夜の池袋に“ハセヲ”現る――「.hack//G.U.TRILOGY」第2回舞台挨拶をレポート!
1月16日、東京・池袋「テアトルダイヤ」にて、劇場用アニメ「.hack//G.U. TRILOGY(以下、トリロジー)」の舞台挨拶が行われた。
「トリロジー」は、バンダイナムコゲームスよりPS2用ソフトとして発売された人気RPG『.hack//G.U.』シリーズを元に、全カットHD解像度の劇場アニメーションとして新たに製作された作品で、2007年12月22日より同所にてレイトショーで上映されていた。東京公開のフィナーレを飾るこの日の舞台挨拶には、“ハセヲ”役の櫻井孝宏氏、“オーヴァン”役の東地宏樹氏、“志乃”役の名塚佳織さんが訪れた。
押し寄せたファンで立ち見も含め満員となった劇場のステージに3名が上ると、大きな拍手と歓声で迎えられ、舞台挨拶がスタート。それぞれが演じてみての感想を述べた。
櫻井氏:今日見ていただくのは集大成といって過言ではないのですが、そこにいくまでは……地獄の日々が! 叫ぶわ、叫ぶわ。まぁ、(「.hack//G.U.」の)アニメやゲームを録っていた年は、僕は世界一叫んでいたのではないかと。その中でもラジオは、それとはまったく違ってゆるゆるな感じでお送りしていたんですけど。いろいろメディア展開できて、いろいろなところで皆さんにお目にかかれて、いい作品にめぐり合えたなと思います。本当に、長くかかわらせていただいた作品なのでうれしいです。
東地氏:最初参加させていただいた時に、ゲームからスタートして、アニメをやって、それでゲームだったんですけれども、アニメをやってる最中に先にゲームで知っているというのもありましたし、アニメで結末を知ってゲームを録るという不思議な感じだったんです。それで今回、このフルCGの仕事をさせていただく時は感慨深いというか、自分の中でも愛着のあるキャラクターと愛着のある作品だったので、すごく充足感というか、他に経験のないことでした。
名塚さん:“志乃”っておいしいとこだけって……(笑)。本当に“ハセヲ”は一生懸命助けてくれて、それを私はただただ待ってるだけな感じなんですけれども。そういった意味では若干、2人よりは楽をしていたかなと思うんですけど。でも相方が櫻井さんだったり東地さんだったりとですね、青春まっしぐらな感じの“ハセヲ”と渋い感じの“オーヴァン”を両方に並べて、本当に幸せな気分でした。(周囲から笑いが起こって)え、いやらしいですか? いやらしいですかこの発言!? ちょっとこう、大人な気分になったり、若かりしころの感じを味わったりみたいな……“志乃”もそんな状況の中、少しずつ成長していったというか、さらに素敵な女性になったのではないかと思います。
ここで櫻井氏の話が、収録の時に本作の監督を務める松山洋氏から「もっと叫んでください」とばかり言われたことにおよぶと、3人ともこの日渡米中だった松山氏の人となりについて感想を口にした。
櫻井氏:あの人はすごくカリスマ的な存在だと僕は思ってるんですね。いい作品を作ろうという情熱が垂れ流しの人なんで、それを浴びると頑張らなきゃって思っちゃうんです。で、もっと叫んでくださいって言われると「はい」と(笑)。そういう人が作ってる作品だから魅力があるんじゃないかなと思います。
東地氏:でもね、お若いのにすごく商魂たくましいというか、すごく才能にあふれていて、こうやってCGアニメで頑張っていてすごいなぁって。
名塚さん:でも本当に生き生きしてますよね。どこで会っても生き生きしていて、どこにいても足を運んでくれるんですよ。今日もたぶん渡米していなければ来てくれたと思うんですよ。
また、劇場に足を運んだファンの多くがすでに1度以上作品を観ていることを知って、櫻井氏がよろこびを語った。
櫻井氏:映像はすごいですし、CG作品っていろいろあるんですけども、なんかちょっと独特な……なんていうんですか、スピード表現がすごいというか。1回見ただけじゃちょっと目の追いつかない、そんな感じの作品なので1回目は目慣らし、2回目は気合入れて気持ち整えて見てもらえれば。2回目にいろいろ発見があって、あんなことあったね、こんなことあったねと話し合ってもらって、3回、4回見てもらって、5回目にはDVDと(笑)。
そのDVDの映像特典である「パロディモード」では、本編とはかなり異なるストーリーが展開するため自由な演技ができたとのこと。収録の際のエピソードを語ってくれた。
櫻井氏:(本作の)アフレコは3日くらいかけて録ったんですけども、アニメとかゲームとか長いスパンで1つのストーリーを追ってきたので気持ちがギュッと引き締まるんですよ。で、その後にパロディですよ。……ホント台なし(笑)。
東地氏:本当はその日のうちに「パロディモード」も録るはずだったんですが、録れなくて飲みに行ったんですよ。そこで「パロディモード」はどうやって演じたらいいか聞いたら、スタッフさんから本当に勝手にやってかまわないと言われて、「わかりました、じゃあそれなりに」と言ったんですけど、それ飲んでる時の話なんですよね(笑)。
櫻井氏:収録現場ではメチャメチャやってたじゃないですか。
東地氏:それは、飲んだ上での約束は守るっていう(笑)。それで、(パロディモードは)ホントに難易度高くって、他の現場ではここまでやったことないです。台本と違うこと言うって怖いじゃないですか。
櫻井氏:怖いですよ。「いいですよ、好きにやってください」って言われても、俺と(“アトリ”役の)川澄は日和ってたんですけど、でも東地さんがもう、俺の後についてこいと言わんばかりに暴走してくれたので。
東地氏:パンツ一丁ですよ、気持ちは(笑)。
櫻井氏:東地さんの背中がでかく見えました。
最後に3人が挨拶を行い、劇場のファンから温かい拍手を送られた。
名塚さん:本当に今日は足を運んでくださってありがとうございます。1度見にきた方も来てくださってすごくうれしいです。私、映画を最近何本かやらせてもらってたですけれども、こうやって劇場で挨拶をさせていただくのは初めてだったので、実際に劇場へお客さんがたくさん入ってくれて本当にうれしく思っております。本当に今日はありがとうございました。
東地氏:「.hack//G.U.」という作品は、本当に思い出に残る作品で、ここで映画になって公開されているというのが、他人事のように思えてしまうくらいうれしいです。こうやって見てくださる、何度も見てくださる(ファンがいて)、やった甲斐があるというか、よろこびを感じております。本日は楽しんで帰ってください。夜の池袋は危ないので、早く帰ってください。
櫻井氏:僕、映画見るのが好きなんですが、隣にいるのは知らない人かもしれないという状況で、みんなで一緒に1つのものを見るということがすごく特別な時間なのかなと思うんですね。その見ていただく作品に自分が出ていて、楽しんでもらえればすごくうれしいなと思います。この「.hack//G.U.」という作品は、僕にとって、アニメもそうだし、ラジオもそうだし、ゲームもそうだし、こうやって映画にもなる、自分のプロフィールで燦然と輝く作品になったなと本当に思っていてですね。まだ、この作品自体は、たぶん今後何かしらの形で続いていくという淡い期待も――まぁ、また叫ばないといけないんですけれども(笑)。「.hack」という作品を、これからも応援して、楽しみに、また何かあるのかなーなんて思って待っていていただけたらなと思います。今日はどうもありがとうございました。
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左から、名塚佳織さん、櫻井孝宏氏、東地宏樹氏。 |
データ
■「.hack//G.U. TRILOGY」劇場公開概要
【上映時間】
東京・池袋「テアトルダイヤ」 2007年12月22日より(終了)
大阪「テアトル梅田」 2008年1月12日~18日21:25~/1月19日~25日20:20~
【スタッフ】(敬称略)
監督:松山洋
脚本:新里裕人
パッケージデザイン監修:貞元義行
キャラクターデザイン:細川誠一郎
演出:入川慶也
アニメーションディレクター:伏見直
キャラクターチーフモデラー:竹田奈央
美術監督:高木聡
撮影監督:二塚万佳
編集:古賀理恵
音楽:福田考代
録音演出:なかのとおる
アニメーション制作:サイバーコネクトツー
製作:バンダイナムコゲームス・バンダイビジュアル
【キャスト】(敬称略)
“ハセヲ”役:櫻井孝宏
“アトリ”役:川澄綾子
“オーヴァン”役:東地宏樹
“八咫”役:山崎たくみ
“パイ”役:小林沙苗
“クーン”役:三木眞一郎
“志乃”役:名塚佳織
他
▼「.hack//G.U. TRILOGY」(DVD版)
■発売元:バンダイナムコゲームス
■販売元:バンダイビジュアル
■品番:BCBA-3168
■発売日:2008年3月25日
■価格:7,140円(税込)
■「.hack//G.U. TRILOGY」(DVD版)の予約・購入はこちら
▼「.hack//G.U. TRILOGY」(Blu-ray版)
■発売元:バンダイナムコゲームス
■販売元:バンダイビジュアル
■品番:BCXA-0014
■発売日:2008年3月25日
■価格:8,190円(税込)
■「.hack//G.U. TRILOGY」(Blu-ray版)の予約・購入はこちら
■関連サイト
・『.hack』公式サイト
・バンダイナムコゲームス