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2003年5月14日(水)

任天堂カンファレンス詳細レポート「コネクティビティを重視して成功を目指す」

 任天堂は現地時間5月13日、米ロサンゼルスにおいてマスコミ向けの発表会を行い、今後の展開と最新タイトルの内容を明らかにした。

 発表会のステージに最初に登場したのは、Nintendo of Americaのジョージ・ハリスン氏。最新のマーケティングデータをもとに、任天堂ハードの米国内での状況について触れ、ゲームキューブがXboxを抑え業界2位のシェアを占めていることを説明。米国で発売を開始したGBASPが販売台数95万台を超え非常に好調なことなどを挙げ、その勢いをアピールした。

 続いて、任天堂代表取締役社長の岩田聡氏がスピーチ。岩田氏は、昨年1年間のゲームキューブの不振を認め、その要因として、2002年上期に十分な数のオリジナルタイトルをリリースできなかったこと、GCとGBAの連携に関するアピール不足があったことなどを挙げた。そして、任天堂だけでなく市場そのものも危機に直面しているとの認識を提示。しかしながら、岩田氏は「任天堂はすでに次のチャレンジに向けて行動している」と語り、“コネクティビティ(連携)”こそが重要であると強調した。それはすなわち、GCとGBAのコネクティビティであるとともに、任天堂とサードパーティとのコネクティビティを推進していくということでもあるようだ。
 
 そうした試みから生まれる具体的なソフトラインナップとして、ナムコとの共同開発となる『F-ZERO GX』、ルーカスアーツが発売する『STAR WARS ROGUE SQUADRON III REBEL STRIKE』、DUKE NUKEMなどを制作した開発会社N-SPACEによる新作『GEIST』などを挙げ、さらにナムコの『ソウルキャリバーII』、カプコンの『RESIDENT EVIL 4(バイオハザード4)』、そしてスクウェア・エニックスの『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONIKLES』が発売予定であるとの発表を行った。特にこの『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONIKLES』はGC専用タイトルとしてリリースされる初の『FF』であり、4台のGBAを使った4人同時プレイも可能。その際にGBAカートリッジは一切不要との興味深いアナウンスも行われた。

 そして、任天堂の宮本茂氏がステージに登場。『SIM』シリーズの開発で知られるゲームクリエイター、ウィル・ライト氏をゲストに呼び、GCとGBAで『The SIMS』の新作を開発していることを明らかにした。ライト氏は「これは携帯機でははじめての『SIMS』であり、GCとGBAは独立したプラットホームながらコネクティビティを実現しています」とコメントした。

 続いて、宮本氏が冗談っぽく「『パックマン』が大好きでゲームキューブで作っちゃいました。ナムコさんの許可をもらってないので、それを承認してもらおうと思ってすごい人に来てもらいました」と発言。それを受けて『パックマン』の生みの親であるナムコの岩谷徹氏がステージに上がり、『パックマン』の4人同時プレイをデモンストレーションした。このゲームは、3人がモンスター、1人がパックマンを操作する鬼ごっこタイプのタイトル。シンプルなシステムのこのゲームをプレイした宮本氏は「友だちみんなで集まって遊ぶのが任天堂スタイル」と笑顔で語った。

 さらにゲストコーナーは続き、コナミの小島秀夫監督が登場。「この業界に入って17年間ゲームを作っていますが、今ゲームを作っていられるのもこうしてこの会場にいられるのも宮本さんのおかげです。20年前に『マリオ』に出会ったからこそいまの僕があります。これまで不幸なことに任天堂のハードに携わることがなかったので、今回の宮本さんとのコラボレーションに非常に興奮しています」とスピーチ。満を持して公開されたタイトルは『METAL GEAR SOLID』シリーズの新作『METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKESS』だった。会場のスクリーンで流されたデモ映像に世界中から集まった報道陣も大きな拍手。そしてこのタイトルはカナダの開発会社シリコン・ナイツが開発を手がけていることがアナウンスされ、同社のデニス・ダイアック氏もステージに登場。小島監督に「デニスがいっしょに作ってくれてます」と紹介され、ダイアック氏は「宮本さんと仕事をするのはアリストテレスと仕事するようなもので、小島さんと仕事をするのはソクラテスと仕事をするようなもの。たいへんエキサイティングなプロジェクトです」とその喜びを隠さず表現していた。また、このタイトルでは「あずみ」で話題の映画監督、北村龍平氏とのコラボレートも実現。詳細は不明だが、その映像表現がゲームでどう活きてくるのかに期待したいところだ。

 そして発表会の最後には、岩田氏が再度登場して締めのスピーチ。「任天堂は後退しませんし、今後は競合他社に市場での先行を許すことはありません。任天堂は任天堂らしくやっていきます。そして成功します」と力強く語り、発表会本編は幕を閉じた。なお、この発表会で公開された新作ゲームソフトについては、別記事でさらに詳しく紹介していく予定なので、そちらも注目していてもらいたい。

Nintendo of Americaのジョージ・ハリスン氏。マーケティング的な側面から任天堂の成長をアピールした。

昨年の社長就任からまもなく1周年を迎える岩田氏。「今日はみなさんにクリアなビジョンをお見せします」と語る。

宮本氏が登場すると、会場内は拍手の渦。世界中のゲームクリエイターが彼をリスペクトしている。

宮本氏の隣に立つのが『The SIMS』開発者のウィル・ライト氏。PCゲームナンバーワンの実績を持つ『The SIMS』が任天堂ハードでどのように生まれ変わるか楽しみだ。

ナムコの顔の1つ『パックマン』の生みである親岩谷氏が登場。パックマンのTシャツがまぶしい。

ハリスン氏、ウィル氏を迎えて4人で対戦プレイ。

現在のタイトルは『PAC-MAN FOR NINTENDO GAMECUBE』。

メイン画面の構成はユニーク。それぞれのGBAの画面には、自分を中心とした画面が表示されている。

こちらも4人同時プレイが楽しめる『The Legend of Zelda Four Swords』のイメージ映像。中央がゲームキューブの画面で、四隅に見えるのがそれぞれのプレイヤーの持つGBAの画面。

カプコンの三上真司氏はビデオメッセージで『RESIDENT EVIL 4』の魅力をアピール。

意外にも任天堂ハードははじめてという小島監督。米国で絶大な支持を受ける2人の対面に観客も興奮気味。

シリコン・ナイツ社のダイアック氏を交えて3人で握手。

今後の任天堂について語る岩田氏。「真の大量消費市場において成功を目指す」とコメント。


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■関連サイト
任天堂
Nintendo Of America
E3 2003