幕張メッセにて開催された「電撃15年祭」内で、ステージイベント「狼と香辛料 豊穣祈願祭」が行われたことは
11月24日のニュース記事でお伝えした通り。今回は、本イベントの詳細レポートを掲載する。
「狼と香辛料」は、電撃文庫から刊行中のファンタジー小説。自身を麦束に宿る狼神の化身と呼ぶ少女“ホロ”と、行商人“ロレンス”の旅を描いた作品だ。著者は支倉凍砂先生、イラストは文倉十先生が担当している。
ステージイベントの出演者は、“ホロ”役の声優・小清水亜美さんと、“クラフト・ロレンス”役の声優・福山潤さん。司会は、アニメ好きで知られるニッポン放送のアナウンサー吉田尚記さんが務めた。最初のコーナーでは、小清水さんと福山さんが「狼と香辛料」の見どころを紹介。まずは登場人物の紹介ということで“ロレンス”のプロフィールが公開されたのだが、「住所:不定」、「特徴:無精ヒゲ」、「話し相手:馬」など、まるで手配書のようなプロフィールに笑いが起こる。“ロレンス”は行商人ゆえに普段話し相手が少ないのだが、福山さんも「僕も上京したての頃は話し相手がいなくて、鏡に向かって話をしていたこともある」と告白。福山さんは、“ロレンス”の気持ちが痛々しいほどによくわかると語っていた。
続いては、小清水さん演じる“ホロ”の紹介。“ホロ”の特徴といえば、彼女の使う「わっち」、「ぬし」、「ありんす」といった独特の言葉使い。小清水さんは、“ホロ”を演じるにあたって映画「さくらん」を参考にしたと話していた。「くりゃれ」という言葉がどうしても「くられ」になってしまうという苦労話も飛び出し「くりゃれとの戦いなんです」と語る小清水さんだったが、「現場で別の言葉に変えてもらえないんですか?」という吉田アナの言葉に、「プロとして、言わなければならないんです」と胸を張って答えていた。
最後の見どころは、物語の中に登場するさまざまな食べ物。「お酒」の話題では、出演者同士でまだ飲みに行ったことがなく、福山さんらが「もし飲みに行ったとしても出演者が少ないため1対1になってしまうのではないか」と心配する一幕も。
続いて、初公開となる本編の映像がスクリーンに映し出された。5分程度のムービーだったが、“ホロ”と“ロレンス”の出会いのシーンや、“ロレンス”が事件に巻き込まれていくシーンなど、印象的な場面で構成された密度の高い映像だった。
会場の人々がムービーを堪能したところで、原作者の支倉凍砂先生とイラスト担当の文倉十先生が登場。「ファンタジー世界を舞台に繰り広げられる経済小説」という作風について、支倉先生は「経済関連の本を読んでこういった物語を書きたいと思っていたんですが、やはりファンタジー世界をベースに、ケモノ耳の女の子を出したいなと考えまして」と語った。一方文倉先生は、かわいい女の子が描けなくて苦労したとコメント。しかし会場からは、かわいい女の子がしっかり描けているよという意味あいの暖かい拍手が。先生の苦労が報われたということだろうか。
「アニメはどこまでやるんですか?」という吉田アナの質問に、支倉先生が「“ノーラ”までは出る予定になっています」と返答。その答えを待っていたかのように、正面のスクリーンに“ノーラ”を演じる中原麻衣さんのビデオメッセージが映し出される。“ホロ”についてはそっけなく語る中原さんだったが、「小清水さんとはすごく仲よくアフレコさせていただいてます」とコメント。最後は「Oh! 神よ……」という何ともいえないダジャレを披露した後、「――って、福山くんがやれって言ったのでやりました」と締めくくった。
爆弾を投げ込むようなビデオメッセージに動揺する福山さんと小清水さんだったが、なんとかフォローしつつイベントは終了のムードへ。最後は、アニメの放送局や開始時期、小説(電撃文庫)の新刊情報、「電撃「マ)王」で連載中のコミックなどについてのアナウンスが行われた。さらに、2008年初夏にDS用ソフト『狼と香辛料 ボクとホロの1年』の発売が決定したという情報が発表され、ステージは幕引きとなった。
映し出された映像は出演者の2人も初めて観るものだったようで、福山さん(写真左)は「音楽がついている映像は今初めて観たので、民族音楽のような曲がのどかな雰囲気を演出していてイメージが沸きました」とコメント。小清水さん(写真右)も、「実際の映像を観て、今後こうやって“ホロ”を演じていこうという考えが浮かびました」と話していた。
アニメについて、支倉先生(写真左)は「“ホロ”の尻尾と耳がかわいいです」と、文倉先生(写真右)は「“ホロ”や“ロレンス”の動いている姿に感動した」と、それぞれ語っていた。
福山さんは中原さんのメッセージの後、責めるような会場の視線を受け狼狽。「確かに、確かに言いましたけど、まさかこんな形でやり返されるとは……」と苦笑いを浮かべていた。
左から、吉田尚記アナウンサー、支倉凍砂先生、文倉十先生、小清水亜美さん、福山潤さん。TVアニメの放送が待ち遠しくなる、豪華なステージだった。
(C)支倉凍砂・メディアワークス/「狼と香辛料」製作委員会
データ
■TVアニメ「狼と香辛料」
2008年1月よりチバテレビほか全国UHF局にて放送予定
【スタッフ】(敬称略)
原作:支倉凍砂(「狼と香辛料」電撃文庫刊)
キャラクター原案:文倉十
監督:高橋丈夫
脚本:荒川稔久
キャラクターデザイン・総作画監督:黒田和也
色彩設計:佐野ひとみ
美術監督:小濱俊裕(スタジオ美峰)
美術設定:塩澤良憲(スタジオ美峰)
撮影監督:松井伸哉
音響監督:高桑一
音響制作:神南スタジオ
アニメーション制作:IMAGIN
ほか
【キャスト】(敬称略)
“ホロ”役:小清水亜美
“ロレンス”役:福山潤
“ノーラ”役:中原麻衣
“クロエ”役:名塚佳織
ほか
■「電撃15年祭」概要
【開催期間】2007年11月24日、25日
【開催時間】各日10:00~17:00
【開催会場】千葉県・幕張メッセ(9、10、11ホール)
【入場料】無料
■関連サイト
・TVアニメ「狼と香辛料」公式サイト
・電撃文庫&hp
・メディアワークス