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2008年1月28日(月)

インタビュー掲載!「リボーン」ED歌ったSPLAYのアルバム発売

 TVアニメ「家庭教師ヒットマン REBORN!」のエンディングテーマを担当したアーティスト・SPLAYが、2ndアルバム「AFTER THE MELODY ENDS」を1月30日に発売する。価格は2,940円(税込)。

 SPLAYは、人気TVアニメ「家庭教師ヒットマン REBORN!」のエンディングテーマ「Echo again」を担当し、キャラクターソング「Sakura addiction」を提供したバンド。1月30日に発売する「AFTER THE MELODY ENDS」は、この2曲を収録をしたSPLAYの2ndアルバムとなっている。「Sakura addiction」については、SPLAYによるセルフカバーバージョンが収録されているとのことだ。
 今回は、SPLAYのオフィシャル・インタビューが到着したので、以下に掲載する。

左から東俊介氏(bass)、園木理人氏(guitar)、向井隆昭氏(vocal、guitar)、道本卓行氏(drums)。

◆「詩的」さを生かしながらも、自分のリアルな感情を吐き出すことに終始したアルバム。それが「AFTER THE MELODY ENDS」

――2ndアルバム「AFTER THE MELODY ENDS」を作り始める前の2007年前半期。メンバーの心の中へ、いろいろな心境変化させゆく渦が巻き起こっていたと聞きました。

向井氏:きっと、プロなら誰もが経験することなんだろうけど。デビューしたことから、バンドを取り巻く環境にいろんな変化が訪れました。その波に身を預けながら1年ほど演ってきたころ、「なんで自分たちは音楽を演っているのか!?」、「自分が演っている音楽は、今どういう風に世の中へ伝わっているのか!?」、「自分たちが演りたいと思ってる音楽性とは一体何なのか!?」という、バンド自体の根本へ問いかける思いをいろいろ見直す機会が増えていったんです。迷いや葛藤を心に覚えていたからこそ、あらためて自分自身の気持ちに問いかけ続けていたんです。そこでもう1度「自分の表現したい音楽」を根本から見直したうえで制作したのが、4枚目のシングル「瞳」。その楽曲を作りあげたことで、SPLAYとしてしっかり表現したい音楽性という姿へ着地することができたことは、とても大きかったですね。

――迷いや葛藤を覚えていたのは、自分たちの気持ちとは違う形で楽曲が受け止められたり、世の中へ浸透していくことに対する不安から生まれたものなんですか?

向井氏:自分たちが「こうだ」と思って出した思いが、違った形で届いたり。自分たちの中ではストレートに出したつもりが、屈折して伝わったり。時には、それが悪い意味にとらわれてしまうことも、確かにありました。もちろん、自分らの思いを全部思うがまま伝わるようコントロールしたいわけじゃなくて。でも「自分たちの思っている感情が、もっと「そのままの気持ち」として伝わっていけばいいな」という葛藤があったのも事実。だからこそ、「もっとシンプルに思いを伝えよう」という術に、気持ちが変わっていったんだと思います。

――2ndアルバム「AFTER THE MELODY ENDS」に収録した楽曲たちは、どれも「伝えたい思いを、とてもシンプルに表現」しています。

向井氏:歌詞を書く際に、比喩の上手さや表現上のテクニックにこだわるんじゃなく、ある程度「詩的」さを持ちながらも、自分のリアルな感情を吐き出すことに終始していきました。実際そのほうが、聴く側も感情を重ねあわせやすいかなとも思って。

◆書きたい思いが似合うメロディや曲調を色付けながら完成した楽曲たち。

――アルバムの冒頭を飾ったのは、バラード・ナンバー「冬の空」でした。

向井氏:いきなりバラードから始まるアルバムというのも。まして、ロック・バンドでその形態を取るのってめずしいと思うんです。この作品を制作するに当たり、まず「バンドという括り」はできるだけ排除していきました。じゃあ何を求めたかと言うと、「楽曲の良質さ」や「聴いた後の余韻」なんですよ。アルバムにメリハリを付けるため緩急いろんな楽曲を詰め込むのではなく、ただただ素直に「よい歌を1曲1曲入れていく」。それが、結果的にいいアルバムになると思ったし。いい曲であれば、始まり方がどうであれ絶対に伝わっていくし、心に残っていくと思っていました。

――制作上の特徴の一つとして印象深く感じたのが、「詩先行」で楽曲を作ったことでした。

向井氏:まずは、「書きたい思い」が先にあったんです。ならばそれを詩にした上で、その詩が似合うメロディや音の色付けをしていこうと判断して。だからどの曲も、「この歌の伴奏はピアノがいいんじゃない!?」、「この歌にはストリングスが似合う」など、バンドという枠を取り払った形での楽曲制作を行っていきました。

東氏:向井の書いた詩を読んだ時点で、みんなの中にも「言葉が呼ぶ音」がいろいろと見えてきたんですよ。全員幼なじみであり、長年同じ時間を過ごしてきた理由もあるのか、それぞれの曲ごとみんなが同じ着地点をしっかり見据えていくこともできました。その描きたい完成図を共有していけたことは、制作をスムーズにしてくうえでもプラスになったと思います。

園木氏:収録した楽曲によっては、ヴォイオリンをフィーチャーしたり、打ち込みを入れたりなど、いろいろな形態を持っています。それだってすべて、「曲が呼んだ音」によって導き出された成果。思うんですけど、「いいアルバム」というのは、けっして完璧なものではなくて。よい意味で隙のある作品にこそ、身近な良質さを覚えるもの。そう思うのも自分らも含め、誰だって完璧じゃないし。そういう人たちが音を奏で、その音を聴いてるからだと思うんです。

道本氏:4thシングル「瞳」を作る時点で、全員で「SPLAYとは??」という姿をあらためて見直せたことは、すごく大きかったです。それによってバンド内での制作環境も以前以上によくなったし。その空気感もしっかり出たんじゃないかな。

◆アルバムでは、名プロデューサー陣とコラボレート!

――「瞳」という楽曲を生み出したことは、とても大きな成長をバンド内へ与えたんですね。

向井氏:じつはアニメ「家庭教師ヒットマン REBORN!」のエンディングテーマに起用した「Echo again」を生み出した時に、1stアルバム「FAREWELL MORNING LIGHT」ごろまでに培ってきたSPLAYの音楽性やスタイルへ、1つの決着を付けた手応えを感じていたんですよ。だからこそ、「次はどうしよう」とも思い悩んでいました。そこから「書きたい思いを曲にする」ことで、歌詞先行というスタイルに挑戦。しかも書いた詩を生かすメロディやサウンドを導き出すことによって、楽曲として伝えたい輪郭が今まで以上に明瞭になっていきました。その成果を最初に導き出したのが、4thシングルにもなった「瞳」。それは、「瞳」のC/Wに収録した「ソングブック」にしてもそうで。この2曲を生み出したことが、アルバム「AFTER THE MELODY ENDS」制作に向かう上で、いい弾みをつけてくれたと思っています。

――アルバムには、アンジェラ・アキさんやSuperflyなどを手掛けている松岡モトキ氏、Charaさんやhitomiさんらの楽曲に携わってきた渡辺善太郎氏と、2人のプロデューサーも参加しています。

向井氏:善太郎さんは、とてもアーティスト寄りな視点で刺激を交わしあいながら、僕らの楽曲と向きあってくれた方。対して松岡さんは、バンドの持つ弱点さえそのままよい方向へ導いてくれた、まさにプロデューサータイプの人。そんなすごいプロデューサー陣と演れたことも大きな成果でした。それと、「ワンモアタイム」というディスコ調ナンバーでは、水江洋一郎(YOKAN)さんにアレンジをお願いしたんですけど、あえて古い感じのディスコ風に仕上げてくださった点も、僕ら的にはすごく新鮮でした。

◆「家庭教師ヒットマン REBORN!」×SPLAY=??

――アニメ「家庭教師ヒットマン REBORN!」を通し、SPLAYの名前を知った方も多いと思います。この作品にSPLAYは、「Echo again」と「Sakura addiction」の2曲を提供しました。

向井氏:「Sakura addiction」は、僕らが20歳のころに書いた、とても古い楽曲なんです。当時この曲に僕は、「自分の憧れている人たちは、みんな何かしら特技や強い魅力を持っている。じゃあ、何も取り柄のない僕は一体どうすればいいんだろう。今の自分にはまだ何も魅力がない。それでも前に進みたいし、未来を求めたいんだ」という思いを詰め込んでいました。この曲はノリがよいぶんライブで演るには生きるんだけど、今の自分の視点よりも若い内容だけに、形にするには抵抗があったんです。そんな時、「家庭教師ヒットマン REBORN!」に登場する、“雲雀恭弥”(声・近藤隆氏)と“六道骸”(声・飯田利信氏)のコンビへこの楽曲を提供する話が持ち上がったんです。自分ら自身、声優さんのために演奏するのは初めての経験。だけど他の方用に曲を提供したことで、楽曲の持つパワーにあらためて自分たち自身が共鳴できました。だからこそ、こうやってセルフカバーしたわけなんです。

――身近にも、アニメからの影響の声は感じてます?

向井氏:アニメ作品を通しSPLAYに興味を持ち、ライブを見に来てくれるようになった人たちも実際多いですし。自分たちだって、アニメソングを聴きながら育ってきた世代だから、アニメ作品に楽曲を使用してもらえるのは素直にうれしかったですね。それに、アーティストと声優さんとがコラボレートするのも新鮮だったし。「家庭教師ヒットマン REBORN!」も、好きな作品でしたからね(笑)。

◆「AFTER THE MELODY ENDS」は、ともに長い年月を歩んでいけるアルバム。

――完成した2ndアルバム「AFTER THE MELODY ENDS」、それぞれどんな作品になったと思います?

道本氏:直接心に語りかけていくアルバムができたなと思っています。世の中には、「いいな」と思えるアルバムはたくさんあるけど。「一緒に長い年月を重ねながら歩んでいけるアルバム」って、なかなか出会うことがないし。そんな、ともに歩み続けていける1枚になったと思います。

園木氏:あらためて、「このメンバーで演り続けることにこそ意義がある」と思わせてくれた作品でした。中に、「まぼろし」というニューミュージック風な楽曲が入ってるんですけど。お互いの楽器の掛け合いを通して深く会話できた実感を覚えたことは、すごくいい刺激や手応えにもなりました。

東氏:この作品に収録したのは、自分の気持ちとすごく距離感の近い、日常の風景として受け止めることのできる楽曲ばかり。きっと聴いてくれる人たちにも、「この気持ちわかる」と身近に感じてもらえることが多いんじゃないかと思っています。

向井氏:歌詞は、すごくパーソナルな思いばかり。それを3人が身近に感じ、演奏という思いで返してくれたことが何よりもうれしかったし。そうやってSPLAYとして発信した音楽を、今度は聴いてくれた人たちにも身近に感じてもらえたら。それが何よりもうれしいことですね。

――タイトル「AFTER THE MELODY ENDS」に込めた思い。それも教えてください。

向井氏:名作や名盤と言われる作品は、見聞きした後に「余韻」が残ると思います。しかもその余韻は、後々の自分の心にいろいろな影響を与えたり、気持ちの支えになったり、自らの考えの指針になったりもしていく、そういう「聴いた後に心へ残る足跡となる作品」にしたかったんですよ。

――「聴いた後に心へ残る足跡となる作品」ですか。

向井氏:そう。その「残る余韻」は、切なさでもうれしさでも、それは人それぞれなんでもいい。どういう思いであれ、聴いた後にSPLAYの足跡が残る作品にしたくて、「メロディが鳴り止んだ後に」の意味を持つ「AFTER THE MELODY ENDS」というタイトルを持ってきたんです。

――まるで1本の映画のように。時には、1曲1曲が絵画のように心へいろいろな思いや情景を投げかけていく。しかも流れゆく楽曲の波に身を預け聴いてると、最後はジ~ンと胸に温かい余韻さえ残していく。ホント素敵な1枚になりましたね。

向井氏:この作品は、あくまでもSPLAYとしての通過点となる1枚。この先バンドがどう進化していくのか、今の時点では自分らでも未知数なことです。それでも、この「AFTER THE MELODY ENDS」を聴いてSPLAYを好きになってくれた方は、ずっとSPLAYのことを好きで居てくれると思うし。けっしてSPLAYとの接点がなくならない自信もあります。それくらい「これがSPLAYです」と誇りを持って言える1枚になったからこそ、多くの人たちに触れてもらいたいんです。「絶対好きになってくれる」という自信がありますから。




インタビュアー:長澤智典氏
(C) PONY CANYON INC.

データ

■「AFTER THE MELODY ENDS」収録曲
 01.「冬の空」
 02.「Farewell morning light」
 03.「Echo again」
 04.「そらにうたう」
 05.「レインコート」
 06.「ぼくはまだ夜の中」
 07.「瞳」
 08.「Star blues」
 09.「まぼろし」
 10.「ワンモアタイム」
 11.「Sakura addiction」
 12.「ソングブック(Album version)」

▼「AFTER THE MELODY ENDS」
■発売元:ポニーキャニオン
■品番:PCCA-02601
■発売日:2008年1月30日
■価格:2,940円(税込)

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■関連サイト
「リボーンドットコム」
「SPLAY」公式サイト
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