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2002年5月24日(金)

「誰でも楽しめるゲームを」宮本氏らが海外のプレスに語ったインタビュー!

 現地時間の5月22日14:30から、任天堂による合同インタビューが開催された。出席者は宮本茂氏(任天堂取締役情報開発本部本部長)、岩田聡氏(任天堂取締役経営企画室長)、手塚卓志氏(任天堂情報開発本部部長代理)の3名。宮本氏はいわずとしれた、マリオやゼルダの生みの親。岩田氏は任天堂の戦略のカギを握るキーパーソン。手塚氏は『どうぶつの森+』の開発者だ。この3名が一堂に集まるとあって、会場となった会議室は受け付け前から長蛇の列ができた。もちろんほとんどが海外のプレスだ。なお、インタビューといっても、基本的には最新ゲームの紹介がメイン。質問できる人数は少ない上に、時間も短い。とはいえ、日本の記者発表より充実しているし、またとない機会のため、質問希望のプレスがどっと押し寄せた形となった。

 冒頭から岩田氏より「せっかく来ていただいたので、なにかサプライズを」ということで、周辺機器ならびに対応ソフトの発表が行われた。

 内容は『Phantasy Star Online EpisodeI&II』(セガ・日本発売は夏予定、北米では秋予定)の世界観をモチーフにしたGC用カードバトルゲーム。これがただのゲームではない。GCに接続できる液晶のスクリーン(参考出展)を使った複数対戦のバトルゲームなのだ。液晶をGCに接続し、本体を1人が1台使い対戦を行う。接続はブロードバンドアダプターのクロスケーブルを使って行われるが、本体同士の接続ということで複数のGC本体を同じ場所に集め、プレイヤーは個人個人の画面を見ながら戦うこととなる。これは、宮本氏がソニックチームの開発者である中氏と話したときに生まれたアイデアであるという。

  部屋に数台のGCが集まるというのは、発想としてはかなり斬新。宮本氏は「もちろんユーザー全員がこんなことをできるわけではないが、興味のあるユーザーにはこんなことができるという一例」と語ったが、このようなアイデアが盛り込まれていたりすると、今後の展開も期待せずにはいられないといったところだろう。なお、これは参考出展であり、液晶スクリーンもソフトも、名前や発売日などは現在のところ未定となっている。正式な発表を待とう。ちなみに液晶スクリーンは、1人でGCを遊ぶためのパーソナルモニターとしても使えるので、念のためお伝えしておこう。

  その後は『どうぶつの森+』、『スーパーマリオサンシャイン』、『ゼルダの伝説GC』、『メトロイドプライム』についての説明が語られる。

 まず『どうぶつの森+』だが、これは『ANIMAL CROSSING』(北米9月16日発売$49.95 1人-4人プレイ)というタイトルで、海外版の発売が決定、今回のE3でも出展されている。このタイトルが誕生したいきさつについて、宮本氏は「ゲームはより広いユーザーに遊ばれるべきだが、最近ゲームがどんどん難しくなっている。攻略するという形を取ると、ライトユーザーが遊びにくいのではないか。そこでこの形が生まれた」と語った。また最近の中古ソフト問題についても触れ、「最近のゲームはシナリオクリア型で、一度プレイすると2度目は難しい」と述べ、何度でも遊べるこのスタイルが登場したきっかけを説明してくれた。「ゲームは道具のようなものとして、使いたいときに使ってほしい」とのことだ。その後は手塚氏によるゲームの詳細解説。「森でさまざまな人に会う、コミュニケーションがメインのゲーム」と、海外プレスにもわかりやすく説明した。

 続いて『スーパーマリオサンシャイン』の説明に。画面を見ながら語り、アクションについて説明が行われた。ゲームの目的は「シャイン」と呼ばれるアイテムを集めること。シャインはシナリオごとに複数あり、『マリオ64』のスター(128個)を集めるように、長く楽しめそうだ。また、今作では「アイテムはかなり自由に配置した」(宮本氏)とのことで、これまでは、通常取れるか取れないかの絶妙な位置に配置していたのだが、自由な発想で冒険をしてほしいと語っている。特の特定のルートも決まっていないので、「攻略するより、楽しむ感覚で遊んで欲しい」(宮本氏)ということだ。

 そして『ゼルダの伝説GC』へ。なぜアニメ調なのかについて宮本氏は、「リンクにさまざまな表情を出させたかった」と語る。全体がトゥーンシェイドで作られていて、背景、キャラ、アクション時のエフェクトも統一されているところを見てほしいという。また、新しい機能となる「2つのアクションコマンド」についても説明。これは、XとYボタンにアイテム(引っ掛けて上るカギ爪や遠くを見る望遠鏡など)を振り分けている機能のこと。さらに、「箱を押すのか箱に登るのか、『時のオカリナ』(N64)でわかりにくかった動作もわかりやすくなった」と説明した。

 最後に『メトロイドプライム』。まず、なぜ従来の横スクロールではなく、主観視点を採用したのかについて、宮本氏は「『メトロイド』の一番の魅力は、”冒険すること”だと思う。そこで探索に最も優れていると思われる、この画面を採用した。狭い宇宙船の中などは、主観視点が一番あっていると思う」と語った。また、海外のゲームスタジオであるレトロスタジオを開発元に選んだこととについて、「レトロスタジオに行ったとき、いくつかの仕事を見させてもらった。そのとき、『メトロイド』を作ってほしいと思った」とコメント。なお、現在任天堂よりスタッフがレトロスタジオに3名おもむいて、ともに仕事をしてることも話し、かなり気合の入った作業になっているというところをアピールした。宮本氏自らも、企画段階から参加しているということで、発売が楽しみなタイトルと言えるだろう。

 一連の説明が終わった後、公開質問を受け付けた。ここでは質問と回答の一部始終をお伝えしよう。

【『メトロイドプライム』についての質問】
Q:
日本のファンはこの画面をみてどう思うか?
A:かっこいいと思ってくれると思う。(宮本氏)
Q:宮本氏の『メトロイドプライム』での仕事は?
A:始めから携わっている。自分直属の部下も3人海外のスタジオで作業している。(宮本氏)

【『どうぶつの森+』についての質問】
Q:
日本版ではファミコン家具で遊べるが、北米版での仕様は?
A:現在のところ、NES(海外ファミコン)のソフトを入れるかは未定。(手塚氏)
Q:このゲームの発想はどこで生まれたか?
A:『ヨッシ-アイランド』のスタッフや、本作のプロデューサーである手塚氏と、ゲームについてディスカッションしているときに生まれた。(宮本氏)

【『スーパーマリオサンシャイン』についての質問】
Q:
マリオが使うポンプは2種類(前に放水、背中に背負って使用)しかないのか?
A:もちろんほかにもあります。(宮本氏)

【『ゼルダの伝説GC』についての質問】
Q:
各シリーズにおける時間軸はどうなっているのか?
A:物語の時間ということを考えると、本作(『ゼルダの伝説GC』)が一番始めの物語になる。(宮本氏)
Q:(前の質問を受けて)今作では妹がいるが、では時間的に後になる、過去の作品に妹がいないのはなぜか?
A:(全員苦笑)…今回の物語に妹が必要だった。設定を重視するより、今のゲームをそれだけおもしろくできるかを、一番に考えたい。(宮本氏)

【宮本氏への質問】
Q:
(『どうぶつの森』などで)コミュニケーションゲームに注目しているようだが?
A:自分自身では、あまり意識をしたことはないです。
Q:バイオレンス表現についてはどう思うか?
A:人を楽しませるには便利な表現だと思うが、僕自身にとっては「逃げ」になると思う。

ズラリ勢ぞろいした任天堂の有名人。とくに海外での知名度は高く、さかんにフラッシュがたかれていました。

これが現在開発中の『PSO』をモチーフにしたカードゲーム&液晶スクリーン。発売時期が気になる!!

『スーパーマリオサンシャイン』について、解説する宮本氏。話すよりもプレイしてほしいという感じだった。たしかに触れば、その魅力はよくわかる!

各ゲームの紹介時には、デモプレイを担当した手塚氏。ワイヤレスコントローラ「ウェーブバード」を使っているところに注目。

質問に真剣に聞き入る宮本氏。ときには質問の回答につまり、3者で顔を見合わせるシーンも。いや、海外のプレスは積極的です。


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