「電撃オンライン First Impression」に再び登場、kbjです。誰もが「マイフェイバレット」といえるような、好きなゲームを持っていると思います。自分にとってスーパーファミコン用『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』がその1つです。当時、そのグラフィックに酔いしれ、アクションの豊富さに仰天し、表と裏の世界を行き来するギミックに感動しました。思い返せば、ファミコンの『ゼルダの伝説』では、ゲームをクリアした後に楽しめる裏世界という設定に驚き、『リンクの冒険』では横スクロールに驚き、ゲームボーイ『ゼルダの伝説 夢をみる島』では、携帯機とは思えないクオリティに驚き、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』では、3Dで再現された箱庭的な要素に驚き……って毎回驚いてますね(笑)。何が言いたいのかってそれくらいによくできて、毎回ドキドキさせられるシリーズだということです!
そして6月23日に発売されたのが、DS用ソフト『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』。発売前の情報として、タッチペンを使い「ブーメラン」の軌道を操るということだけを知っていましたが、
余計な情報をなるべく入れずに予備知識なしでプレイしました。据え置き機にはない路線を突き進んでいた携帯ハード用『ゼルダの伝説』シリーズに、新たな一石を投じた本作。随所に感動しながら体験したので、以下に紹介していきます。
■今回の舞台は「海」
パッケージにも青い空と青い海が描かれていますが、舞台となるのは「海」です。「海」という単語に反応した人はお気づきかもしれません。そうです。本作は、『ゼルダの伝説 風のタクト』の世界観を引き継ぎ、後日談を描いています。「その作品やってないよ! きっと知らない情報だらけなんでしょ?」という人も安心してください。しっかり
オープニングで説明してくれています。個人的にですが、シリーズをやっている人がちょっとニヤリとする、そんな設定がいいですね。ちなみに、画面は3Dポリゴンを使用していますが、俯瞰視点の画面なのでポリゴン酔いしてしまうという人も安心ですし、どこか懐かしい画面で往年のファンにはたまらないと思います。
■シリーズ初の「ペンアクションアドベンチャー」とは?
パッケージを開き、ソフトを起動させました。マニュアルは読んでいませんが、このシリーズでマニュアルというものはホントに困ってから読むものです(むしろkbjは困ってもマニュアルを読まないかもしれません)。なぜって
それくらいに操作方法をゲームのなかでしっかり解説してくれるから! さて本作は、シリーズ初となるペンアクションアドベンチャーとパッケージの裏に書いてあります。「ペンアクションアドベンチャー」って何? と思うファンもいるでしょう。それは当然です。だって、本作が初めてのジャンルなんだもん。簡単に言ってしまえば、ボタンを使わずに、ペンのみで操作ができるというシステムです。最初、ボタンを押しても反応しないのに驚き、「タッチ操作だけで、複雑な動きをできるのか?」と思いました……が! まったく問題ありませんでした。移動したい場所をタッチすれば、画面の中の“リンク”はタタタタタと走って移動しますし、攻撃したい敵をペンで突っつけば、ザクッと斬りつけます。これまでのゲームの操作に慣れているユーザーは、最初戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れると思います。そしてそれがすごく本作に向いていていいと感じました。
■書き込んでいく作業が新しい!
『ゼルダの伝説』といえば、さまざまな謎を解いていく要素は外せません。本作でももちろんそれは健在なのですが、新要素として「マップにメモをすることができる」というDSならではの機能があるのに注目したいと思います。この機能は、例えば「ダンジョンの扉は2つめを進め」と教えてもらったときに、マップに書き込みができるというものです(そのまんまですが……)。謎を解くうえでのヒントをマップに書き込んでいくと、そのマップは自分だけの攻略メモが書き込まれていくのです! これが冒険している感をさらに向上させ、よくできていると感じました! ダンジョンのなかだけでなく、フィールドのマップにも書き込んでいくこの作業。
マップに自分のロマンを展開していく。そんな風にいったら大げさかもしれませんが、小さいころに宝島の地図にあこがれたような人なら、きっとニヤニヤしてしまうのでは?
■個人的なポイントなど
これも『ゼルダの伝説』らしさといってしまえばそうなのかもしれませんが、ところどころにある親切な設計がすごくよかったです。例えば、アイテムを使う際に、「右上にあるアイコンをタッチして、そのアイテムを装備する」というのがあるんですが、「「Lボタン」もしくは「Rボタン」を押すことで、装備できる」というショートカットも用意されています。最初は普通に操作して、慣れてきたら便利な方法がある。ここらへんもすごく考えられているなと感じました。あとは、ルビですね。ゲームのなかで難しい漢字が出てきたときにその文字をタッチすることで、上に読み仮名が表示されるのです。大人だけでなく、子どもにも遊んでもらえる作品を目指しているのが、よくわかりました。あとは、ネタばれになるので詳しくはいえませんが、登場人物がまたいいんです。自称「海の男“ラインバック”」だけは、なんともいけ好かない嫌な感じの男なんですが……。これからやる人は、人物にも注目してもらいたいですね。そのほかにも、「サルベージ」や、「釣り」、「船のカスタマイズ」など、遊べる要素が多いというのもGOODです。
■おまけ? 否! ドップリはまりました
最後に「対戦」モードについて書きたいと思います。今まで書いてきたのは、ファイルを作った後に「冒険する」を選ぶことで楽しめるストーリーモードのようなものですが、「対戦する」を選ぶことで、ほかのプレイヤーとバトルできるのです。対戦には、「マルチプレイ」、「Wi-Fi」、「ダウンロード」があるので、ソフトのない人と遊ぶなら「ダウンロード」を、近くにいるソフトを持っている人と対戦するなら「マルチプレイ」、Wi-Fiの環境があるならば「Wi-Fi」をと、環境にあわせた選択ができます。
2人で遊ぶこの「対戦」モード、プレイヤーは本編に登場する“ファントム”と“リンク”を交互に動かすのですが、どちらを操作するかで役割が変化します。“リンク”の場合は、フィールド上にある「フォース」を自分の陣地に持ってきます。「フォース」は大きいとポイントも高くなるのですが、そのぶん重いために運ぶ速度が落ちてしまいます。一方の“ファントム”は、“リンク”が「フォース」を運ぶのを阻止するのです。
書いてしまうとこれだけなのですが、この「対戦」が実におもしろい! “ファントム”が3体いるので、“リンク”は不利に見えるのですが、フットワークの違いと“ファントム”から逃れられる無敵地帯「聖域」をうまく使って、スキをついたときの快感といったらないです。また相手の陣地にある「フォース」を「聖域」に置くことで、ポイントの発生しない中立の「フォース」に変えることが可能。これによって、ポイントで勝っているから守りだけを固めて逃げ勝つということができないのです。
これらの駆け引きがとにかく熱い! 1回の対戦時間は短いのですが「もう1回、あと1回だけ」となり、あっという間に2時間くらいなら経ってしまうでしょう(笑)
DSの操作性についてトコトン研究し、それを利用している本作。とくに気になる欠点というのは正直なかったです。据え置き機ほどのボリュームはないのですが、DSならではのすっきりした切り口で、すごく楽しめる良質の作品でした。とくに
『ゼルダの伝説』を知らないような人でも、楽しめる!、そんなソフトに仕上がっています。もちろん、シリーズを楽しんでいる人には大安定の作品ですよ。
DSはこのソフトのために発売されたのでは? と思ってしまうような完成度の『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』。DSユーザー全員にやってほしい、そんな作品です。(kbj)
海を舞台としているので海上の操作も多い本作。海をふくめ、グラフィックはDSのなかでもかなり綺麗です。
3Dで描かれているのに、どことなく懐かしい画面の本作。画面の中の人物はよく動きます。
操作についてもかなり工夫されています。普段の操作から、ショートカットまで。本当によくできていると思いました。
マップに自分の手で書き込めるというのがDSならではのシステム。ボロボロに書き込まれた地図ほど愛着も沸くのでは?
本作のキャラクターでkbj的にとくに気にいったのが“ラインバック”! どこか憎めないキャラクターもシリーズのお約束?
本文では書いてませんが、手紙を運んでくれる“ポストマン”も個人的にツボでした。なぜ、手紙を勝手に読むんだ! ってツッコミました!
それ以外にも、「サルベージ」や「船のカスタマイズ」などとにかく要素が盛りだくさん。ちなみに自慢の船です。鉄の船のような統一感にしてみました。
「対戦」はダウンロードプレイもできるので、ソフトを持っていない人もぜひ体験してみてほしいです。
DSならではの操作を随所に盛り込んだ『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』。とにかくオススメです!
(C)2007 Nintendo
データ
▼『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』
■メーカー:任天堂
■対応機種:DS
■ジャンル:A.AVG
■発売日:発売中(2007年6月23日)
■価格:4,800円(税込)
■『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』の購入はこちら
※Amazonの販売価格:4,080円(税込)
※TSUTAYA.onlineの販売価格:4,319円(税込)
■関連サイト
・『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』公式サイト
・任天堂