KONAMIがWii向けに開発を進めている新作タイトル『Elebits(エレビッツ・仮称)』。このたび、プロデューサーを務める向峠慎吾氏に話を伺い、開発中の本タイトルに触れる機会を得た。体験レポートと向峠氏のインタビューを中心に、本作の内容を紹介していこう。
『Elebits(仮)』は、ガスや電気といったエネルギーと同じ働きをする不思議な生物“Elebits”と人間が共存する異世界を舞台としたゲーム。物語はある日突然、“Elebits”たちが人間の言うことを聞かなくなり、エネルギーの役割を果たさなくなってしまったところからスタートし、プレイヤーはあらゆる場所に隠れている“Elebits”を捕まえて、もとの世界に戻していく。
ゲームはステージクリア型となっており、ステージごとに用意されたミッションをこなしてクリアを目指す。ミッション内容はステージの特性などを利用した内容となる他、パズル要素といったさまざまな仕掛けが多数盛り込まれる予定だという。
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こびと(Elebits)と人間の出会いは1万年前。両者が仲良く暮らすこの世界では、こびとと人間の出会いを記した壁画をもとにした絵本が多く出版されているという。 |
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本作にもっとも多く登場する一般的な“Elebits”。 | レッドのElebitsは、ブルーのElebitsと比べて泣き虫な性格だとか。 |
今回、試遊することができたのは「E3 2006」で出展されたプレイアブル版。ステージの背景は、海外のアニメ映画に登場するようなポップでかわいらしい雰囲気のキッチンが3Dグラフィックで表現されており、ミッションは「3分間で多くの“Elebits”たちを捕まえ、何ワット獲得することができるか?」という内容となっていた。
本作の操作には、標準コントローラとなる「Wiiリモコン」と、拡張コントローラ「ヌンチャク」を使用。左手に持つヌンチャクのアナログスティックでは、プレイヤー自身の移動を行い、右手に持つ「Wiiリモコン」ではポインターで照準をあわせ、コントローラ中央のAボタンを押すことで部屋内に隠れている“Elebits”たちを捕まえることができる。
“Elebits”はプレイスタート時、目に見える数だけでなく、引き出しや戸棚の中、トースターや電子レンジ、ポット、冷蔵庫といった家電製品の中、照明の上など、ステージ内のいたる場所に隠れている。画面内の“Elebits”に照準をあわせ、Aボタンを1回押すごとに“Elebits”1匹を捕まえて片っ端から消していくという操作は、FPSのプレイ感覚に少し似ているかもしれない。
また、Aボタンを押しっぱなしにして部屋中のあらゆるものを触ると、画面内のオブジェクトを持ち上げたり、動かすことができる。今回はコントローラを前後に引いたり押したりして部屋内の扉や引き出しを開閉したり、手首をひねる動作で蛇口やドアノブなどを回すといった動作を確認することができた。
部屋内の椅子、テーブル、冷蔵庫をはじめ、家や車、植物など画面内に登場するものは大小かかわらずなんでも掴んで投げ飛ばすことが可能。ゲームスタート時は軽いものしか持ち上げることができないが、ゲームを進めていくと家や車といった大きなものも動かすことができるようになる。
さらに、ゲーム中には、さまざまな特性を持ったアイテムも存在。これらのアイテムを使用すると、効率よく“Elebits”たちを捕まえることができる。
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キッチンの中には、引き出しや電化製品の中などに多数のElebitsが隠れている。 |
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体験版では、登場するオブジェクトをすべて軽々と動かすことができたが、本作では重さの概念が存在し、大きなものを動かす操作については現在調整中とのこと。 |
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このように手首をひねることで、蛇口やドアノブなどをまわす動作を行うことができる。 |
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『Elebits(仮)』体験版のデモプレイで操作方法を説明してくれたプロデューサーの向峠氏。インタビューでは開発の流れやコンセプトなどについて語ってくれた。 |
●向峠氏インタビュー
――「E3 2006」で発表された『Elebits(仮)』ですが、現時点でどのくらい開発はどのくらい進んでいるのでしょうか?
「現段階で全体の30%くらいですね。ただ、基本的なゲーム性はできているので、だいぶ完成の目処が立ってきています。Wii本体との同時発売を目指すべく、開発を進めているところです。」
――やはり本作の一番大きな特徴は、Wiiコントローラでの操作性かと思うのですが、Wiiというゲーム機本体の特性とゲームのコンセプトの関連性について教えていただけますか?
「任天堂さんでコントローラを見せてもらう機会があったのですが、その場でサンプルを触らせてもらった時に、“なんだこりゃ?”とこれまでのゲームの感覚とまったく違うコントローラに衝撃を受けました。それから、このコントローラを備えたWiiという新しいハードについて社内で話し合い、とにかくこのコントローラを最大限に生かして何ができるかということについてずっと議論を進めていました。そこで実際にコントローラの動きにあわせて画面内の中のものをバーチャルリアル的に動かすことができたらおもしろい、というコンセプトができあがり、『Elebits(仮)』の開発がスタートしました。モニター画面の中に登場するものを、現実世界のように全部触って動かすことができる、というシステムを制作している過程でゲームの設定が固まってきたんです。本作は、ゲームのコンセプトが先で、設定が後という珍しいケースですね。」
――実際にコントローラに衝撃を受けて制作に入ったということですが、開発にあたり苦労した点などはありますか?
「グラフィックを動かすところまでは比較的早くたどり着いたのですが、いかんせんコントローラの調整が難しかったですね。実際に画面内のものを触っているような感覚、というコンセプトで制作していたので、コントローラをどのくらい動かすと持っている感覚になるのか、細かいところまで調整しています。例えば蛇口をひねる動作にしても、人によって手首ひねる角度などが違うので、どの段階でひねったと判定するのか、そういった微調整にすごく時間をとられましたね。また、コントローラ自体が新しいものなので、各ボタンなどをどういった割り振りにするかなど、そのあたりが大変でした。」
――今回、蛇口やドアノブをひねったり、引き出しや扉を押したり引いたりという動作を体感させていただいたのですが、その他にもゲーム中で特徴的な動きなどはありますか?
「いろいろな仕掛けの中で、それぞれに対応した操作や動作が増えていくかと思います。本作のベースはオブジェクトを動かせることで、各ステージではパズル的な要素などが入ってくるかなといった感じですね。さまざまなオブジェクトを動かして一定の条件で並べたら、何かの仕掛けが動くといった方向性に広がっていくと思います。今回は、電化製品のスイッチを押すだけでしたが、他のステージではもっと凝ったものがたくさん入ります。現在、基本的な遊び方ができている段階なので、今後はどのような仕掛けを盛り込むかを詰めているところです。ただ、どんどんアイデアが出てきている状態なので、もしかしたら本作でやりたいことが全部入りきらないかもしれないですね。」
――本作では“Elebits”のかわいらしさも魅力だと思うのですが、このデザインはどういった形で決定したのでしょうか?
「“Elebits”のキャラクターデザインは非常に難航しました。デザインがとても重要なプロジェクトだったので、延べ50人くらいのデザイナー、100種類以上のデザインというかなり大がかりなコンペティションを行ったうえで決定しました。まだあまり詳しくはいえませんが、登場する“Elebits”はたくさん種類があって性格もそれぞれ違うし、見極めるのも楽しいかと思います。」
――『Elebits(仮)』がターゲットとしているのは、どのような層なのでしょうか?
「もちろん幅広い層でと考えています。女子高生などにもキャラクターがかわいいなどで、受け入れてもらえるとうれしいですね(笑)。ただ、直感的な操作で、4歳くらいの子どもでも触ることができるタイトルだと思います。とにかく実際に触ってもらいたいという気持ちがすごくありますし、一旦ゲームから離れた人たちにもう1度ゲームで遊んでもらいたいという気持ちを込めて作っています。」
――Wiiに対して、どういった期待をお持ちですか?
「中高生などの10代が一番飛びつきやすいかな、と思いますね。個人的には、一度ゲームを離れた層にぜひ手に取って欲しい。ちょうどファミコンなどをプレイしていた30代の方などは、子どもと一緒に遊んだりしてほしいと思います。
作り手から見ると、Wiiというハードはバランスがいいですね。グラフィックを細かく書き込むこともできますし、例えばリアルな家なども表現することができます。開発するタイトルのプラットフォームを決定する際に、Wiiならではのタイトルを作りたいからWii用ソフトを作るなど、企画でハードを選ぶこともあるかと思います。逆にマルチだと展開しづらいという欠点もありますが、独創的でいいハードだと思います。」
――ありがとうございました。
データ
(C)2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.
▼『Elebits(仮)』
■メーカー:KONAMI
■対応機種:Wii
■ジャンル:未定
■発売日:未定
■価格:未定
■関連サイト
・『Elebits(仮)』E3特設サイト
・コナミデジタルエンタテインメント
・KONAMI