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2001年5月19日(土)

宮本茂氏の創作のヒミツに迫る! E3トークセッションスペシャルレポート

 5月18日(現地時間)のE3では、朝9時から「Miyamoto Spotlight Session」と題して、インタビュー形式によるトークセッションが行われた。  招待された国内外のメディアはもちろん、E3に参加している各業種の人間も入場券を求めて長蛇の列。さらに、宮本氏登場のイントロダクションを、『Sim』シリーズで有名なウィル・ライト氏が務めるなど、アメリカにおける氏の人気を、証明するものであった。

 トークセッションは、基本的にはゲームキューブの話題というよりは、「クリエイター宮本茂」にスポットを当てた内容。あまり氏の考え方に触れる機会のない海外の宮本ファンには、特に興味深い内容だったのではないだろうか。数あるコメントの中で、注目すべきものについて、いくつか紹介しよう。

●新しいゲームを考えるときの発想法
「市場に出回っているソフトを見たりはしません。白いキャンバスを前にしたような、リラックスした気持ちで考えます。思いついたアイデアは、ポストイットに書いてあちこちはりつけています。あとは仲間といろいろ話すことでしょうか」

●ハードウェアの進歩とその問題点
「SFCからN64に変わるときにはゲームの考え方が2Dから3Dへと大きく変わったので、とても大変でした。ただ、N64からキューブへの移行は、思想はそのままに、N64のアイデアが生かせるので、とても快適に作っています。そういう意味では、ハードウェアが進化することで、持っているアイデアを実現するのを助けてもらっているのでしょう。ただ、もうすでに3Dというだけで価値がある時代は終わっています。3Dをひとつの選択肢としていかに3Dを使うかが問題でしょう」

(さらに『マリオ64』で真の3Dの世界を拓いたが、キューブでなにか新しいものをもたらすか?という質問に答えて)
「マシンパワーのアップによる超大作の不毛さに、気づくべきです。機械の能力で新しいものをもたらすのではなく、プランナーの(新しいアイデアを考えるという)能力によって、新しいものがもたらされるのです」

 など、宮本氏のゲームに対する姿勢が明確に語られた時間だった。ここで語られた氏の哲学が、確かに氏のゲームに生きているのがわかるだろう。ディスク媒体により、既存の作品の「ディレクターズカット版」の発売も示唆した宮本氏。最新作『PIKMIN』に触れる日はいつ?

トークセッションは、なごやかな雰囲気で進行した。英語での質問に宮本氏が日本語で答える形。

ときおり場内が爆笑に包まれる場面も。