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2003年8月8日(金)

「クラブニンテンドー」など新情報も!任天堂のこれからがわかった経営方針説明会

 任天堂は本日8日、都内で報道やアナリストなどを集め、経営方針説明会を行った。

 登壇した岩田聡代表取締役社長は、冒頭で最近の業界の傾向に触れ、日本のゲーム業界が苦戦しているのは景気の低迷や少子化だけではなく、ゲームの大容量化および複雑化が限界に達し、飽和状態になりつつあるところを指摘。誰もが手軽に遊べる、「間口が広く、懐の深いゲーム」を任天堂が積極的に作り、複雑化についていけずゲームから離れてしまった人たちを呼び戻したいと話した。

 業績面では、GBASPの発売により大きく売り上げが伸び、特に欧米ではいまだにGBASPの品薄状態が続いているなど、非常に好調であると報告。8月には月産が200万台となり、年度末には目標の全世界2000万台(従来型含む)を大きく上回った5000万台に到達する見通しとのことだ。一方のソフト事業は、北米における『ポケモンルビー』や『ポケモンサファイア』が、発売から4カ月たった現在でも週に6万本の売り上げを記録しているだけでなく、1年以上たっても週1万本以上売りあげている作品が10タイトル前後と好調。さらに、ヨーロッパでは発売10日で82万本を売り上げており、「"ポケモン"ブームは終わったなどと言われるが、全世界で認められたことを証明できた」と、海外におけるソフトビジネスの成果をアピールした。

 GCの方では、昨年度目標に到達できなかったことを、「昨年の前半、半年以上にわたって有力タイトルが出せなかったことが要因」と分析、自社開発力の強化を最大の課題として取り組んでいく考えを明らかにした。また、その強化を開発会社の買収で行うことについては、「人材が開発力の源泉。会社という入れ物を買収しても人材が離散してしまっていては意味がないため、買収で開発力を強化することは考えていない」としたうえで、他社とのコラボレーションは積極的に展開していく意志のあることも語った。これにより、新しいアイディアや魅力が生まれ、ユーザー取り込み策につながるとのことだ。

 一方GCソフトの今後のラインナップでは、有力タイトルとしてGC版『メイドインワリオ』を10月に、『マリオカート』、『ポケモンコロシアム』を11月に発売するほか、ナムコと共同開発している『ドンキーコング』のキャラクターを使ったゲーム(近日中に正式発表予定)などを年内に発売し、GCの年末商戦を盛り上げていく。このほか同席した宮本茂氏からは、新しい『ゼルダの伝説』を来年度に発売するといった発言が飛び出すなど、今年度だけでなく来年度にも有力タイトルが控えていることが明らかとなった。

 また、新しいマーケティングの手法として、新たに「クラブニンテンドー」の設立も発表された。これは、インターネットを利用した一種のマイレージサービス。ユーザーは会員登録し、ソフトを購入することでマイレージポイントがたまっていき、このポイントを使うことで、様々な特典を受けられるというシステムだ。このシステムを導入する理由として、「これまで良質なソフトを作ってTV-CMを流していれば売れていたが、今はそれだけでアピールすることは難しくなってきている(岩田氏)」ことを挙げ、ユーザーからのフィードバックを集め科学的に分析、効果的なアピールに結びつけていく。ちなみにサービスは年内に開始される予定だ。

 さらに岩田氏は壇上で、「今までとは異質な商品」の発売を考えていることを明らかにした。ただ、具体的な内容は一切示されず、来年の春をめどに発表するとのことだ。現状では何もわからない状態だが、その発表を期待を込めて待ちたいところ。

 そのほか、にわかに高まってきているオンラインへの対応について岩田氏は、「確かにオンラインゲームの市場があることは認めるが、まわりがやっているからうちもやる、ということは考えていない。任天堂はネットワーク技術を他の形で使って見せたいと思っている」と話し、安易なオンラインゲームへの進出はしない考えを示した。

 様々なことが明らかとなり充実の内容だった今回の説明会。果たしてこれらの任天堂の戦略がどのような形で実を結ぶのか、大いなる期待を持って注目したいところだ。

「任天堂はいつでも、どうすれば世界の市場を活性化できるかを考えている」と熱く語る岩田氏。他人とは違うことをやって勝負するという姿勢を強くアピールした。

宮本氏はナムコと共同開発した『パックマン』に触れ、「手軽に遊んでもらえる形で提供したいと思っている」と話した。


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