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2007年7月25日(水)

困難に挑戦することが、名作誕生の秘訣!?『メタルギア』20周年記念パーティ第2部

 7月24日に開催された「METAL GEAR 20th ANNIVERSARY Party」の第2部では立食形式のパーティが催され、参加者たちは料理やドリンクに舌鼓を打ちながら歓談を楽しんだ。また、小島氏がさまざまなゲストを迎えて、これまでにリリースした『メタルギア』シリーズについて語るトークコーナーも行われた。

 トークコーナーに先立ち、『メタルギア』生誕20周年を祝うビデオレターの紹介が行われた。その送り主は、『MGS ツインスネーク』でポリゴンデモの演出を担当した映画監督の北村龍平氏、英語版『MGS』で“スネーク”役の声を演じたデビット・ヘイター氏、『MGS』シリーズの音楽を担当するハリー・グレッグソン=ウィリアムズ氏などなど、各方面で活躍する多彩な顔ぶれ。最後に紹介された電報の内容は「我々の“マリオ”はスーパーになってから22年なので、年は(『メタルギア』と)あまり変わりませんね。若い者に負けず、現役を続けましょう」というもの。気になる送り主は、なんと宮本茂氏! このサプライズには、会場から大きな拍手が起こっていた。

 そして、トークコーナーに最初に登場したゲストは、『実況パワフルプロ野球』シリーズで知られる、パワプロプロダクション エグゼクティブプロデューサーの上原和彦氏と、MSXアソシエーション理事の横居英克氏。小島氏いわく「広告展開も思うようにできなかった闇の時代」だという、MSX版『メタルギア』、『メタルギア2』制作時代についての思い出を語った。横居氏が「ハードの性能に制約があるなか、ハードルを越えていく職人魂に感動した」と当時を振り返ると、小島氏は「本当はファミコンのソフトかアーケードゲームを作りたかったんですけどね」と笑いながら、「大量の弾や敵が出なくてもいいゲームはできないかと、制限に挑戦した結果、『メタルギア』が生まれました」と『メタルギア』が生まれるまでの経緯を説明。サウンド畑出身の上原氏も、小島氏と同様にハード性能の限界に挑戦し、「SCC」という音源チップを開発している。「MSXを担当していなかったら、『実況パワフル』シリーズは生まれていなかったかもしれません」と上原氏。KONAMIを代表する2シリーズの原点はMSXにあった!?
 なお、この時間内では語り切れないエピソードはまだまだあるようで、小島氏のBLOG「HIDEOBLOG」で配信中の「HIDECHAN! ラジオ」にて、同メンバーをゲストに迎えてのトークが予定されている。リアルタイムでMSX版をプレイしたオールドファンはもちろん、MSX時代を知らないファンにも必聴の内容となりそうだ。

 続いて、プレイステーションで『MGS』の制作に着手して以降の「光の時代」について、“ソリッド・スネーク”や“ネイキッド・スネーク”などを演じる声優の大塚明夫氏、『MGS』シリーズでキャラクターデザイン、メカニックデザインを手がける新川洋司氏、エンターブレイン代表取締役社長の浜村弘一氏がゲストに登場。『MGS』から制作に参加した新川氏は、「『MGS』のときは、3Dのゲームを作った経験のある者がチームにいなかったので、1つずつ勉強しながら苦労して作りました」と当時の制作状況を振り返っていた。一方の小島氏は『MGS』について、「立体で表現できるということもあるんですが、“スネーク”さんがしゃべるということが衝撃でしたね」という。『MGS』シリーズ全作品で“スネーク”を演じている大塚氏は、“スネーク”の演じ分けについて「ちょっとずつパーソナリティを違えて演じています。『MGS4』の“オールド・スネーク”が一番厄介かな。いまのセリフはちょっと若すぎたかな、と自分でチェックしながら演じています」と注意している点を語ってくれた。

 トークコーナー終了後、「HIDECHAN! ラジオ」でアシスタントを務める菊地由美さんがイベント会場へ突撃し、会場を訪れていた著名人にインタビューを行った。インタビューに答えていたのは、堀井雄二氏、襟川陽一氏、襟川恵子氏、桜井政博氏、名越稔洋氏、井上喜久子さん、そして急きょ会場に駆けつけた毛利元貞氏という豪華なメンバーで、『メタルギア』シリーズがゲーム業界に与えた影響の大きさが改めて印象づけられた。

 イベントの最後には、『MGS』シリーズのサウンド面を手がける日比野則彦氏が指揮棒をふるっての生バンド演奏「メタルギアメドレー(仮)」と、シリーズの大ファンだという新進気鋭のピアニスト、清塚信也氏と日比野氏の合奏による「Who Am I Really?」、「エマのテーマ」が披露され、小島氏からのユーザーへの感謝の言葉をもって、一際大きな拍手のなかイベントの幕が下ろされた。

 『MGS』シリーズは2007年発売予定の『MGS4』が最終作になると言われているが、ビデオレターや著名人へのインタビューでは「30年、40年と続けてください」という言葉がたびたび聞かれたように、本シリーズは全世界で支持を集めている。小島氏からも「『メタルギア』のブランドはこれからも続いていくと思います」といううれしい言葉を聞くことができたので、これからも広がり続ける『メタルギア』の展開に期待しよう!

決して高性能とは言えなかったハードを使ったゲーム作りに、どれだけ知恵を振り絞ったかと昔話に花を咲かせる一同(左から、菊地さん、小島氏、横居氏、上原氏)。最後には「MSXで『MGS5』を作ります」と小島氏から爆弾発言が飛び出すも、会場中にMSXを所有するユーザーが3名しかいないのを知り、「作るのやめます」とあっさり開発中止を宣言した。

プレイステーションにハードを移して大ブレイクした時期を語ったのは、左から菊地さん、小島氏、浜村氏、大塚氏、新川氏。今後の野望を聞かれた大塚氏は、「文部省に働きかけて、『メタルギア』を反戦の教材にしてもらう」と壮大なプランをブチあげる。続けて「そうなれば老後も安泰だ」と、しっかりオチもつけて見せた。

過去シリーズのCMをプレイバック。サラリーマン風の男性がジャングルで悪戦苦闘するという、『MGS3』のCMは記憶に新しいところ。

「HIDECHAN! ラジオ」発のユニット「ツーハンプリンセス」として活躍中の井上さんと菊地さん。いまや『MGS』シリーズには欠かせない存在となった井上さんは、『MGS』に出演できることが「勲章のような存在」だと言う。また、「『MGS4』にかけてます!」という力強い宣言をしながら、定番の「井上喜久子17歳」ネタを披露するお茶目なシーンも。

シリーズのテーマ曲をメドレー形式にした「メタルギアメドレー(仮)」では、生バンドの演奏にあわせ、スクリーン上で各作品のムービーが流れ、視覚と聴覚で観客を魅了していた。

最後の挨拶で、この日を「人生最高の日」と表現した小島氏。『メタルギア』を愛するファンに直接触れ、感無量という面持ちに見えた。


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■関連サイト
「METAL GEAR 20th ANNIVERSARY SPECIAL SITE」
「KOJIMA PRODUCTIONS」
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