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2002年5月22日(水)

日本のミスター「X」大浦常務にインタビュー!どうなる? 日本のXbox!

 昨日、アメリカ現地時間20日に行われたXboxブリーフィングでは、Xboxに関するさまざまな発表が行われた。だが、その発表の内容自体は、あくまで北米向けが中心。日本のXboxユーザーにとっては、この発表が日本のXboxにどれだけ関係するのかが、気になるところだろう。

 そこで、我が電撃オンラインE3取材班は、日本のXboxのことはこの人に聞け! ということで、日本マイクロソフトの大浦博久常務取締役に突撃インタビューを敢行! いきなりの訪問にも、大浦氏は、嫌な顔ひとつせずに、丁寧に応対してくれた。インタビューには、日本のXboxネットワーク事業の責任者、オンラインサービス統括部統括部長の小出雅弘氏も同席、「XboxLIVE」の日本展開について語ってくれた。

本体価格の変更は、より多くのユーザーに
Xboxについて知ってもらうために必要

――まずは、先日発表された本体価格の値下げについてお聞きします。やはり、これは他ハード(PS2、GC)陣営の動向を意識したものなのでしょうか?
大浦博久氏(以下大浦):
先日、PS2も本体価格の値下げを発表しましたが、マイクロソフトとしては、その動きを受けてというわけではなく、価格については、ハードを発売してからもずっと検討していました。

 僕は、Xboxを3つのフェーズで考えています。第1フェーズでグラフィックと5.1ch、第2フェーズでハードディスク、第3フェーズでオンライン。僕たちはハードを発売してから今まで、Xboxが持つその3つの魅力を、ユーザーに伝えるために努力してきました。でも、結局は、例えばPS2とは5千円の価格差があり、第1フェーズの段階で、Xboxをユーザーに判断してもらうところまでたどり着かないケースも多かったのではないかと考えました。

 そうすると、Xboxに対してユーザーの意識を向けるためには、他ハードと値段的に同等か、あるいはそれ以上安くしないと、本当の意味でのXboxのよさは伝わっていかないだろうと考えて、今回の値下げとなりました。Xboxをもっと広いかたちで、いろんな人たちにまず遊んでもらって、そのよさを知ってもらう。そして、その人たちが他の人たちにXboxのよさを伝えてくれる。そういったことを考えての、価格戦略ですね。

――値下げと同時に発表されたキャンペーンは、やはりすでにXboxを買われたユーザーへのフォローの意味あいがあるのでしょうか?
大浦:
僕は、すべてのユーザーの方々をハッピーにできるプログラムは、実は存在しないと思っています。とはいえ、今までそういったユーザーへのケアを、ほとんどしてこなかったのがゲーム業界ですよね。このキャンペーンは、Xboxを愛してくれているユーザーや、とにかくすぐXboxを買って遊んでみたかったという人たちに、感謝の気持ちを込めて行うものです。このキャンペーンで、1万円の差額をカバーできるとは思ってはいません。ですが、われわれの企業姿勢みたいなものを、多少なりとも理解していただければと思っています。

――本体価格の値下げに関しての、流通サイドの反応はどうですか?
大浦:
やっぱり非常にいいですよ。やはり、日本経済全体が苦しい状況にあるので、商品の値段が下がれば下がるほど、流通サイドとしてはビジネスの機会は増えてきますから。後は、「ようやくXboxが買いやすい値段になった」「Xboxは、すごい機能を使えるゲーム機だ」「じゃあその機能を生かすすごいタイトルは、いつ遊べるのか?」というユーザーの問いかけに答えを出すのが、僕らの次の課題だと思っています。

――昨日のブリーフィングでは、特に『Blinx The Time Sweeper』と『Panzer Dragoon Orta』に注目が集まりました。やはり、マイクロソフトとしても、日本のタイトルとクリエイターに多大な期待を寄せていると考えていいのでしょうか?
大浦:
そうですね。逆に言うと、日本発のタイトルは2年ぐらい前からアイデアを暖めてきて、現在ようやくカタチになり始めています。日本のクリエイターの方々も、いろんなタイトルを作っているなかで、グラフィックや5.1chサウンド、ハードディスクの生かし方といったXboxらしさをわかってくれてきていますね。

――ブリーフィングで発表されたソフトラインナップの山場は、やはり今秋以降と考えたほうがよろしいんでしょうか?
大浦:
そうですね。年内には、ほとんどのタイトルが出てきて、オンライン対応のものの中には、来年度になるものもあったりするという感じです。『Blinx』に関しては、日米同時発売ぐらいの気持ちでいますよ。

気になるXboxネットワーク
「XboxLIVE」の日本展開は?

――ついに発表されたXboxネットワーク、「XboxLIVE」ですが、なぜこのような名前になったのでしょうか。
小出雅弘氏(以下、小出):
例えば通常のビデオゲームは、CPUと対戦するものがほとんどですよね。それを「LIVE」なら、ネットを通じてCPUではなく、本物の人間と対戦できる。そういう意味でのヒューマンインタラクションを表現する言葉として、「LIVE」を選んでいます。音楽のライブのイメージなんかを連想してもらうのもいいかと思いますね。

――日本のユーザーが一番気にしているのは、日・米・欧で今秋同時にスタートするという「XboxLIVE」が、ほんとに日本でも同時にスタートするのかということですが?
小出:
ほぼ同時にスタートすると考えていいと思います。ただ、スタート日時まで完全に一緒かというと、微妙です。あくまで、同時期ですね。ただ、この秋の東京ゲームショウでは、ユーザーが直接「XboxLIVE」を体験することができると思いますよ。

――現状では、サービス開始時に、すでに日・米・欧の3地域の人がネットワークで対戦したり、チャットしたりすることが可能だと考えていいのでしょうか?
小出:
タイトルによっては可能ですね。やっぱり、国境を超えた場合の通信品質などの問題がありますから。通信品質にあまり依存しないものであれば、すぐにでも対戦が可能だと思います。基本的には、通信の回線が平等でないとネット対戦は成り立ちませんからね。

――発表されたオンラインゲームの多くは、マイクロソフトさんがPCで、すでに実績を持つタイトルのXbox版がほとんどという印象でしたが、日本初のオリジナルネットワークタイトルというのは、現在準備中なのでしょうか?
小出:
現状アナウンスしているのは、セガさんの『ファンタシースターオンライン(PSO)』が、日本発のワールドワイドでのオンラインタイトルになります。Xbox版では、ボイスチャットをサポートしてますから、従来のテキストチャットをベースにした『PSO』とは、また別のものになりますよ。

――日本でもスターターキットは発売されるわけですね。
小出:
そうですね。値段も同じぐらい(北米価格:49.95ドル予定)にしたいと思ってます。

――コンシューマハードのネットワークサービスでは、立ち上げ時には、予期せぬトラブルが発生することが多いですよね。その点で言うと、ユーザーは、すでにネットワーク関連に実績があるマイクロソフトさんを信頼していると思うのですが、自信はありますか?
小出:
そうですね。マイクロソフトとしては、まず今秋に行う予定のβテストで、本サービスとほぼ同じ環境を提供したいと思っています。もちろん、ネットワークビジネスですから、セキュリティなどには最新の注意を払ってやっていきたいです。

  今は、中核のサーバー認証であるとか、マッチメイキングなどをレドモンド本社で行っています。一部課金関係では、現在マイクロソフトで使っているような課金システムをバックボーンとして使う予定です。

――「XboxLIVE」の課金システムは、ワンゲームいくらという方式ですか? それとも月額会員制になる予定ですか?
小出:
料金形態に関しては、まだいろんなオプションを柔軟に検討しているところです。基本は月額ベースになるとは思うんですが、当初は1年間の利用料金をかなり安い価格でユーザーにご提供して楽しんでもらいたいと思っています。メンバーシップ制だったり、タイトルごとへの課金、ダウンロードしたものへの課金などオプションはいろいろと考えられます。βテストは、スタータキットを購入してもらう有償べースで考えています。そのキットは、もちろん本サービスでも使えるものをご提供する予定です。

日本でも「XboxLIVEに関しての
発表会を開催予定

――22日(日本時間23日)から始まるE3ブースでは、どんなことをされるのですか?
大浦:
「XboxLIVE」を発表しているので、オンラインエリアと注目ソフトが展示されるソフトタイトルエリアがメインになりますね。ブース内では、約250台のXboxを試遊用に用意しています。『PSO』のボイスサポートも体験できるようになってますよ。

――昨日発表されたタイトルラインナップは、海外制作のタイトルが多かったのですが、これらのタイトルも、基本的に日本での発売はあると考えていいのでしょうか?
大浦:
ありますよ。すでに、日本でも受けそうな何タイトルかは、ピックアップして発売を検討しています。やはり、いわゆる海外ゲームというのは、今まで過去に販売本数的に失敗した作品があってトライしにくい状況なんですね。したがって、コマーシャルなどのマーケティング予算もあまりかけられないので、露出の機会もほとんどない。それで何千本しか売れないという、悪循環だったりする。僕らは、アメリカやヨーロッパで作られた優れたタイトルをきちんとプロモーションをして、きちんとユーザーに届けたいですね。

――その点でいうと、やはり『HALO』は、現状では物足りないセールスなのでしょうか?
大浦:
実は『HALO』のセールスに関しては、物足りないとは思っていないんですよ。例えば、テクモさんの『DEAD OR ALIVE3(DOA3)』は、日本のXboxソフトの中で、一番購入率が高い作品ですよね。でも『DOA3』は、Xboxが立ち上がるタイミング、約1年半かけてプロモーションして、あれだけの販売本数を記録している。逆に『HALO』は、北米ではミリオンセールスになり、ヨーロッパでも非常によかったのですが、その部分を日本では過少評価したみたいなところがあって、約2か月ぐらいしかプロモーション期間をかけてないんです。もっと時間をかけてプロモーションすれば、もっと売れる実力をもったソフトだと思うんですよね。『HALO』は今後ハードの価格も下がって、そこで購入したユーザーさんが一番最初に手にとってもらえるタイトルになると思います。息の長いタイトルにしたいですね。

――では、最後に日本のゲーマーのみなさんに一言お願いします。
小出:
「XboxLIVE」でやろうとしていることは、コミュニティとしてとても安全で楽しいものを作るということです。ご期待をしていただければ、それに応えるレベルのものはやっていきたいと思っていますので、期待してください。

大浦:きっと、「Xboxってどんなハードなんだろう?」と買いたいんだけど迷っている人たちはたくさんいると思うんですよ。「現在出ているラインナップ以外に、今後何が遊べるんだろう?」「今買って遊びたいものが出てこなかったら、たんすの肥やしになってしまう」と考える人もいっぱいいると思うんですよね。ハード競争に勝つための最大のファクターは、いいソフトがどれだけあるかですよね。7月以降もおもしろい、Xboxでしか遊べないタイトルを用意しますので、安心して、今、買っていただいても大丈夫ですよ。日本でも、近日中にXboxカンファレンスという形でオンラインの詳細を発表する予定になっていますので、そちらも楽しみにしていてください。

インタビューに答える大浦常務。『Blinx』は、ハードディスクの使い方をサードパーティのクリエイターに対して掲示する、テクノロジートレンドを作る役割も担うタイトルだと語ってくれた。

「XboxLIVE」の日本展開に関して答える、小出部長。セガの『PSO』には、相当期待しているようだった。

昨日のXboxブリーフィングでは、Xboxに関してのさまざまな新発表が行われた。


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