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2003年7月24日(木)

MS、Xboxカンファレンスを開催。ピーター・ムーア氏が語るこれからのXbox戦略

 マイクロソフトは本日7月24日、都内にてXbox カンファレンス2003 Summerを開催した。

 本日のカンファレンスには、マイクロソフト本社のホーム エンターテイメント ディビジョン コーポレート バイスプレジデントのピーター・ムーア氏をはじめ、日本担当のジェネラルマネージャ パーミンダー・シン氏らが出席。Xboxの現状と、これからの展開の説明が行われた。

■Xboxの現状と、短期的な戦略

 カンファレンスでは始めに、決算発表をベースにしたXboxの現状が説明された。これによると、昨年度Xboxはワールドワイドで940万台を出荷。地域別の内訳は、北米が620万台と大半を占めており、アジアは100万台、そのうち日本は45万台強という数字になっている。また、Xbox Liveについては、ワールドワイドで50万人のユーザーを獲得している。ソフトタイトルについては、250タイトル以上を現在リリースしており、今年の年末商戦には400タイトルをそろえる予定となっている。

 一方、日本のソフトの状況については、マイクロソフト ゲーム スタジオより16タイトル、サードパーティより81タイトルが発売されている。また、Xbox Liveがスタートして約7カ月が経過し、グローバルで社交的なコミュニティが形成されてきたとのこと。これについては、Xbox Liveユーザーのオフ会ともいえる「Xbox Live Party」の盛り上がりなどで、感じることができる。

 日本での今後の戦略についてピーター氏は、「既存ユーザーの満足度を向上」「Xbox本体の販売強化」「エコシステムの改善」の3本柱を掲げた。

 まず、既存ユーザーに対しては、本体の性能、ソフトタイトルの品質と数、Xbox Liveのサービスといった面の充実を図る。具体的には、Xbox Liveユーザーの75%が海外タイトルをプレイしてみたいというリサーチ結果をもとに、日本での販売経路を持たない海外メーカーをセカンドパーティプログラムで支援、マイクロソフトの流通を利用してタイトルの発売を行っていく。なお、この計画はすでに『Moto GP』で行われており、間もなく第2弾として『Ghost Recon』が発売される予定だ。

 また、このほかにも最低限のローカライズによって、迅速に海外のタイトルを日本に紹介する「Xbox ワールドコレクション シリーズ」と、海外のメガヒットタイトルを日本語化して発売する「Xbox プラチナコレクション シリーズ」の発売が明らかにされた。

 さらに、ゲームは一人で遊ぶものではなく、友だちと遊んでこそのゲームであり、社会的なコミュニティが重要であることを強調。過去に3度行われているXbox Liveユーザーのオフ会を、本年中に6回開催するほか、大会「Xbox Championship」の開催を続けていくことで、既存のXboxユーザーを熱狂的なXboxファンへと変え、伝道師としてコミュニティに働きかけてもらえるようにしていくという。

 Xbox本体の販売強化については、Xbox Liveへの注力のほか、商戦期にあわせたキャンペーンを実施していく。このキャンペーンについては、従来であればクリスマスなど大きな商戦期でないと行われないようなものも、継続的に実施するとのことで、新規ユーザーがXboxに手を出しやすい状態を作っていくとのこと。さらに、『ディノクライシス3』の同梱セットのような、ヒット作とのバンドルモデルについても、今後積極的に提供していく予定となっている。また、8月以降に発売されるXbox Live対応タイトルには、新規Xbox Live登録ユーザーが、2カ月間無料でプレイできるコードを同梱するという、Xbox Liveの普及を促すサービスも行っていくとのことだ。

■Xbox Liveの課金額と新システム「Xbox Live Now」

 本日のカンファレンスでは、Xbox Liveの課金額についての発表が行われた。価格は以下の通りとなっている。

・1カ月:680円
・12カ月:4,980円
・新スタータキット:6,800円

 なお、Xbox Liveはスタータキットに1年分の使用料金が含まれているため、Xbox Liveサービススタート時からプレイしている人でも、課金は来年以降になる。

 続いて、マイクロソフトXbox事業本部 Xbox Live マーケティング マネージャの鶉橋(うずらはし)研治氏による、Xbox Liveの新機能「Xbox Live Now」のデモが行われた。

 「Xbox Live Now」は、従来のXbox Liveにはなかった、ロビー機能を提供するシステム。最大16人までが入室できるボイスチャットルーム、フレンドの招待機能、マイクロソフトから最新タイトルのインフォメーションの表示といった機能が搭載されている。これによって、チャットで相談してどのタイトルを遊ぶか決めたり、友だちを増やしたりすることが可能となるのだ。

 また、この他の「Xbox Live」新機能として、E3で発表されていた「Xbox Live Web」「Xbox Live Aware Games」「Xbox Live Alerts」「Teams & Competition」といった機能が日本でも提供されることが明言された。各機能の詳細は下記の通り。

・「Xbox Live Web」
 Xbox Liveにリンクする、新しいXboxのオフィシャルWebサイト。Xbox Liveのランキング情報や、フレンドリスト情報の参照が可能。

・「Xbox Live Aware Games」
 オフライン、あるいはXbox Live非対応のゲームを遊んでいる場合でも、Xbox Liveにログインすることが可能になる。これによって、オフラインでゲームをプレイ中でも、フレンドからのオンラインマッチの招待を受けることができる。

・「Xbox Live Alerts」
 MSNが提供するツール「MSNメッセンジャー」のサービスと連動して、対応デバイスにXbox Liveゲームへの招待が届く機能。

・「Team & Competition」
 Xbox Liveのフレンド機能を拡張し、チームを編成したり、トーナメントを開催できる機能。機能対応したソフトでは、チーム情報に登録したフレンドを呼び出すことができる。

 また、XboxとPCを接続し、PCから音楽データなどを転送できるソフト「Xbox Music Mixer」についても、現在ローカライズ作業中で、日本で発売されるとのこと。

■次世代Xboxまでの長期的な戦略

 ピーター氏は「Xboxが困難な状況に直面していることは把握している」と、現在の日本市場の状態を認識していることを示した。そして、次世代Xboxまで見通したうえで、パートナー(販売店、流通、開発、パブリッシャー、ブロードバンドパートナー、ユーザー)に対する健全なエコシステムの提供を行い、全体が勝者となれるようにしていくことを強調した。

 ここでいうエコシステムとは、簡単に言えば各パートナーの協調体制のこと。マイクロソフトのような資金を持つ販売元が開発会社に出資し、流通を経てユーザーにエンターテイメントを提供、ユーザーは販売元に資金を還元するという循環システムのことだ。

 また、マイクロソフトは今後も継続的に日本市場に投資を続けていくとのこと。この世代(Xbox)では、困難なチャレンジもあったと思うが、マイクロソフトは、失敗の経験とユーザーの意見から学ぶことができ、それを迅速に実行することができる。そして、Xboxの成功はもちろん、次世代のXboxでの成功も目指していくという。

 いくつかの具体的な話としては、競合他社に対抗するために、Xboxならではの機能であるXbox Liveと社会的なコミュニティを強く打ち出していくこと、次世代Xboxにおいては、デザイン、機能、ローンチにおいて何が必要かという点について、日本からの声に耳を傾けるといった点が上げられた。さらに、次世代Xboxの発売日については、絶対に他社より先行して発売し、Xboxの失敗は繰り返さないという発言もされた。

 また、マイクロソフトのブランドキャンペーンとして、「it's good to play together」をキーワードとした広告展開を、今後行っていくことが明らかにされた。このキーワードは、全世界市場で使用されるもので、「ゲームは一人で遊ぶものではない」という、ピーター氏の発言を明確に表現したものだ。

 なお、会場では『Project Gotham Racing 2』『True Fantasy Live Online』『NINJA GAIDEN』の最新映像が披露された。こちらの様子は、続報でお届けする。

日本でのXbox事業を取り仕切る、パーミンダー・シン氏。現在のXboxの発展は、会場に集まったパートナーの力があってこそと、感謝の意を伝えた。

2003年1月まで、セガ・オブ・アメリカの社長を務め、退任後すぐにマイクロソフト副社長に就任したピーター・ムーア氏。そのビジネスの手腕は、非常に高く評価されている。

Xbox Live マーケティング マネージャの鶉橋研治氏によって、開発中の「Xbox Live Now」の実機を使ったデモが公開された。

「Xbox Live Now」導入後は、Xbox Liveの起動画面がこの写真のものに変更される。

チャットルームには最大16人が入室可能。プレイするゲームの相談などにぴったり。

Xbox Liveに対応する新機能の数々。PCやPDAとの連動により、Xboxはホームエンターテイメントの核となる。

この冬から来期にかけて登場する、注目タイトルの数々。この中から、『Project Gotham Racing 2』『True Fantasy Live Online』『NINJA GAIDEN』の映像が披露された。

グローバルブランドとして「it's good to play together」を掲げるXbox。日本でも、このキーワードは、そのまま英語で使用されるとのこと。

マイクロソフト執行役員の泉水氏(左)は、「レッドモンドのマイクロソフト本社からピーター氏、パーミンダー氏が来ることで、日本市場の声がより本社へ伝えられるようになった」とコメント。


■関連サイト
Xbox公式サイト