プロデューサー・岡本氏に聞く『NINJAGAIDEN2』のテーマ
息詰まる敵との攻防で世界中から高評価を得たアクションゲーム『NINJA GAIDEN』の、最新ナンバリングタイトルとして先日発表された『NINJA GAIDEN2』。この「東京ゲームショウ2007」で、開発を手がけているテクモ・Team NINJAでアシスタントプロデューサーを務める岡本好古氏に、『NINJA GAIDEN2』の詳細を伺った。
――デモプレイを見てまず印象に残ったのは、大鎌やカギ爪といった今回新登場した武器の持つ、破壊力の凄まじさなのですが。
岡本:『2』を作るにあたって、武器を5個増やそうとか10個増やそうとか、そういうアプローチから入ったわけではありません。スーパーニンジャである“リュウ・ハヤブサ”に、どんな武器を持たせたらいいのか、というのをチームのみんなで話し合ったんです。ハヤブサにこういう武器を持たせたらどう使うんだろう? ハヤブサにこれを持たせたらスゴイんじゃないか!? そういう想像の余地がある武器ということで選んだのが、今回お見せした大鎌やカギ爪ですね。アクションゲームにおける武器というのは、格闘ゲームにおけるキャラクターと同じぐらい重要なものだと思っていますから、僕らとしてもすごく真剣に作っています。
――その新しい武器によって、敵の身体が文字どおりバラバラになる、バイオレンス表現の激しさには、驚きました。
岡本:『NINJA GAIDEN』シリーズの肝になるのは、敵が本気で殺意を持って、“リュウ・ハヤブサ”を殺しに来るっていう、本気の敵とのバトルです。そういう強い敵に打ち勝った時の快感というのを、わかりやすい形で表現したのが今回のバイオレンス表現ですね。でも、ただ単純に描写がスゴイっていうだけじゃなくて、たとえば足を斬られた敵は、そのまま“ハヤブサ”の足をつかんで自爆攻撃を繰り出したりとか、そういうAIの変化も取り入れています。ゲームプレイとバイオレンスをキチンと融合させるというのが、『NINJA GAIDEN2』のテーマですね。
――ではシリーズの特徴でもある、敵の本気度もこれまでと変わらない?
岡本:本気の敵が本気で殺意を持って、ハヤブサを殺しに来ないと、つまんないじゃないですか。弱い敵を倒してもしょうがないし、そういう覚悟を持った敵を打ち倒してこそ、快感があると思いますので。『NINJA GAIDEN』シリーズはコンボゲーじゃなくて、本気の敵との駆け引きが、いちばん楽しいゲームですから。そういった駆け引きであるとか、敵を斬った時の痛みであるとかを、りアリティをもって表現したいと思っていますので、そこはこだわっています。
――ハードがXbox 360になったことで、一度に出てくる敵の数が増えたとか、そういう方向性ではなくて、個々の戦いの密度が進化しているわけですね。
岡本:ハードが進化して、敵が何体出せますとか、そういうのはもう飽きちゃったじゃないですか。プレイ時間が30時間あります、40時間ありますとか、新武器がこんなにたくさんありますとか、そういう定量化できる数字に基づく価値観ではなくて。たとえ短い時間の中でも、どれぐらいの感動が得られるかということのほうが大事だと思っています。
――それから今回は、戦いの舞台となるステージが、前作に比べてオープンで明るい場所になっているように思いましたが?
岡本:ステージに関しては今回、『デッド オア アライブ』的なアプローチになっているかもしれませんね。前作はいかにも忍者にふさわしい、一本筋の通った場所で戦っていましたが、今回はいろんなバラエティに富んだ場所の中で、スーパーニンジャの活躍が見たい……というより、飛び散る血が見たいと(笑)。特に今回見てもらった、ベニスをモチーフにしたステージでは、昼間の青い空の中で、赤い血がすごく綺麗に飛び散るっていうね(笑)。もちろん、前作のような日本的な雰囲気ステージもありますし、最終的には前作のトーンのようなストーリーに集約していきます。
――前作でも、オンラインを使ったコンテンツダウンロードやランキングなどがありましたが、今回はどのようなものを考えていますか?
岡本:オンラインに関しては、現状では「慎重に検討しています」という回答になるんですけど。じつは今、難しいなと思っているのは、オンラインによる対戦や協力プレイといったものが、『NINJA GAIDEN』のコンセプトである「ひとりで戦う生き様」に、微妙にマッチしないかな、というのがあって。一応、試作はしているんですよ。“ハヤブサ”が4体登場して戦うとか、“ハヤブサ”vs下忍とか。これはこれでゲームとしては面白いんですけど、でも世界観としてはどうなんだろう? というのがあって。その部分を今、慎重に検討しているところです。ただ、Xbox 360っていうハードにとって、オンラインは非常に重要なものであるというのは、僕らも当然わかってはいますので。
――では最後に、開発の進捗状況と、本作に期待しているファンへのメッセージをお願いします。
岡本:現時点の進捗状況は、30~40%ですね。今回、わかりやすい形でバイオレンス表現なども取り入れていますけど、本質はゲームプレイだと思ってますから、そこは踏み外さないように、キチンと作り上げたいと思っています。1作目がデビューした時の衝撃を超えるインパクトとゲームプレイを、ユーザーのみなさんに提供したいと思っていますので、ご期待ください。
――ありがとうございました。
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