News

2007年10月25日(木)

【今週の1本】恐い!でも止められない!サウンドノベルの新境地『忌火起草』

 『忌火起草』を「キビキソウ」と読んだり「オキビキソウ」と読んだりと、タイトルを一向に覚えないYK3です。コンニチハ。正確には「イマビキソウ」と読みますからね、念のため。知らなかった人は恥かかないうちに覚えちゃいましょう。はい、ここ試験に出るからな~!(ウソです)。

■満を持して御大キタコレ!

 発売はセガからですが、開発はチュンソフト。チュンソフトと言えば? そう、サウンドノベルですよ、奥さん(いやもちろんそれだけじゃないですけど)。『弟切草』、『かまいたちの夜』シリーズ、『街』で金字塔を打ち立てたあのチュンソフトが久々にナンバリングタイトルではない新作サウンドノベルを作ったわけです。発表された時から期待で胸が膨らんで胸囲が増したくらいですから! ……ってちょっと誇張し過ぎましたが、そのくらい楽しみにしていたわけです(ウエストなら順調に増えてます)。嗚呼、ピンクのしおりを出すために奮闘した日々が思い出されます……。

■操作は簡単、でもボリュームは∞!

 サウンドノベルですから、難しい操作はゼロ。ボタンを押して文章を読み進めて、選択肢が出たら選んでまた読み進める。それだけです。
 ただし、選んだ選択肢によって多くのストーリーやエンディングが用意されているため、1回や2回クリアして『忌火起草』がわかった気になってもらっちゃ困ります。何種類あるかはわかりませんが、全部のエンディングをチェックすることもこのゲームの楽しさのひとつだと思います。
 と、えらそうなことをヌかしてる私ですが、現時点でまともなエンディングに1回もたどりついていません。選択肢をいろいろ変えながらやってみたんですけどねー。ちょっと時間も足りませんでした。でもいいんです。プレイしたのがサンプル版だったので、製品版が出たらじっくりやるんだもーん。

■内容は……聞かないほうが楽しめます!

 ていうかね、サウンドノベルなわけですよ。シナリオが命なわけです。楽しみにしている人もたくさんいるでしょうから、内容は公式サイトや雑誌に載ってるレベルしかあえて書きません。いや、余計な情報を入れないで始めたほうがより楽しめると思うので、もう何も書きません! ……でも、それでは話が終わってしまうので、一応ざっとストーリーを紹介します。
-----------------------------------
 「ビジョン」と呼ばれるドラッグを服用した若者たちが、次々と謎の焼死を遂げるという事件が発生。その災いに巻き込まれた主人公とヒロイン愛美は、事件の根源と思われる屋敷に向かう。そこは一面に「忌火起草」が咲き乱れる謎めいた場所だった……。
-----------------------------------
 とまあ、これだけじゃ訳わからない感じですが、プレイしてみた率直な感想を一言。「マジで恐ぇ~!」です。スプラッターっぽい即物的な恐さじゃなくて、心理的にじわじわと来る恐さって感じでしょうか。わが身に起こった異変が徐々に死の恐怖に変わり、絶望に到達する……そこまで行った人間が果たしてどんな行動を取るのか。あなた自身の目で耳で感じてほしいと思います。

■「サウンド」ノベルここに極まれり

 小見出しにカギカッコを付けたのは、サウンド面での工夫が非常に気に入ったからです。まず1つ目は、5.1chサラウンドに対応していること。2chステレオと違って前後も感じられますから、例えば後ろに誰かいるといったこともわかるわけです。自分の見えない方向に得体の知れないものが存在する恐怖。かなりやばいです。
 2つ目は、テキストと音声のあまりにスマートな融合。簡単に言うと、小説などで言う会話部分が音声でそれ以外(地の文)がテキストで表示されるという表現です。これが案外テンポよくて結構シックリきます。ただ、声優の声質や演技力でキャラの印象の幅が狭くなる、つまり想像力を働かせる余地が少なくなるため、これまでのサウンドノベルファンにとっては多少違和感を感じるかもしれません。個人的には程よいテンポのおかげですぐに慣れてしまいましたが。

■「目」って何でこんなに恐いんだろう

 このゲームをプレイしてみて改めて「目」って恐いよう~、って感じました。目玉だけくっきりと見えるシーンがところどころ出てくるんですが、そのたびにドキッとしちゃいます。よく目玉の模様がついた虫や動物がいますよね、ああいうの見てもキモくてゾクゾクきちゃうほうなのでなおさらなのかもしれません。まあ逆に言えば、そういう恐さやキモさのツボを心得ているんでしょうね、開発の方たちは。でもそれがだんだんクセになってくるんですよねぇ、困ったことに。キモい~って感じてる自分を楽しむという感じでしょうか。

■まとまってませんがマトメ!

 簡単にまとめると、チュンソフト製サウンドノベルが好きだった人や都市伝説のようなホラーめいたものが好きな人には文句なしにオススメです。より雰囲気を出すなら、1人で夜中に部屋を薄暗くして遊ぶといいんじゃないでしょうかね。時間はもちろん午前2時ごろ。リアルでなんか見えちゃうかもしれませんよw
 逆に、ちょっと恐い話を聞いただけで夜トイレに行けなくなっちゃう恐がりさんにはちょっと刺激が……。
 ということで、この原稿を書いているうちにちょうど午前2時になりましたね…………あれ?誰もいないのに物音がしたな。誰かいるの!? あ、あれ? ぎゃーーーー!
『忌火起草』
これが謎のドラッグ「ビジョン」。これを服用した人は一時的に非常な高揚感を得られるが、後に謎の焼死を遂げてしまうというなんとも物騒なドラッグだ。
『忌火起草』
主人公の目玉。暗い中に目玉がくっきり映し出されて、画面が変わるたびにいちいちドキッとしました。
『忌火起草』
音声と文章が融合した表現が新しい。一見文章がつながっていないように見えるが、バックには音声が流れており、それを受けた文章となっている。

(C)2007 CHUNSOFT

データ

▼『忌火起草』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS3
■ジャンル:AVG
■発売日:発売中(2007年10月25日)
■価格:7,980円(税込)

■『忌火起草』の購入はこちら
セガダイレクト
Amazon
TSUTAYA online

■関連サイト
セガ『忌火起草』公式サイト
チュンソフト『忌火起草』公式サイト
セガ