News

2001年6月27日(水)

ナムコ、エニックス、スクウェア3社の連携を徹底検証!『ドラクエVIII』がオンラインゲームになる日は来るのか?

 ゲーム業界のニュースをいつもチェックしている読者の方はご存知と思いますが、去る4月23日にナムコ、エニックス、スクウェアの3社が連携を発表しました。業界をリードする3社の連携ということで、ゲームファンのみならず経済界からも熱い注目を集めたこの発表だったわけですが、この時点で明らかになったのは各社の筆頭株主がお互いの株を持ち合うという事実のみ。「3社が共同でゲームを開発!?」といったような、ハデなニュースはなかったわけです。

 それからずっと「結局3社が集まって何をするのか?」というところが気になっていた人は多いと思います。その先日6月18日に具体的な発表が行われました。これがおおざっぱに言うと「ナムコとエニックスがプレイオンラインへコンテンツを提供する」という、ゲームファンにとってかなり気になる内容。詳しいことは当日の電撃オンラインの記事を参照してもらいたいのですが、それでもまだわからないこと、知りたいことが残りました。

 それは例えば「『ドラクエ』シリーズもプレイオンラインでリリースされるのか?」とか「3社が1つのゲームを共同開発する予定はあるのか?」といった疑問です。今回はこれらを明らかにするべく、各社の広報担当に直接聞いてみました。少し長くなりますが、以下読んでみてください。

 ゲーム業界再編のカギを握る3社の動きをチェックすることで、21世紀のゲーム業界が見えてくると思います。

■スクウェア
「エニックスさんが開発するオンラインゲームに、技術的な協力をしていきます(スクウェア 広報IR室)」

――今回の発表によると、プレイオンライン事業準備室を設置されるということですが、詳しい内容を教えてください。
「すでに準備室は設置しています。各社でプロジェクト委員会を起ち上げ、週に1回のペースで会談を行っています。現時点で決定しているのは、ナムコさんとエニックスさんによるプレイオンラインへコンテンツ供給をしてもらうということです」
――プレイオンラインへの各社のコンテンツ供給は、スクウェアからの働きかけによって実現したものなのでしょうか。
「特にスクウェアが呼びかけたということではなく、4月23日に発表された株式交換に伴って、どういう協力の形があるかということを話し合い、コンテンツ供給にまとまったということです。プレイオンラインを運営する会社については、共同設立の計画を発表していますが、これもまだ出資比率などの詳細は未定となっています」
――SCEとNTTコミュニケーションズが支援を行うという発表もありましたが、これは出資が行われるということですか。
「支援というのは、今後さらに協力関係を強めていきたいという意味合いで、具体的にSCEさん、NTTコミュニケーションズさんから金銭的な提供があるわけではありません」
――3社が共同でアーケードゲームを開発する計画があるそうですが。
「共同開発についてはまだ準備段階で、やるかやらないかも含めて検討を進めている段階です」
――エニックスとスクウェアが共同でオンラインゲームの企画を進めているとの発表もありましたが、これについてはいかがですか。
「こちらはアーケードゲームの共同開発とは意味合いが異なります。エニックスさんが独自に開発するオンラインゲームに関して、スクウェアがプレイオンラインをまとめる立場から技術的な協力をするということです。両社が1つのゲームを共同開発するわけではありません」

■エニックス
「『ドラクエVIII』がオンラインゲームになるわけではありません(エニックス 管理部)」

――エニックスがプレイオンラインにコンテンツを供給するという発表がありましたが、具体的にはどのようなものですか。
「まずエニックスが単独で開発するオンラインゲームをプレイオンライン用にリリースします。『クロスゲート』などのオンラインゲームで培った技術をもとに、来春を目途に発売したいと考えています」
――『ドラゴンクエスト』の新作をプレイオンラインでリリースする予定もあるのでしょうか。
「オンラインゲームがゲームの主流になったときには、『ドラクエ』もオンラインの形で供給することになるでしょう。ただまだ具体的な予定があるわけではないですし、『ドラクエVIII』が即オンライン対応になるということではないです」
――ナムコの作品を使った出版物をエニックスで出す計画もあるのですか。
「3社の中で出版部門を持っているのはエニックスだけですので、ナムコさんのコンテンツを使った出版物をうちで出すという可能性はあります」

■ナムコ
「エニックスさん、スクウェアさんに限らず、共同開発を積極的に進めていきたいと考えています(ナムコ コーポレート・コミュニケーション室)」

――ナムコが展開するアミューズメント施設で、各社のゲームキャラクターを使用するとのことですが。
「はい。まだ具体的な内容は未定ですが、例えばエニックスさんのスライムをぬいぐるみにして、当社のプライズゲームの景品にするとか、『FF』のキャラクターを使ったグッズを作るとか、そういったことが可能になるでしょう」
――出版物に関するエニックスとの連携についてはどうでしょうか。
「ナムコのゲームの攻略本や、ゲームのキャラクターを使った4コママンガなどの本をエニックスさんから販売する機会は増えると思います。ただし、もちろんすべてがそうなるということではなく、従来どおり他の出版社さんから発売されるものもあります」
――3社でアーケードゲームを共同開発するという発表について、詳しく教えてください。
「現在3社で検討している状況です。ですが、うちは以前からカプコンさんと『ガンサバイバー』を作ったり、セガさんと『ヴァンパイアナイト』を作ったりしてきた経緯がありますので、特に今回の連携を機に、ということではありません。ナムコとしては基本的に、いろんなメーカーさんと組むことによってよいものを作っていきたい、という姿勢ですので、今後ともスクウェアさん、エニックスさんに限らず、共同開発は進めていきたいと考えています」

 というのが、6月現在の3社からの回答でした。読んでいただいてわかるように、各社とも具体的な発売タイトルについての発表はナシ。多少肩透かしを食らった感はありますが、4月23日の連携からまだ2か月。確かにまだ発表できる段階ではないのだと思います。しかし現在もプロジェクトチームでは継続して会議を行い、いろいろな内容を詰めている最中とのこと。各社の広報は、揃って「何か決まったらお知らせします」と語っていました。

 また、プレイオンラインに関しては、2001年9月からβテストが行われる予定になっていますが、課金システムやスタート時のコンテンツラインナップなどは未定。『ファイナルファンタジー11』がプレイできるということ以外、正直言って不明な部分が多かったのですが、エニックスとナムコの参入で、個々のコンテンツがさらに充実することは間違いないでしょう(具体的なタイトルが本当に気になります)。

 何はともあれ、電撃オンラインでは、今後も新しい情報が入り次第お伝えしていく予定です。この3社の動向が気になる人はぜひチェックしてください。


データ

※この「電撃EYES」は電撃オンライン独自の視点でお届けするコラムのコーナーです。

■関連サイト
ナムコ
エニックス
スクウェア