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2007年9月27日(木)

【CEDEC2007】グラスホッパー・マニファクチュアの須田氏がゲーム制作について熱弁

 9月26日~28日に東京大学で開催されている「CEDEC 2007」において、オリジナルタイトルのゲーム制作についての講演「パンクの逆襲」が開催された。

 この講演では、グラスホッパー・マニファクチュア(以下、グラスホッパー)の代表取締役社長でありながら、ゲームデザイナーの須田剛一氏が講師を務めた。須田氏は、以前はヒューマンでゲーム制作に関与していたが、自由に作品を作りたいと思い会社を設立。当時は、現在のようなデベロッパーという立場ではなく、パブリッシャーの中の開発会社で、閉塞感もあり雑音も多く大変だったと話した。その後、現在のような体制になったということだ。

 須田氏は、「ゲームにおいて開発という言葉は、開拓+発明だと思っています。自分が小さい時、ゲームセンターには、それまで見たことがなかったような衝撃があった。その時の初期衝動を自分が作るゲームでもプレイヤーに与えたいという思いから、オリジナルゲーム=「パンクゲーム」と定義しています」と、「パンクゲーム」という造語について説明した。なお、ここで言われている「オリジナルゲーム」とは、「アニメや漫画など原作が存在せず、続編でないゲームソフト」という意味を指している。

 氏の「パンクゲーム」を制作していくという精神は、同社の会社スローガンにも表れている。「Let's Punk」、「Crash & Build」、「Call & Response」という3つは、「パンクゲーム」の開発のリスクや問題などに立ち向かう対処方を表している単語でもあるようで、氏によると「オリジナルタイトルを制作すると、元になる教材や見本がないので、壁になる問題が多発しがち。そこを乗り越えるのが、今まで培ってきたゲーム開発の経験であり、チームとしての仕事です。人間関係をどう構築するか、できあがってきたゲームをどうチューニングしていくか。それによりゲームのできが大きく違ってくると思います」とのことだ。

 また最新作『NO MORE HEROES』について、「この作品は、制作コンセプトが最初にできていたので、方向性で悩んだことはなかったです。しかし、Wiiリモコンという新しいデバイスでゲームを作らなくてはいけないということで、ノウハウがなかったため苦労したのと、ハード自体が今まで我々が培ってきた技術を活用できないパンクハードだったんです。コントローラ入力というゲームデザインを崩壊させ、過去の価値観を捨て、自分の直感でゲームを作りました」と開発当初を振り返った。

 最後に須田氏は、「今作っている作品が、1年後にユーザーの意識の中や市場の中でどういう位置になっているのか、というものを考えながら気合を入れてゲームを作っています。個人的にゲームというものは、映画、音楽、テレビなどの要素を含んだ極上のエンタテインメントだと信じています。皆が勝てないと思うような作品をこれからも作っていきたいです」と話し、講演は終了となった。



「僕の話は、他の人と違って、精神論とか、根性論になるかもしれません」と言いながら、自身の体験してきたことや、ゲーム制作に関する考えを話した須田氏。開演前から、講演を楽しみにする参加者が列を作り、会場はあっという間に満席となった。







「パンクの逆襲」というタイトルで、続編ではないオリジナルのゲーム制作について語った須田氏。ゲームタイトルを例に出したわかりやすい説明で、会場にいた参加者の興味を集めた。

(C)2007, grasshopper manufacture inc.

データ

■「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007」開催概要
【開催期間】2007年9月26日~28日
【場所】東京大学(東京都文京区)

■関連サイト
グラスホッパー・マニファクチュア
「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007」
社団法人コンピュータエンターテインメント協会