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2004年11月30日(火)

SCEとソニー、IBM、東芝の4社が次世代汎用プロセッサ「Cell」の概要を発表

 ソニーおよびSCE、IBMコーポレーション、東芝の4社は、次世代のコンピュータシステムやデジタル家電向けに共同開発を行っている高性能プロセッサ「Cell」の概要を公表した。

 「Cell」は、64ビットのPowerプロセッサコアと複数の独立した浮動小数点演算コアを有するマルチコア方式のプロセッサ。膨大なメディア演算処理をリアルタイムで行うことができ、次世代のデジタル家電機器群やコンピュータエンタテインメントシステムだけでなく、映画制作のためのワークステーションや科学技術用シミュレーション・システムなど、今後幅広い分野において応用が可能となる。また、既存のPCをはじめ、ワークステーション向けのOSやデジタル家電、コンピュータエンタテインメント・システムなど、複数のオペレーティングシステム(OS)を同時実行することも可能とのことだ。
 「Cell」についてのその他の特徴は下記の通り。

・マルチコア/マルチスレッド アーキテクチャ
・主記憶、およびI/Oデータ転送バンド幅を大幅に拡張
・フレキシブルなI/Oインターフェースを内蔵
・リアルタイム処理用途向けのリアルタイムリソース管理システムを搭載
・強力なハードウェアレベルのセキュリティシステムを内蔵
・90nmのSOI(Silicon-on-insulator)技術を採用


 4社は「Cell」の技術を、2005年2月6日~2月10日に米国サンフランシスコで開催される国際固体素子回路会議「ISSCC」で発表。開発に向けた詳細な技術について、IBM、ソニーグループ、東芝による4件の論文発表を予定している。

 ソニー副社長兼COOならびに、SCE社長兼CEOである久夛良木健氏は「複数チャネルにわたるハイビジョン番組の同時録画や高解像度のデジタルカメラで撮影された静止画や動画をリアルタイムで画像処理するためには、膨大なメディア演算を高速に処理する能力が要求される。今後、ブロードバンドネットワーク上でさまざまなコンテンツが融合し、それらが大量に送り出されてくる時代を迎えるが、これらの膨大なコンテンツにリアルタイムでアクセスし、ブラウズするためには洗練されたGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース)が不可欠。このような過酷な要求に対応するには、従来のPCベースのアーキテクチャではすでに処理能力的に限界となっている」とコメント。「Cell」がスーパーコンピュータ並みのパフォーマンスを実現させるとしている。

 SCEでは、次世代のコンピュータエンタテインメントシステムに「Cell」の搭載を予定。また、ソニーでは、ブロードバンドに対応したホームサーバ群とハイビジョン対応のデジタルテレビに「Cell」を搭載し、2006年に製品化を開始する計画だ。


■関連サイト
SCE ニュースリリース(pdf形式)
SCE