News

2002年4月20日(土)

プロダクションI.G15周年イベント開催!超豪華なトークイベントには押井守氏も!!

 本日、明日の2日間、銀座ソニービルにてアニメーション制作会社「プロダクションI.G」主催のイベント「15th Anniversary PRDUCTION I.G WORLD TOUR 2002」が開催されている。このイベントは「プロダクションI.G」の設立15周年を記念したもので、4月25日にPS2で発売される『サーヴィランス 監視者』のデモや原画の展示、トークライブなど、この15年間の「プロダクションI.G」のすべてを知ることができるものだ。
 
 なかでも、本日3回に分けて行われたトークライブは、第1部にアニメ「攻殻機動隊」の監督などを務めた押井守氏、第2部にはPS2『サーヴィランス』のクリエイター陣、第3部には『サクラ大戦』シリーズでおなじみの広井王子氏とあかほりさとる氏が出演しており、非常に豪華なものとなった。
 
 本日のニュースでは、この「PRDUCTION I.G WORLD TOUR 2002」第1日目のメインといえる、トークライブの詳細なレポートをお届けしていこう。

●第1部「押井守の世界」
 出演者は、「機動警察PATLABOR」シリーズをはじめ、多くのアニメーション作品の監督を務める押井守氏と、「プロダクションI.G」で音響監督を務める若林氏、監督・作画監督の沖浦氏、監督・演出の神山氏、キャラクターデザイナーの西尾氏の5名が出演。
 
 会場では、「機動警察PATLABOR」や「攻殻機動隊」、「ミニパト」などのダイジェストムービーが流され、押井氏と「プロダクションI.G」との出会いや、これまでの作品制作時の苦労などを語ってくれた。
 
 押井氏によれば、「プロダクションI.G」はスケジュール管理がしっかりしているうえ、技術力が高く、「攻殻機動隊」は「プロダクションI.G」なしにはできなかったとのこと。
 
 また、集まったアニメーター志望の人や押井氏のファンより寄せられた「映画を作り終わって反省することは?」という質問に対しては、「映画作りの最中は例外的なことが多く、過去の経験則が通用しないこともよくある。反省よりも攻めることが大切」と、新しいことに挑戦していく姿勢の重要性を説明した。

●第2部「サーヴィランス 監視者」
 出演者は、監督の西村氏、プログラマーの前島氏、プロデューサーの寺川氏、ディレクターの山口氏と、前回に引き続き押井氏。また、司会は弊社刊電撃プレイステーション副編集長の倉西が行った。
 
 ライブの冒頭では、「やるドラ」シリーズで押井氏も参加していた『BLOOD The Last Vampire』についての話が展開し、もともとは押井氏が主催しているゼミ「押井塾」のメンバーたちから上がってきた企画の、いいところを合わせたものだったという、『BLOOD』誕生秘話が明かされた。ゲームのほかに小説や映画などのメディアミックスを行ったことについては、それぞれのクリエイターが「日本刀をもった少女、小夜」というモチーフをベースに作ったもので、それぞれの設定が異なっていてもOKという展開を行ったとのこと。また、「BLOOD」については今後も引き続き物語が語られるという、ファンにとっては嬉しい発表もされた。

 後半は第2部のテーマでもある、4月25日に発売されるPS2用ソフト『サーヴィランス 監視者』についての話題に。
 
 このゲームは、2053年を舞台にした近未来SF・AVG。プレイヤーは「サーヴィランスシステム」と呼ばれる複数のカメラを監視しながら、最も重要なシーンを写していると思われるカメラを選択、情報を集めてミッションを遂行していく。
 
 「プロダクションI.G」としては、「やるドラ」から進歩した、さらに新しいことをやりたいと意思のもとに制作しており、凝ったゲームシステムを採用したとのこと。その一方で、アニメーション部分については複雑な演出などは押さえてわかりやすくしており、うまくバランスがとられている。
 
 また、難易度が1周でクリアできないようなレベルに設定されているので、アニメーションは複数回見られることに耐え得るクオリティに仕上がっている。こちらについては、山口氏も「ボリュームには自信があります」とコメントしており、プレイする際には、映画2本分に匹敵するアニメ―ションのすべてを見てみたいところだ。

●第3部「夢の世界の住人達 ~ゲームの世界、アニメの世界~」
 出演者は、『サクラ大戦』総合プロデューサーの広井王子氏、マリア役の高乃麗さん、「プロダクションI,G」の社長である石川氏。司会は、こちらも『サクラ大戦』のシナリオ・脚本を手がけたあかほりさとる氏が担当した。
 
 メンバーが全員関係者という事もあり、話題はもちろん『サクラ大戦』シリーズでの「プロダクションI.G」が果たした役割など『サクラ』尽くし。ギャラリーも前2部とは異なり、明らかにテンションが高かった。
 
 会場では『サクラ大戦1~4』のオープニングムービーが放映されたが、「プロダクションI.G」が担当した『2』以降の、3Dとアニメーションが融合した映像は今見ても圧巻。実際、かなりの費用と時間がかかっており、広井王子氏の夢や思ったことを、見事に映像化したものとなっているそうだ。
 
 また、『サクラ』開発の裏話も多数披露された。『3』のオープニングムービーを声優陣に見せた際に「でも、自分たち出てないし~」と言われてしまったエピソードや、DCでの技術実験が進んでいた段階で、DC発売中止を聞いた際のショックなど、8年にわたるシリーズ展開ではさまざまなできごとがあった様子。
 
 最後に広井氏は「技術」の重要さについて述べ、「例えば声優が演技するのは、役になりきるなどということではなく、れっきとしたひとつの技術だ。日本は何かを真似た物を作るのは得意だが、そういったコピーではなくオリジナルキャラクターを作り上げ、世界に発信したい。『プロダクションI.G』のように、独自の技術を持つことは素晴らしいことだ」とコメント。
 
 石川氏も「今回のイベントで、われわれが今後制作するものも非常におもしろそうだと感じてもらえると思う。また、マーケット的にも技術的にも、日本内だけでなく世界へと作品を発信していく」と発表し、今後の作品を期待させるトークライブとなった。

 このイベントは、明日もソニービルにて開催されている。トークライブの構成も変わり、11時30分~12時30分は「The history of I.G」、14時30分~15時30分は本日と同じく『サーヴィランス 監視者』、15時30分~16時30分に「BLOOD The Last Vampire ~ここだけの誕生秘話~」、17時30分~19時に「ザ・スーパートップ会談 ~アニメ界の道しるべ~」と、本日訪れた人もまた行きたくなるような内容となっている。アニメーター志望の人や「やるドラ」シリーズファンは、丸1日をソニービルで過ごす価値が十分にあるので、出演者情報を告知サイトでチェックして、足を運んでみてほしい。

ソニービルでは、1階のエントランスにて『サーヴィランス 監視者』のデモを行っている。

過去の作品について、さまざまな話を聞かせてくれた押井守氏。現在上映中の「ミニパト」もぜひ見てほしいとのことだ。

電撃プレイステーション副編集長、倉西の司会のもと、公開インタビューのようなトークライブとなった第2部「サーヴィランス 監視者」。

PS2『サーヴィランス 監視者』は、複数のカメラを監視して情報を収集、作戦を遂行していくAVG。

会場には、押井守氏が手がけたさまざまなタイトルの原画も公開されていた。

『サクラ大戦』総合プロデューサーの広井王子氏。「『サクラ大戦』は『4』で終わりではない。メンバーが散ることで、世界もさらに広がっていくだろう」と、次回作の展望を語る。

左より、あかほり氏、石川氏、広井氏、高乃さん。『サクラ大戦』シリーズファンには、またとないイベントだったのではないだろうか。


データ

「15th Anniversary Production I.G WORLD TOUR 2002」プロダクションI.G15周年記念スペシャルトークライブ&最新PS2用ソフト『サーヴィランス 監視者』発売記念イベント
■開催場所:銀座ソニービル全館
■開催日時:4月20日(11:00~19:00)、4月21日(11:00~19:00)
■入場料:無料

■関連サイト
プロダクションI.G
SCE