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2006年4月14日(金)

制作から3年、『大神』がついに発売!完成発表会でオリジナルタイトル第2弾も発表

 カプコンは本日4月14日、PS2用ソフト『大神』の完成を記念したプレス発表会を東京プリンスホテル・ガーデンアイランドにて行った。

 4月20日に発売を控えた『大神』は、カプコンが設立したゲームソフト開発会社・クローバースタジオの第1弾オリジナルタイトルとなるアクションゲーム。水墨画風のグラフィックや、自然の力を操る「筆しらべ」システムが特徴となっている。

 本日行われた発表会では、クローバースタジオ代表取締役社長で『大神』のプロデューサーの稲葉敦志氏、『大神』のディレクターを務める神谷英樹氏が登場し、ステージ上でトークを展開。今作の制作がスタートしてからの3年間を振り返りつつ、苦労話を語った。
 神谷氏によると、『大神』は“自然”を根本となるテーマに、CGで植物や動物が持つ“生っぽい生命感”を表現したいという思いから制作がスタート。はじめに社内向けに「白い狼の力によって、なにもない世界に爆発的に木々が生み出される」というプロモーション映像を制作したが、「このままいってもゲームにはできない、この風呂敷はたためない(神谷氏)」と考え、方向性の転換が図られたという。
 『大神』の転換点となったのは、デザイナーが遊びで描いた墨絵のようなタッチの白い狼“アマテラス”のイメージイラスト。けっしてリアルではない、しかし独特の魅力があるこのデザインを見たとき、稲葉氏と神谷氏の中にゲーム全体を墨絵タッチで統一する、新たな『大神』のイメージが生まれたとのことだ。
 ちなみに、この時点でクローバースタジオの設立発表とともに、正式に『大神』の開発が明らかにされた。

 グラフィックの方向性が決まり、あとは開発を進めるだけと思えた『大神』だが、肝心のゲームシステムがまったく決まっていなかったため、開発の進行は止まってしまったと2人は語る。
 稲葉氏はこの時期を「開発チーム全員が、“どうせこのゲームはつまらない”と思いながら作っているな、ということが顔を見てわかりました」と辛らつに言い放つ。プロデューサーとして毎週開発状況をチェックしたが、毎回のようにつまらないゲーム性の仮仕様を説明されて「第1作目からこれじゃ、クローバースタジオはもう終わるんじゃないかなと思い、眠れないぐらいに悩みました(稲葉氏)」と感じたという。

 だが、画面に筆で描いた自然の力を発現する神の力「筆しらべ」の発想がミーティングから生まれた時が、第2の転換となった。「筆しらべ」のシステムは、コントローラを使って画面中に記号を書くというもので、この「筆しらべ」システムが確立されたことにより、ゲーム性を組み立てることができたとのことだ。

 しかしながら、次の問題が2005年に米・ロサンゼルスで開催された「Electronic Entertainment Expo 2005(E3 2005)」で発生。「E3 2005」で試遊用に神谷氏が制作したロムが非常に難易度が高いもので、稲葉氏からストップがかかることになる。
 神谷氏は「はじめはまともに○を書くこともできなくて、難しすぎてダメかと思いました。でも、慣れてくるとちゃんと遊ぶことができ、これはいけるという実感が生まれました」と話すが、対する稲葉氏は「本当に難しいものばっかり作るんですよ。試遊できるものとして、クリアできないものしか作りませんでしたね」と反論。その後、『大神』を試遊したユーザーの反応を「東京ゲームショウ 2005」で実際に見た神谷氏は、「これは難しすぎる」と反省し、現在の難易度に調整したという。
 なお、開発当初よりも難易度がやさしくなった製品版『大神』だが、結果的には難易度の高いオマケゲームがマスターアップ直前に追加されている。

 最後に2人は、「『大神』はクローバースタジオとして絶対の自信を持っているタイトルです。ぜひたくさんの人に遊んでもらいたい(稲葉氏)」、「今まで作ってきたタイトルの中で、一番思い入れがあるタイトルです。発売まで一週間を切り、『大神』というオリジナルタイトルがユーザーにどこまで受け入れられるかという不安でいっぱいです。多くの人に遊んでもらえれば、本当に作ってよかったと思います(神谷氏)」とユーザーへのメッセージを語った。

 また、本日はクローバースタジオのオリジナルタイトル第2弾として開発されているPS2用ソフト『ゴッドハンド』の発表もあわせて行われた。『ゴッドハンド』のゲームシステムなどは明らかにされなかったが、会場で上映されたムービーによると素手による格闘で敵と戦っていくアクションゲームになっているようだ。このソフトの詳細は2006年5月に開催される「E3 2006」で発表されるとのことなので、続報を楽しみにしていたい。



『大神』の完成を記念して行われた本日の発表会。プロデューサーの稲葉氏、ディレクターの神谷氏によるトークが展開した。

『大神』のジャケットに使用されている日本画家・木村圭吾氏の桜画の話も。稲葉氏がたまたま立ち寄った美術館で木村氏の作品に出会い、ジャケットへの採用が決定したという。

『大神』のテーマソングを唄う平原綾香さんへのインタビューの様子も上映。テーマソング「Reset」は、『大神』をプレイして平原さんが感じたテーマ性が存分に盛り込まれている。

会場には、『大神』の試遊台も設置。明日4月15日には、全国のゲーム販売店にて今作の体験会が実施されるので、発売前に遊びたいという人は足を運んでみよう。

発表会の最後に公開された新作『ゴッドハンド』。詳細は「E3 2006」で明かされるとのこと。

(C)CloverStudio Co.,Ltd. 2006 All Rights Reserved. DISTRIBUTED BY CAPCOM CO., LTD.

データ

▼『大神』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS2
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2006年4月20日
■価格:7,140円(税込)
※プレイステーション・ドットコム・ジャパンの販売価格:6,426円(税込)
※セガダイレクトの販売価格:6,426円(税込)
※Amazonの販売価格:6,069円(税込)

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『大神』のジャケットには日本画家・木村圭吾氏による桜画「野性の胎動」を採用

■関連サイト
『大神』公式サイト
クローバースタジオ
カプコン