【CEDEC】群知能や人工知能を使用したゲーム開発について、森川氏が提案
本日9月5日、昨日に引き続き、明治大学 リバティタワーで「CEDEC 2003」が開催された。ここでは、『がんばれ森川君2号』や『アストロノーカ』などを手がけたムームーの森川幸人氏、ナムコ・CT技術環境グループの赤尾容子さんが行ったセッション「アリの知恵はゲームを救えるか?」について紹介しよう。
このセッションは、これまでゲーム内に取り入れることが難しいとされてきた「人工知能」や「群知能」がテーマ。近年、PCや家庭用ゲーム機のスペックが向上していることで、「人工知能」や「群知能」が使用しやすくなったとともに、開発に費やされるコストや人件費が削減できるということが、具体的なアイデアとともに述べられた。
セッションの前半部分では赤尾さんが、虫や魚などの群れ、画面上で背景として映る群衆、軍隊などでよく使用される「群知能」について、昆虫の「アリ」を例に挙げて説明。「集団で協調作業を行うアリは、個々のアリが行っている作業はいたってシンプルながら、頑健なシステムを作り上げていることが特徴。これをもとにして、集団の各個体に単純なルールを組み込み、ゲーム内において『群知能』が活用できる」とした。また、「群知能」の特徴として、完全な予測が難しい、演出が組み込みにくいという問題点があるため、開発者が「群知能」の性質をしっかり理解した上で、企画段階でこのシステムを使用するかどうか判断するべきだと話した。
続いて、本テーマについて語った森川氏は、まず、現在のゲーム開発において、多くの時間がチェックやモデリングなどの作業に費やされていることがコストが高くなっている原因のひとつと主張。そのため、人間がやるべき作業と、機械にまかせてもいい作業があると述べ、キャラクターのパラメータ、NPCや分身キャラクター(エージェント)の行動判断などを設定する作業の自動化を提案した。
さらに、森川氏は、実際にゲーム内で「人工知能」を取り入れた場合について、さまざまな具体例を挙げ、活用法なども紹介。最後に、簡単なルールで多数の個体を動かし、複雑なシステムを作り上げることができる「群知能」は、ゲームの制作コストやCPU負荷を軽減し、開発者はより“おもしろいゲーム”を作成することに注力できる可能性を秘めていると語り、まとめとした。
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