News

2003年7月29日(火)

【PSMeetingPart3】「PSXは家電です」。久夛良木氏が語る新プラットフォーム

 SCEコーポレート・エグゼクティブ、SCEJプレジデントの竹野史也氏より、PS事業の実績説明と今期のソフト紹介が行われた後は、SCE代表取締役社長 兼 CEO 久夛良木健氏が登壇。新プラットフォームのPSX、PSPについての説明が行われた。

 まずPSXについて、久夛良木氏によれば「ゲーム機ではなく、AV機器のデジタル化を、ゲーム機の側から加速させようという狙いで企画された製品。ゲーム機なのか家電なのかと聞かれるが、ここではっきり言っておきましょう。PSXは家電です」と、既存のPS2とは、異なるカテゴリーの製品であることを明言した。

 さらに、PSXのキーコンセプトは、「ポストVHS」であると説明。現在世界にあるVHSを、デジタルに置き換えることを狙う。PS2の高速なエンジンとOSを使った、快適に操作できるインターフェイスを搭載したHDD/DVDレコーディング、ブロードバンドにつないでデジタルカメラの画像を楽しむといった特性は、SCEではなくソニー本社の製品であろう、ということから取り扱いもソニーが行うことになった。

 ソニーでは、PSXが今年の年末以降、HDDレコーダーの急速な需要拡大に伴って、家電業界の台風の目になるのではないかと見ている。というのも、高性能な製品が大量生産されて、「衝撃的な価格」で投入されるからだ。

 また、PSXはPS2のエンジンを使い、HDDとイーサネット端子を搭載したことで、PS2のゲームが遊べることはもちろん、PS BB Unitと同等の機能も持っている。PSXが普及すれば、PS2+PlayStation BB Unitという環境が大きく増えることになるため、PSの名を冠した製品にしたのだと、本機の名称について説明した。

 続いては本日の目玉、PSPの詳細な内容について発表が行われた。

 スペックについては、すでに速報でお届けした通りなので、久夛良木氏が語るPSPの位置付けや、コンセプトについてまとめていく。

 久夛良木氏は、PSPを21世紀初めの時点における、究極の携帯機を出したいという思いで開発を進めているという。さらに、メインの使い道は3Dを使用したゲームになるが、映画や音楽といったさまざまなエンターテインメントが、UMDに結集することを目指す。「1~2年後には、現在のウォークマンのように誰もがPSPを使うようになるのではないかと思っている」と、PSPが「21世紀のウォークマン」になることをアピールした。

 PSPに搭載される技術は、「ここまでやるか」と言われるような技術が投入されている。また、技術説明の中では、消費電力の低下とプログラミングを簡単に行えることが、繰り返し挙げられた。プログラミングについては、PSに近い方法を取るとのこと。具体的には、PSPのライブラリを供給し、サンプルコードもつけるという方式で、簡単にプログラムできるようになっていることが特徴だ。

 ツールの配布スケジュールは、まだLSIが開発中のため、まずはPCを使ったエミュレーターで、開発をすることになる。このツールは、今年の秋に提供される予定で、グラフィックスライブラリの一部とカーネル、GNUコンパイラなどとなっている。さらに、年内にグラフィックス以外のライブラリを供給し、来年の春には最終的なハードウェアツールを提供することができるのこと。

 発売までのスケジュールは、E3 2004で試作機の出展、TGS 2004でソフトラインナップの紹介、年末にワールドワイドで発売を計画している。

 最後に久夛良木氏は、「PSPはPS、PS2に続く第3の大きな可能性を秘めたプラットフォームであると信じている。また、放送や電話、出版にデジタル化の波が押し寄せる今は、我々にとって非常にチャンスであると感じている。ゲーム発祥の地、育てた地である日本から素晴らしいエンターテインメントソフトが生まれ、世界に広がることを期待している」とコメントし、本日の発表を締めくくった。

PSファミリーの新プラットフォームについて説明を行う久夛良木氏。本来は開発者向け説明会で行われる、PSPの技術についても公開された。

ゲーム機ではなく、家電だと明言されたPSX。しかし、当然広くユーザーに受け入れられれば、結果としてPS2及びPS BB Unitの普及率も拡大することになる。

PSPに使用されるメディア「UMD」には、強固な認証技術が採用されている。これにより、ゲームだけでなく音楽、映像も著作権を侵される心配なく、供給することが可能になる。

AVCで圧縮された映像も公開された。4.5インチワイドモニターで見る分には、十分すぎるほどの画質となっている。

PSPもPSファミリーということで、△○×□ボタンのほか、L1、R1、スタート、セレクトと、アナログジョイスティック1個を搭載。

プログラミングが簡単なのも、PSPの大きな特徴。その分、企画やアイディアを重視した作品作りが可能になるはずだ。


■関連サイト
SCE