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2001年10月11日(木)

「輝いていた時期のスクウェアを取り戻す」SCEの出資に関してスクウェアと一問一答

 一昨日の10月9日、スクウェアとSCEは都内で会見を開き、スクウェアの第三者増資割当148億円をSCEが全額引き受けるとの発表を行った。この合意により、SCEはスクウェアの第二位株主となり、スクウェアはソフト開発資金を確保することになる(関連記事)。
 
 電撃オンラインでは、この発表に伴う両社の今後の展開について、スクウェア広報に個別取材を実施した。以下がその内容となる。

■スクウェア広報と一問一答

――SCEによる今回の出資は、映画「FINAL FANTASY」による損失を埋めるためのものなのですか?
「いえ、映画の興行収入が計画を下回ったのは事実ですが、今回の増資との関連はありません。映画は、開発期間についての見込みが甘く、開発費が予定の倍になるなどの反省点は確かにあります。しかし、映画制作で培ったCG技術は『ファイナルファンタジーX』に活かされていますし、それ以外にもビジネス的なノウハウを獲得できたことは成果だと思っています。それが今後の広いビジネスに発展する可能性もあります。会社としては映画制作から撤退しますが、映画事業そのものを否定するということではありません」

――会見では鈴木社長の口から「輝いていた時期のスクウェアを取り戻す」との発言がありました。具体的な内容を教えてください。
「以前のミリオンセラータイトルを連発していた時期のスクウェアに立ち返るということです」

――それは、ミリオンセラータイトルの続編を発売するということですか?
「いえ、そういうことではありません。続編を出したり、当時と似た展開をするということではなく、強力なコンテンツをいくつも持った会社になるということが重要だと考えています。具体的なタイトルについては、すでに企画が進行しているものもありますが、現時点で発表できる段階にはありません」

――プレイオンラインに関して、事業計画の見直し等を考えていますか?
「以前ミレニアムイベントのときに発表した内容からは、ビジネス的な面での見直しも必要と考えています。当時はオンラインで体験できるすべてのことがプレイオンラインに入っている、という説明をしましたが、サービス開始当初は『FFXI』を核としたサービスを展開していくことになるでしょう。この点に関しては規模縮小というイメージが強いかもしれませんが、そうではないとご理解ください」

――コンテンツ内容の縮小ではないということでしょうか?
「はい、コンテンツではなくビジネス的な側面からの見直しです。例えば以前は加入者30万人を損益分岐点として考えていましたが、いまはもっと下げて、10数万人の加入で利益の出る構造を目指しています」

――6月に発表されたナムコ、エニックスとの3社連携と今回の合意との関係については?
「関係ありません。3社連携の合意事項については独自に進めていますし、今回のSCEからの出資は、3社の関係に影響を与えるものでもありません」

――ゲームボーイアドバンスやゲームキューブ、Xboxなど、他ハードへの参入については今後どのように対応しますか?
「ゲームボーイアドバンスへの参入は、これまで通りアプローチを続けていきます。ただし相手のある話ですから、当社だけで実現できるというものではないですが。あと、ゲームキューブとXboxに関しては現時点での参入は考えていません。そのときに最も売れているハードにソフトを供給するという方針に従って、当面はPS2をメインにソフト開発を行っていきます」

 以上、簡単ではあるが、今後のスクウェアが目指すものが垣間見える取材となった。SCEがスクウェアの全株式の約19%を所有するということから、「スクウェアがSCE傘下に入るのか」との見方もあるようだが、決してそうではない。従来どおりGBA参入へのアプローチもしていくとの方針は、自立したソフトメーカーとしての姿勢を示すものだろう。
 
 近い将来、ゲーム市場がパッケージソフトからオンラインソフトへ、その形態を変化させていくに伴い、プレイオンラインという試みが大きな意味を持つことは想像に難くない。スクウェアがPS2へのタイトル供給を中心に据えつつ、スーパーファミコン後期に見せたような良質なソフトを量産する体質を取り戻すことができれば、ユーザーにとって、これほど喜ばしいことはないだろう。


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スクウェア