2002年1月24日（木）

バンダイが2年半をかけて進めた巨大プロジェクト「.hack」の詳細が発表！

　バンダイは、ゲーム、OVA、TVアニメ、コミックなど複数のメディアに展開する巨大プロジェクト「.hack（ドットハック）」の発表会を行った。この.hackは、当初PS2用タイトルとして2年半前から開発が進められていたもので、キャラクターデザインに貞本義行氏（代表作：新世紀エヴァンゲリオン）、脚本に伊藤和典氏（代表作：機動警察パトレーバー）、監督は真下耕一氏（代表作：NOIR）を起用。この3人の描く物語がゲームだけでは語り尽くせないことから、複数のメディアに展開することが決定したという。

　.hackの中核となるのは、PS2で6月以降に発売される『.hack』シリーズ。このゲーム版.hackは、西暦2007年に発売された2,000万人がプレイする世界規模のオンラインゲーム「The World」内のバーチャルワールドでストーリーが展開。さらに、ゲームに同梱される形で販売されるOVAは、ゲームと並行した現実世界での物語を描く。
　
　また、TVアニメはゲーム版.hackに至るストーリーを、コミックはゲーム版.hack以降の時代を描いていくことになっている。

　それぞれの作品の詳細は以下のとおり。

【ゲーム】
　PS2で6月以降に発売される『.hack』は、全4巻で構成されたセミリアルタイムRPG。各巻には、ゲームのほかOVAが収録されたDVDがセットになっており、2枚組みで5,800円と超低価格を実現しているのがポイント。ちなみに1巻ごとの平均プレイ時間は20時間となっている。
　
　ストーリーは、主人公の14歳の少年が世界規模のオンラインゲーム「The World」をプレイ中に、怪現象に遭遇。白い少女「アウラ」から、ゲーム内のデータを改ざんできる腕輪をもらい、チーター（不正行為を行うプレイヤー）として追われながら世界の謎を追っていく。
　
　AIに操作されたキャラとのパーティプレイ、メールやBBSなどのシステムが用意されており、一人用のゲーム内にオンラインRPGの世界を構築した意欲的な作品だ。
　
　開発は『サイレントボマー』や『テイルコンチェルト』などでおなじみの、サイバーコネクト2が担当している。

【OVA】
　ゲームに同梱されたOVAの第1巻は、「The World」をプレイする少女「水無瀬舞」が主人公。「The World」をプレイしていた友人が意識不明となるが、販売メーカー「CC社」は因果関係を否定。
　
　原因を突き止めようとする舞は、怪しげな中年男性「徳岡純一郎」と接触し、世界中で同様の事件が発生していることを知り、CC社にハッキングをかけ真相を探っていく。
　
　ゲームがバーチャルワールドを描き、同梱されたDVDはリアルワールドの物語を描く。2つのディスクがリンクして一つの作品となっているのが最大の特徴だろう。

【TVアニメ】
　4月より水曜日の24：55にテレビ東京系列で放映される「.hack//SIGN」。この作品では、ゲーム版に登場するアウラ覚醒前までのストーリーを描いている。
　
　主人公の司は、人とのコミュニケーションが苦手な「The World」のプレイヤー。彼が事故でゲームからログアウトできなくなったことから物語がはじまる。ネットワークゲームに登場するキャラの向こうに見える、現実世界のプレイヤーの意思、存在をも描く重厚さ、リアルさに注目。

【コミック】
　ゲームに先がけて、コンプティーク2月号より連載をスタートした「.hack//黄昏の腕輪伝説」。PS2『.hack』の主人公達が伝説のキャラクターとなった時代を、依澄れいさんのかわいいタッチで描いた作品。すでに第1話が収録されたコンプティーク誌が販売中なので、内容に関してはそちらをチェックしてみてほしい。

　このほか、文化放送で毎週火曜25：30～26：00に放送されているラジオ番組「Radio B」、アニメ誌、Webサイト（http://www.hack.channel.or.jp）でも、.hack関連情報を公開して行く予定。

　ゲーム内のバーチャルワールドと現実世界の描写、ゲームとDVDのセットで5,800円という低価格、さまざまなメディアでの作品がリンクするなど、バンダイとクリエーターたちの新しい挑戦となる.hackプロジェクト。各作品とも大ヒットする可能性を秘めており、この新手法がメガヒットを生み出すことを期待したい。