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2002年5月22日(水)

「『マリオサンシャイン』の開発は終わりました」任天堂ブリーフィングを徹底レポート

 現地時間の5月21日10:30より、ロサンゼルスのビルトモアホテルにて、任天堂の「メディアブリーフィング」が開催された。これは、明日から始まるE3を前に、主力のタイトルの紹介や、新しい戦略の発表を行うもの。

  実はSCEのブリーフィングが直前に終わった(10:00終了)ということもあり、SCE会場から任天堂会場に向かうマスコミ陣の大移動が発生。発表会のはしごというのは、DOL取材ではよくあるものの、「2大プラットフォームの発表会のはしご」というのは、さすがに新鮮な取材班であった。

 ホテル内にある会場には、200以上の席が用意されていたが、さすが世界の任天堂、入りきれない取材陣が、エントランス付近まではみ出していた。というか、DOL取材班もはみ出した…。90分間立ちながらノートPCを扱うのは、これもまた新鮮な経験である。

  ブリーフィングはまず、オープニングでNOA(Nintendo of America)のexective vice presidentである、Peter MacDougall氏が登場。NINTENDO GAMECUBEの成功を感謝するとともに、「これから9ヶ月(来年春までに)任天堂はすばらしいタイトルを提供する。このE3では最高のゲームをお見せできるだろう」と語った。

 続いて任天堂の経営企画室長である岩田聡氏が登場。先日来発表されている、セガ、ナムコとの提携、カプコンの『バイオハザード』シリーズ独占供給、スクウェアの参入を挙げ、「サードパーティとも強力なパートナーシップを築いている。任天堂にとってもサードパーティは重要な存在」と語った。この後は、Peter氏と岩田氏がプレゼンテーターを務め、ブリーフィングが進行。

  まず、Peter氏の口より「高い年齢層に向けた、GAMECUBEソフトの開発も重要である。任天堂オリジナルタイトルでも、その発売が待たれるところだろう」とし、『メトロイドプライム』の最新ムービーが公開された。より高品質でアクティブなムービーに海外プレスは驚きの声を挙げた(というか、我々が海外プレスなんだけど)。『メトロイドプライム』(日本発売は2002年予定)はE3会場でプレイアブルになっているということなので、明日以降のレポートも楽しみに待っていてほしい。

 続いてカプコンより登場の『バイオハザード』(日本発売済)および『バイオハザード0』(日本発売は秋予定)のムービーが公開された。『バイオハザード0』は列車内のシーンを中心に構成され、落ち着いた灰色に統一された画面に跳ねる、深紅の血しぶきが印象的だった。さらにシリコンナイツ社が開発を手がけるAVG『エターナルダークネス』のムービーが上映され、北米での発売日が6月24日となることが発表。日本での発売も待たれるところだ。この3タイトルとも、今回のE3ではプレイアブルの出展がある模様だ。

  ここでプレゼンテーターが再び岩田氏に代わり、世界最強の携帯ハード「ゲームボーイアドバンス」の紹介に。北米では発売からの6ヶ月で600万台を出荷。「来年の今ごろには、この倍の数字になっているだろう」とも語った。ソフトは2002年末までに約300本になる予定とのことだ。GBAのムービー紹介は、出展タイトルの一部を連続で公開。一部とはいえ、多数のタイトルが流され、ソフトの充実ぶりをアピールした。ここで流れたムービーは『YOSHI'S ISLAND: SUPER MARIO ADVANCE3』や『METROID FUSION』など。特に、途中で流された『THE LEGEND OF ZELDA GBA』は、GBAでは初の『ゼルダ』ということもあり、歓声が沸いた。『THE LEGEND OF ZELDA GBA』については、後ほど紹介しよう。

  ここでさらに、ネットワーク構想についても、岩田氏から解説が。まずオンラインについては、「誰でも(安価で)楽しめるものか?」「利益が出るものか?」という疑問があるとのこと。それを踏まえ、先日発表されたオンライン構想について触れ、『Phantasy Star Online Episode I & II』(セガ・日本発売は夏予定、北米では秋予定)では、任天堂からコンテンツ料金を取らないことを発表し、ユーザー・開発メーカー双方に利益がある戦略を考えていることをアピールした。なお、北米でのアナログモデムおよびブロードバンドアダプタは、今秋の発売を予定。価格はともに$34.95になる。

 また、ネットワークはオンラインだけではなく、GCやGBAですでに楽しめることを説明。例として、日本ではすでに発売中の『どうぶつの森+』が、米題『Animal Crossing』として9月16日に発売されることを紹介。ご存知のとおりこのゲームは、1つのメモリーカードで最大4人まで別の村を作ることができ、メモリーカードを使って、それぞれの村を行き来することが可能。またGBAケーブルを使うことで、GBAの中に“島”を作り、その島を交換したり、友だちの島に遊びに行くことが可能なのだ。「このゲームは子どもたちの間では口コミで広まったが、今ではその親が夜中にこっそり遊んでいる」との発言に、会場で笑いが起きた。

  また、モーションセンサーを使った『コロコロカービィ』は、GCのゲームプレイにGBAをコントローラとして使用できる画期的なものであること、『DONKY KONG PLUS』では、GCでマップを作成し、GBAでプレイできることなども挙げ、GBAとGCの連動が1つのネットワークであり、また任天堂でしか成し得ないものであるとコメントした。任天堂の掲げるネットワークの1つであるカードeリーダーも、北米発売が9月16日で、価格が$39.95(カードeは1パック$1.99~$2.99)であることを明らかにした。

  続いてGCの超強力ラインナップを一挙公開! これらはほぼ全てがE3で遊べるものだ。まずは日本でも発売が待たれる『スターフォックスアドベンチャー』(北米では9月30日発売予定)。続いてパーティゲームの定番『マリオパーティ4』。『ミッキーマウスの不思議な鏡』『1080°:WHITE STORM』『WARIO WORLD』と立て続けにムービーが流され、会場の興奮は最高潮に! だが、「これらのタイトルをぜひE3で遊んでください。来場をお待ちしています」との岩田氏の言葉に会場が少しざわつく。これで終わりなのか?という不安感が会場を包んだとき、「…実はもう少しお見せしたいものがあります」。こう話す岩田氏の声に会場は再び歓喜の声をあげた。GCの超強力ラインナップはこれだけではない。あと2本、待望のタイトルがあるのだ。

  『スーパーマリオサンシャイン』(北米では8月26日発売)の、待ちに待った登場! マリオが繰り広げる多彩なアクションの1つ1つに、会場の視線が集中した。そこにマリオ&ゼルダの生みの親、任天堂情報開発本部本部長である宮本茂氏が壇上へ。宮本氏はステージのはるか先、客席最後部から、ワイヤレスコントローラ「ウェーブバード」で、『スーパーマリオサンシャイン』をプレイしながら登場! 粋な演出に会場は大きな拍手で包まれた。マリオの多彩なアクションは、N64の『スーパーマリオ64』より増えている印象。また、マリオの持つ放水ポンプも、水で汚れを落とすという動作のほか、激しく噴射することで飛び上がるなどの目的にも使用されるようだ。ひと通りのアクション(とはいえ、これはほんの一部かと思われるが…)を終えた宮本氏は「マリオの開発は終わりました」と一言。続いて、宮本氏が手がける今年もう1つの大作のプレゼンテーションがスタート。

 その大作とは、もちろん 『ゼルダの伝説GC』(日本では年内発売、北米では2003年2月予定)だ。アニメ調のCGで描かれたリンクが、画面内を縦横無尽に走る! 斬る! 閃光や煙が立ち上る演出もアニメ調に統一され、かなり楽しい雰囲気。クールでありながらコミカルさも併せ持つ『ゼルダ』に、再び会場の視線が集中した。なお、もちろん『ゼルダ』もE3でプレイ可能なので、詳しいゲームレビューは明日以降のE3レポートでお伝えしたいと思う。さらに宮本氏は「もう一つの『ゼルダ』」として、先ほど紹介したGBAの『THE LEGEND OF ZELDA GBA』を紹介。ここでGBA『ゼルダ』が4人同時プレイ可能であることを明らかにし、さっそく4人プレイを披露。4人のプレイヤーには宮本氏のほか、カプコン岡本氏、アミューズメントビジョン名越氏、ナムコ原口氏が呼ばれ壇上に立った。なお、本作はカプコンが開発に携わっているとのこと。GB『ゼルダ』以来のCreated by CAPCOM!である。最高のクリエイターによる最小のネットワークゲーム機を使ったデモンストレーションがはじまる。ゲームは通信ケーブルを使用し、4つの画面で展開するので、各自が自由に進むことが可能。だが、協力しないと押せない岩などもあるようで、コミュニケーションを駆使したA・RPGに仕上がっている様子。これも詳しくは明日以降のレポートでお伝えしよう。

  最後にアミューズメントビジョンが手がける『F-ZERO GC』(GCおよびトライフォースを使用したアーケード用タイトルになる予定)のムービーを公開。非常にスピード感のあるムービーで、アーケードでもかなり盛り上がるゲームになりそうだ。

【E3特派員M談】 記者が今回のブリーフィングを通して感じたのは、GCとGBAという任天堂のプラットフォームには、間違いなくゲームの巨人が住んでいる、ということだった。宮本茂という巨大な才能と、任天堂ハードに集まる優秀なクリエイター陣。明日からのE3で、これらのソフトをプレイできることに期待は大きくふくらむばかりだった。ノートPCを持つ手が震えたのは、決して長時間片手で持ちつづけていたからではない。…多分。明日以降のレポートも楽しみに待っていてほしい。

多くのマスコミ関係者で膨れ上がったブリーフィング会場。任天堂タイトルに対する期待の高さがうかがえる。

拍手と歓声に迎えられる経営企画室長岩田氏。

海外では日本以上に期待されている『METROID PRIME』。これまでの『メトロイド』とは一線を画する一人称視点の映像に注目。

会場にどよめきが走ったGBA『ゼルダ』の初公開画面。美しい映像に加え、初の4人対戦が可能に!

会場で流されたコメディタッチのプロモーションビデオ。GBAやカードeも登場し、コミュニケーションの楽しさを紹介。

GC版でも大暴れ! 『WARIO WORLD』では、ごぞんじワリオの冒険がスタート。

ひときわ盛り上がった、“巨人”宮本茂氏の登場! アメリカでのカリスマ性は日本以上に高く、海外プレスの強い視線が注がれる。

一番うまいのは誰? 4人のクリエイターがGBA版『ゼルダ』を夢の同時プレイ!

スピード感はシリーズ最高峰! アーケードとGCの連動が気になる『F-ZERO』。


データ


※各ソフトのタイトルは、基本的に日本で発表されているものを日本名で表記。発表直後で日本の発売日などが流動的であることを、ご了承ください。
【追記資料】~リリースとして発表されたGC & GBAタイトル(すべて北米のもの)~

■NINTENDO GAMECUBE

『ETERNAL DARKNESS:SANITY'S REQIEM TM』
:6月24日発売 $49.95 1人プレイ
『SUPER MARIO SUNSHINE』
:8月26日発売 $49.95 1人プレイ
『DISNEY'S MAGICAL MIRROR STARRING MICKEY MOUSE』
:8月予定 $49.95 1人プレイ
『ANIMAL CROSSING TM』
:9月16日発売 $49.95 1人-4人プレイ
『STAR FOX ADVENTURES』
:9月30日発売 $49.95 1人プレイ
『MARIO PARTY 4』
:10月28日発売 $49.95 1人-4人プレイ
『WARIO WORLD TM』
:11月11日発売 $49.95 1人プレイ
『METROID PRIME』
:11月18日発売 $49.95 1人プレイ
『THE LEGEND OF ZELDA』
:2003年2月予定 $49.95 1人プレイ
『1080°:WHITE STORM』
:2003年1~3月予定 $49.95 1人-4人プレイ

このほか開発中のタイトル
『DOSHIN THE GIANT』
『F-ZERO GC』
『GIFTPIA』
『ROLL-O-MAMA』
『STAGE DEBUT』

■GAMEBOY ADVANCE

『DONKY KONG PLUS』
:2003年1~3月予定 未定 未定
『GAME&WATCH GALLERY 4』
:2003年1~3月予定 未定 未定
『GOLDEN SUN TM:THE LOST AGE』
: 2003年1~3月予定 未定 1人-2人プレイ
『THE LEGEND OF ZELDA GBA』
: 12月9日発売 未定 1人-4人プレイ
『DISNEY'S MAGICAL QUEST STARRING MICKEY&MINNIE』
:8月予定 $29.95 1人-2人プレイ
『METROID FUSION』
:11月18日発売 $29.95 1人プレイ
『POKEMON』:2003年1~3月予定 未定 未定
『YOSHI'S ISLAND : SUPER MARIO ADVANCE3』
: 9月30日発売 $29.95 1人-4人プレイ

このほか開発中のタイトル
『CUSTOM ROBO GX』
『HAMTARO(GBC)』
『KURURIN PARADISE』
『KIRBY』

■関連サイト
Nintendo of America