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2007年9月26日(水)

「CEDEC2007」開幕!基調講演ではセガ副社長・小口氏が「遊び」について講義

 本日9月26日より東京・本郷にある東京大学にて、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(略称:CESA)が主催する日本最大級のゲーム開発者向けカンファレンス「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007(以下、CEDEC 2007)」が開催されている。

 「CEDEC 2007」では、9月26日~28日の3日間にわたって基調講演、協賛セッション、スポンサーシップセッション、レギュラーセッション、ワークショップ、ラウンドテーブルという6カテゴリーのプログラムが多数実施される。初日となる本日は、セガ代表取締役副社長・小口久雄氏による基調講演「あそびをつくる……その本質とは」が、安田講堂にて行われた。

 まず受講者に、「人間が生きる上で不可欠な要素、それが衣食住です。でも人間はそれで足りるのでしょうか?」と問いかけた小口氏は、人間にとって本来必要なものは、「衣食住」に加えて「遊」であると述べる。さらに氏は、「楽しさの概念がまったくない場所と言われて、どこを思い浮かべるでしょうか。答えは「刑務所」です」と語り、「楽しさ」を失うことは人間にとって刑罰であるという持論を展開した。

 続いて小口氏は、「楽しければ何をやってもいいのが「遊び」です」とした上で、「仕事をせずにギャンブルをするのが楽しい人にとっては、それが「遊び」です。でも、勉強するのが楽しいと思う人には、勉強は「遊び」になる」とし、「楽しさ」は感覚的かつ流動的なものだと説明する。
 例えば、空腹な人にとって食事は「楽しみ」なものになるが、満腹な人にとっては「苦痛」になってしまう。満腹な人は、「楽しさ」を睡眠やテレビなど他のものに求めるようになる。小口氏は、このことをふまえた上で「我々がゲームを作る時も、人間の感覚がどんどん変わっていくことを念頭に置いて作らなくてはいけない」と語った。

 また、「ビデオゲームの特性」は「インタラクティブ性」であると話す小口氏は、人間には「生理的・本能的な欲求」、「主に身体内部の情報に基づいた欲求」、「主に体の外部からの情報に基づいた欲求」、「心理・社会的な欲求」という4種類の欲求があるとし、これらの欲求をバランスよく昇華したゲームがおもしろいゲームだと言う。
 氏は、人気RPG『ポケットモンスター(以下、ポケモン)』シリーズについて言及し、「『ポケモン』には、獲得や保存、秩序、保持、構成、優越、達成などあらゆる欲求が、バランスよく盛り込まれている。昨今のゲームは、闘争や逃避といった欲求に満ちた格闘系ゲームが多く作られているが、これらの要素が入っていないゲームでも十分に楽しむことができる」と、『ポケモン』シリーズの他に『どうぶつの森』や『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』、『倉庫番』などを例として挙げた。

 最後に、小口氏が「ゲームを開発する際、人間の欲求について整理することが重要。自分の作っているゲームが、どんな欲求を満たすか早い段階で考えることにより、スジが通ったものが作れます。その点を配慮して、ゲーム制作に挑戦してください」とゲーム開発者たちにエールを送り、基調講演は終了となった。

 なお明日の基調講演は、コーエー代表取締役執行役員社長COO・松原健二氏による「コーエーの目指すエンターテインメントサービス戦略について(仮)」となっている。こちらの模様もお届けする予定なので、楽しみにしていてほしい。



基調講演に登壇したセガ代表取締役副社長・小口久雄氏。『ダービーオーナーズクラブ』や『WORLD CLUB Champion Football』など、人気業務用ゲームの開発にも携わっていた。



安倍晋三前首相の「美しい国、日本」に対し、小口氏は「楽しい国、日本」を提唱していた。


データ

■「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007」開催概要
【開催期間】2007年9月26日~28日
【場所】東京大学(東京都文京区)

■関連サイト
「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007」
社団法人コンピュータエンターテインメント協会