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2005年8月13日(土)

すぎやま氏のテンションが50上昇!?『ドラクエVIII』オーケストラコンサートが開催

 8月12日、東京芸術劇場大ホールで「第19回 ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界」が開催された。

 この公演は、『ドラクエ』シリーズの作曲者であるすぎやまこういち氏の指揮、東京都交響楽団の演奏によるフルオーケストラコンサート。今回のプログラムは、「交響組曲 ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」となっており、6月にSUGIレーベルより発売された同名タイトルCDに収録されている楽曲がすべて演奏された。

 開演前に行われた恒例のインタビューで、すぎやま氏は最初に「今回のコンサートは『交響組曲 ドラクエVIII』の初演ということで、ファンの方の期待も大きいと思います」とコメント。20年という『ドラクエ』オーケストラコンサートの歴史において、発売初日にチケットが完売したのは今回が初とのことで、すぎやま氏自身をはじめ、オーケストラのメンバーも非常に気合が入っている、とうれしそうに話していた。続けてすぎやま氏は、「『VIII』はゲームソフトの内蔵音源がすごくよくできていて、我々もプレッシャーを感じています。コンサートでは、“内蔵音源もよくできていたけど、やっぱりオーケストラ演奏には違う魅力がある”と感じられるような演奏をしたい。『ドラクエ』のオーケストラコンサートがファンの方にいい印象を与えているのは、オーケストラのメンバーも楽しんで演奏している雰囲気が客席に伝わっているからだと思います。その雰囲気をぜひ味わって欲しいですね」と、このコンサートの魅力を語ってくれた。

 今回の曲目となる『ドラクエVIII』の作曲については、3Dグラフィックに変化したゲーム映像にかなり触発されたそうで、「『広い世界へ』は、360度見渡せる広々としたフィールドの映像を実際に自分で動かして、感じたものを曲に表現した。それから『海の記憶』は、古代船が放置されていた砂漠に水が流れ込み、光に照らされて船が浮かび上がる瞬間にポイントをあわせて曲調を盛り上げた」という。すぎやま氏は、「オーケストラ演奏を聴いてもらって、ゲームをプレイした人はその場面が浮かんだり、記憶と結びついて楽しんでもらえるところがたくさんあると思います」と話し、メロディだけでなく、オーケストラアレンジや演奏も満足のいく仕上がりとなった様子だった。

 また、開演直前の心境をたずねられたすぎやま氏は、「『VIII』で言うと、今はテンションをためている状態(笑)。本番はテンションを50くらい上げた状態で挑みたい。テンションを100まで上げてしまうと、ちょっと演奏が雑になってしまったり、やりすぎたりするので、テンションを3段階ためたくらいがちょうどいいかな。本番10分前にテンションがためきれていなかったら、誰かに“ふしぎなタンバリン”を使ってもらうといいかもしれない(笑)」と答え、取材陣を和ませる場面も。今回のコンサートへの意気込みをユーモアたっぷりに話す姿が印象的だった。

 コンサートでは、合間にすぎやま氏の軽快なトークをはさみながら、オープニングの「序曲」からエンディングの「空と海と大地」まで計21曲が演奏された。中でも、「マイエラ修道院」で起きた火事の場面などに使用されていた「急げ!ピンチだ」では、パーカッションのアレンジを加え、主人公たちの焦る気持ちが見事に表現されており、会場は大きな拍手で包まれた。ゲームをプレイした人は、さまざまな風景や各場面といった冒険の思い出を振り返りながら、オーケストラ演奏を堪能していたようだ。

 本編終了後、観客らの拍手に応えて行われたアンコールでは、『III』で“ラーミア”、および『VIII』で“レティス”のテーマとして使用されていた「おおぞらをとぶ」が演奏された。その後、2曲目のアンコールを期待する拍手に応えてステージに登場したすぎやま氏だが、「『VIII』は曲数が多く、コンサートの時間が長くなってしまうので、実はアンコールの2曲目を用意していませんでした」と苦笑い。しかしながら、開演時間に間に合わなかった人のためにもとのことで、再度「序曲」を演奏し、コンサートは終了。アンコール終了後の会場は、オーケストラのメンバーが退場するまで盛大な拍手が贈られ、まさに「拍手が鳴り止まない」状態となった。

 『ドラクエ』のオーケストラコンサートは、8月20日にセントラル愛知交響楽団の演奏による名古屋公演、9月25日に東京都交響楽団の演奏による初の札幌公演が行われる。10月11日には、東京メトロポリタン・ブラスクインテットによる金管五重奏のコンサートも予定されているので、生演奏で『ドラクエ』の音楽の魅力を味わって見たいという人は足を運んでみてはどうだろうか。



今回で19回目を数える『ドラクエ』オーケストラコンサート。すぎやま氏は、「交響組曲 ドラクエVIII」の初演ということで、非常に気合が入っている、と意気込みを語ってくれた。

発売初日にチケットが完売したとあって、会場内は超満員。訪れた観客らは、オーケストラで奏でられる『ドラクエVIII』の美しいメロディに酔いしれた。

インタビューで「御者台に乗った“トロデ王”のように、座って『馬車を引いて』などの指揮をします」と語っていたすぎやま氏。今回は、一部座って指揮を振るう場面も。

演奏の合間には、すぎやま氏が楽曲やオーケストラアレンジなどを解説。演奏楽曲の聴きどころなどを、ていねいに紹介してくれた。


データ

■「第19回 ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界」プログラム
「交響組曲『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』」
<第1部>
01.「序曲」(Overture)
02.「馬車を引いて」(Travelling with Wagon)
03.「穏やかな街並み~静かな村~錬金がま」(Peaceful Town~Quiet Village~Alchemy Pot)
04.「広い世界へ~大平原のマーチ」(Strange World~Marching through the fields)
05.「対話」(Chatting)
06.「ひんやりと暗い道~暗い道の奥で」(Cold and Gloomy~In the Dungeon Depths)
07.「讃美歌に癒されて~修道僧の決意」(Healing Power of the Psalms~Friar’s Determination)
08.「つらい時を乗り越えて~急げ! ピンチだ」(Over the Sorrow~Hurry! We are in Danger)
09.「神秘なる塔」(Mysterious Tower)
10.「そうだあの時は~それ行けトーポ」(Reminiscence~Go Topo Go!)
11.「雄叫びをあげて~難関を突破せよ」(War Cry~Defeat the Enemy)

<第2部>
12.「この想いを…」(Remembrances...)
13.「城の威容~王宮のガヴォット~城の威容」(Majestic Castle~Gavotte de Chateau~Majestic Castle)
14.「詩人の世界」(Poet’s World)
15.「海の記憶」(Memories of an Ancient Ocean)
16.「忍び寄る影」(Stalked by Fear)
17.「闇の遺跡」(Ruins of Darkness)
18.「大聖堂のある街」(Sanctuary)
19.「終末へ向かう」(Nearing our Destiny)
20.「ドルマゲス~おおぞらに戦う」(Dormaguez~Great Battle in the Vast Sky)
21.「空と海と大地」(Sky, Ocean and Earth)

<アンコール>
22.「おおぞらをとぶ」(『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』)
23.「序曲」

■2005年『ドラゴンクエスト』コンサート予定
・「夏休みファミリー・コンサート・クラシックス」
【公演日時】2005年8月20日 15:00~
【公演会場】愛知県芸術劇場コンサートホール
【指揮とお話】すぎやまこういち氏
【演奏】セントラル愛知交響楽団
【チケット料金】S席 5,000円/A席 4,000円/B席 3,000円(いずれも全席指定・税込)

・「ファミリークラシックコンサート ~ドラゴンクエストの世界~」
【公演日時】2005年9月25日 14:00~
【公演会場】札幌コンサートホールkitara
【指揮とお話】すぎやまこういち氏
【演奏】東京都交響楽団
【チケット料金】S席 5,000円/A席 4,000円/B席 3,000円(いずれも全席指定・税込)

・「金管五重奏による ドラゴンクエスト コンサート」
【公演日時】2005年10月11日 19:00~
【公演会場】第一生命ホール(東京都中央区)
【お話】すぎやまこういち氏
【演奏】東京メトロポリタン・ブラスクインテット
【チケット料金】4,000円(全席指定・税込)

■関連サイト
「すぎやまこういちの世界」
『ドラゴンクエスト』公式サイト
スクウェア・エニックス