英雄の強さはさらなる高みへ!

――5周年のタイミングで新たな強化システム“レコードボード”が登場しましたが、この要素を入れたきっかけとは?

佐々木:“レコードボード”を実装した理由のひとつは、★6魔石ダンジョンに代表されるような高難易度ダンジョンに挑戦しやすくするためですね。必殺技による強化ではなく、プレイヤーがある程度任意で英雄を育てられる仕組みにしたいと考えていました。

 その系統のシステムで最後に実装したのがレジェンドスフィアで、じつに実装から2年以上経っていました。なので、このタイミングでフラグメントの使い道を増やそうと思い、今回“レコードボード”という形でお届けしました。あと、自分の好きな英雄を強くするという、キャラクター愛をより深める意味合いもあります。

――“レコードボード”は従来のレコードダイブ画面に追加される機能のようですね。

佐々木:はい。今までのレコードダイブでレジェンドスフィアまで全取得(いわゆるフルダイブ)していて、かつレベル99であれば“レコードボード”が解放されます。“レコードボード”では、新しく★6フラグメントを使って英雄を強化していきます。

――★6フラグメントは“心”“技”“体”の3種類で、これまでにあった“知”と“勇”のフラグメントはないようですが……?

佐々木:レコードダイブ実装時は、英雄の個性に合わせて数多くのフラグメントを用意して、なるべく幅広く英雄を育ててほしいと考えていました。ですが実際は、幅広いがゆえに”思うように強化が進まない”という状況になりがちでした。

 これは改善すべき反省点だったので、★6フラグメントを追加する際は3種類に絞ることにしました。この先、“今回のイベントでは○○の★6フラグメントが手に入りやすい”といった施策はあるかと思いますが、基本的には日々プレイしていれば全種類のフラグメントが集まっていきます。それを使って好きな英雄をドンドン強化していくのが、“レコードボード”の基本思想になります。

:原作の『FF』シリーズが好きな人たちにとって、自分のお気に入りキャラを育てたいと思う気持ちは当然ですよね。我々はその思いに応えるべきなので、“レコードボード”のようなシステムが5周年の節目で登場したのはよかったかなと。

――お話を聞く限り、“知”と“勇”の★6フラグメントがあとから追加されることもなさそうですか?

佐々木:現時点では考えていませんね。“レコードボード”では、今ある3種類のフラグメントで英雄を強化していく予定です。

――1年前に追加された“マギアクリスタル”に続き、よりお気に入りの英雄を鍛えられる要素となりそうですね。

佐々木:“マギアクリスタル”がまさに、“日々のプレイが好きな英雄を強くする”ことに直結したシステムなので、“レコードボード”もその思想を汲んで設計しています。ただ、“マギアクリスタル”はあくまでステータスの底上げですが、“レコードボード”はレコードダイブのようにその英雄の個性をさらに尖らせるものになっています。

――“レコードボード”で手に入る英雄専用アビリティというのも気になります。

佐々木:英雄専用アビリティはその英雄しか装備できないだけあって、★6アビリティより強力なものが多いです。必殺技みたいに1発で大ダメージを与えるタイプではなく、例えばシンクロ奥義や覚醒奥義などと併用したときにハマるようなイメージです。

――5周年で実装する新要素として、“レコードボード”以外に企画段階で挙がっていたネタはありますか?

佐々木:特にないですね。というのも、当初から“フラグメントを軸にした次なる成長要素”として方向性が定まっていたので、数あるネタのなかから“レコードボード”を選んだという感じではありません。

 ただ、新しい成長要素のモチーフを何にするかはいくつか候補がありました。従来の“レコードダイブ”のモチーフは『ファイナルファンタジーX』の“スフィア盤”で、“レコードボード”は『ファイナルファンタジーXII』の“ライセンスボード”がモチーフなのですが、どう考えても担当スタッフの趣味だろうなあと(笑)。

『FF』シリーズ&『FFRK』プレイヤーの“帰ってこられる場所”になれたら


――この5年で『FFRK』オリジナルキャラクターの存在感が強くなってきたと思いますが、お2人はオリジナルキャラクターのなかで誰がお気に入りでしょうか?

:僕は間違いなく“プッスン”ですね。

佐々木:“プッスン”ですか(笑)。

:そりゃ、“プッスン”でしょう! あのキャラクターはチョコボという種族の幅を広げたといっても過言ではないよ。いったい何が不機嫌なのかと言いたくなるような顔つきだけど、たまらなく可愛いです。

  • ▲『FFRK』オリジナルキャラクターのプッスン。

佐々木:僕はなんだかんだいって、生み出されたときの感動が一番大きかったのは“デシ”です。『FFRK』を立ち上げる際、このゲームに主人公がいることは決まっていたけどそれが誰なのかは開発の途中までなかなか決まらなくて……。

 そんなとき、“デシ”が横向きで本をもって歩くイラストの線画を見せられて、主人公像がバッチリ固まりました。ある意味、『FFRK』というものが決まった瞬間だったと思います。

――あらためて『FF』というシリーズが持つ力や魅力は、どんなところだと思いますか?

:強い思い入れを持ったいろんな世代のファンがいて、彼らに支えられているということに尽きますね。だからこそ、我々は『FFRK』を運営するうえでも個々の作品やキャラクターに愛情を持って取り組まないといけないなと感じます。

佐々木:僕のなかでは魅力が大きく2つあって、1つは物語ですね。ストーリーラインもそうですが、キャラクターごとの物語も重厚で、1人のキャラクターに対して何時間も語れるのがすごいところです。『FFRK』でもまだまだキャラクターに関して掘り下げる余地があると思います。

 もう1つはシステムで、『FF』シリーズはどの作品でもバトルシステムで新しい体験をさせてくれるところです。『FFRK』はATB(アクティブタイムバトル)に落とし込んでいますが、ほかの作品のシステムを使ったらどんなゲームになるのだろうと考え始めるとキリがなく、作っていてずっと楽しい時間が続きます。

――『FFRK』の今後の展開について検討されていることは?

:ナイトメアダンジョンのような、“特定のシリーズでパーティを組んで攻略する楽しさ”は今後もお届けしていきたいなと考えています。“レコードボード”は個々の英雄に向けたものですが、それとは別に各シリーズが好きな人に向けた遊び要素もきちんと用意していきたいです。

――最後に、これからの運営に向けた抱負をお願いします。

佐々木:新しいことへのチャレンジは続けつつ、今ある遊びの改良にも目を向けていくという2軸を忘れないようにしたいです。あと、開発チーム自体が楽しんでゲーム作りをしていけたらいいなと。

:長年遊んでくださっているプレイヤーさんには、今回のログインボーナスのような恩返しを用意しましたが、新規のプレイヤーさんへの配慮も忘れていません。先ほども言ったように新規実装と基礎改修の2点を忘れることなく運営していきますので、今後とも『FFRK』をよろしくお願いします。

佐々木:昔は『FFRK』を遊んでいたけど今はやめちゃったという人にも、ぜひ戻ってきてほしいですね。過去のログイン履歴に応じたボーナスがありますし、昔は遊びにくかった部分も改善されていますし。『FFRK』は『FF』シリーズの追体験ができるゲームなので、すべての『FF』シリーズプレイヤーや過去に『FFRK』を遊んだ人たちにとって“帰ってこられる場所”になれたらなと思っています。

撮影:石津 大助
※予定は予告なく変更される場合があります。
※画像は開発中のものです。
©SQUARE ENIX CO., LTD. ©DeNA Co., Ltd.

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