長濱監督と石綿プロデューサーが激白!DS『蟲師』の次回作は木に登るゲーム!?
マーベラスエンターテイメントから1月31日に発売されるDS用ソフト『蟲師 ~天降る里~』の開発スタッフに、インタビューを行った。
『蟲師 ~天降る里~』は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で隔月連載中の人気コミック「蟲師」を題材にしたシミュレーションゲーム。プレイヤーが新米の蟲師となり、「蟲」を採取・記録していくというゲームオリジナルのストーリーが展開する。本作の開発のために、原作ファンからも人気の高いTVアニメのスタッフが集結して、制作に協力している。
前回に引き続き、話をうかがったのは、TVアニメ「蟲師」の監督であり、『蟲師 ~天降る里~』の総監修を担当した長濱博史氏と、ゲーム制作プロデューサーの石綿春也氏。今回は、DSを選んだ理由から普段のお2人の様子などを語ってもらった。
■タッチペンを蟲ピンに置きかえる?
――プラットフォームにDSを選択した理由はなんですか?
石綿氏:いろいろな理由があったんですが、タッチペンって原作に出てきた「蟲ピン」っぽいじゃないですか。あとは原作を好きな人は、そんなにゲームを普段から遊んでいる人たちではないと考えたからです。中にはゲームを相当遊んでいるゲーマーの人もいるかもしれませんが、メインはライト層だと思うので、一般的にメジャーなハードにしました。あとは携帯機だと価格も抑えられます。結果一番いいのがこれかなと。
――携帯機だと、どこでも遊べるという利点がありますよね。
石綿氏:通勤通学中とかに、ちょっと遊んでいただければいいかなと考えています。あとは、環境音がすごくいいので、疲れた時に手軽に遊んでもらい、癒されてくれればいいですね。
長濱氏:一応ストーリーがあるんですが、それを終えてもサブクエストみたいな形で、ミニシナリオがたくさんあるんで、時間が経っても気軽に遊べると思うんですよ。そういうことを考えたら、気軽にどこでも遊べるDSは便利だと思いますね。将来的にですが、皆で1つのマップを歩いて、木箱背負っている蟲師の人を見かけたらアイテムを購入するとか、そういうゲームを作れたらいいですよね(笑)
石綿氏:他のプレイヤーと一緒に遊べたらおもしろいですよね。情報やアイテムをもらったりして。
長濱氏:「山を2つ越えたところに蟲がたくさん集まる場所があるみたいですよ」って聞いて、山を越えようとしたら3時間くらい歩きっぱなしで「結構遠いなあ」って(一同笑)。でも、歩いている最中に朽ちた民家があって、原作を彷彿するような場所があったら、何だかいいじゃないですか。山が広くて迷ったら木に登って景色を見渡したら、夕日がすっごいキレイで感動する。そんな空気を感じるようなゲームができたらおもしろそう。
――ちょっと場所を変えたら怪しいスポットがあって、「おや? ここに蟲がいるかもしれない」と考えて1日か2日はそこにとどまって、「いなかったか」って次の場所にいくとか。それって「蟲師」らしいですね。
長濱氏:そういうのやれるといいなあ。今って、外に出ないじゃないですか? それでたまに外に出て、木に登ったら怒られるっていう。
――「この木登るな!」って看板がありますね。
長濱氏:「芝生に入るな!」って(笑)。だから、山に入ったら何が出るかわからない、街の角を曲がったら何があるかわからない。そんな子どものころにワクワクした感じをゲームにしたい。それをサクサク味わえるようなよさもゲームにはあるんですが、わざわざ遠回りをしてそれを達成した時の感覚を味わう。そんなゲームができたら、最高ですよ。
石綿氏:そういうところを目指して、最初は作ったんです。でも今考えても、DSの限界を超えた企画でしたね(笑)。
■2人の趣味が組み合わさってできたゲーム
――普段からゲームを遊んだりしますか?
長濱氏:僕は結構遊びますね。アメコミが好きなんで、海外のアクションゲームを主に遊びます。今回、このゲームを作る際に考えていたのは、ストーリーが終わってもまだ遊べるようにすること。それは、PS2の『スパイダーマン2』を遊んでいる時に感じたことなんです。『スパイダーマン2』では、クリアした街を自由に遊びまわれるんです。適当にウェブスイングしていると悲鳴が聞こえて、そこに行くと強盗がいたりして、倒すとポイントが入るという。まあ、とっくにカウントストップしているんですけど(笑)。それでもたまに遊びたくなる、そんなゲームを目指して『蟲師』を作りました。
――けっこうゲームで遊ばれているようですが、機種もいろいろお持ちなんですか?
長濱氏:WiiとDSとPS2に……ドリームキャスト。確か『SPAWN』がドリームキャストで出たから、買ったんですよね。僕って、1本のために1ハードみたいになっているんです。メガドライブとメガドライブ用の『スパイダーマン』があるんですが、捨てられません。これは1面もクリアできないくらいに、べらぼうに難しいんですが、かわいくって(笑)。あとはニンテンドー64の『STARWARS』も持っていますね。僕はキャラクターが好きなんで、「ゲーム性よりもキャラクター」でゲームをやるんですよ。だから『蟲師』もそうなるといいなって。『スパイダーマン』は、「ニューヨークを再現して、そこを君がスパイダーマンとして飛び回れたら楽しいでしょ?」っていう。まあ『蟲師』はヒーローものではないので、敵とは戦わないんですが(笑)。そんな風に自分が求めているものをゲームにしたのが、この『蟲師』かもしれませんね。
――石綿氏はどうですか?
石綿氏:ゲーム会社にいながらあれなんですが、実はそんなにゲーマーではないんですよ。だからライトゲームを中心にプレイしていますね。スポーツゲームは好きなんで、野球ゲームは遊びます。あとは、歴史シミュレーション系も好きで、チクチクプレイしたりするくらいかな。本当はもっと遊んだほうがいいと思うんですがね。自社製品だと『牧場物語』は好きです。
長濱氏:あれは、うちのカミサンが大好きです! 「すぐキャラクターが倒れる」って言っていたんですが、どうやら草を食べることを知らなくて、バタバタ倒れてましたね(笑)。最初は「ニワトリを出しっぱなしだから、早く帰らないと!」って焦って帰っていたのに、後半になると馬があるんで、遅くまで農作業しているっていうのが見ていて、微笑ましかったです。
――そう考えると『蟲師』は、ずっとその世界で遊んでいられるようなゲームが好きな長濱氏と、ライトなゲームが好きな石綿氏の2人の趣味が合わさってできたゲームという気がしますね。
石綿氏:そのバランスがほどよかったのかもしれませんね。
長濱氏:2人ともやりこみだと大変なことになっていたかもしれません。
――では、本作の注目ポイントを教えてもらえますか?
石綿氏:誰にプレイしてもらいたいかを念頭において、原作の世界感を守って制作したゲームです。だから、ファンの人にも安心して入っていただけると思います。ゲームが苦手な人にも、「蟲師」が好きであれば楽しんでもらえる作品に仕上がっています。あとは、ゲームにしかない音声を収録していて、増田さんの音楽を楽しめることですね。
長濱氏:スタッフの人が、「出さなければよかった」という作品にはしていません。蟲師ファンの僕としても、恥ずかしくないものができたと思う出来です。
――最後に、ファンへメッセージをお願いします。
長濱氏:アニメが終わって2年経つのに、今ゲームが出ます(笑)。でもそれが、「蟲師」の1つの結果だと思います。アニメも「今やらなければいけない」という形で制作がスタートしたものではないんですが、ゲームも「アニメをやっている最中にださなければダメ」という過程でできたものではありません。時期を選ぶ作品ではないことを証明できる作品だと思うので、DSで他のソフトをやった後に、ふと遊んでいただけるような形でお手元に置いていただければ幸いです。
石綿氏:アニメのスタッフに集まってもらい、「蟲師」の世界感を完璧に守ってできた作品です。1ファンとして、雰囲気を頭で感じれる作品になっていると思うので、それを楽しんでもらいたいです。あとこのゲームは「蟲師になれ」というものではないので、プレイヤーの方々が好きなように遊んでいただければうれしいです。
|
「蟲師」に対する情熱をゲームに詰め込んだと話してくれた石綿プロデューサー(左)と長濱監督(右)。DS用『蟲師 ~天降る里~』は、明日1月31日に発売される。 |
(C)漆原友紀/講談社・「蟲師」製作委員会
(C)2008 Marvelous Entertainment Inc.
データ
▼『蟲師 ~天降る里~』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:DS
■ジャンル:SLG
■発売日:2008年1月31日
■価格:5,040円(税込)
■『蟲師 ~天降る里~』の予約・購入はこちら
■関連サイト
・『蟲師 ~天降る里~』公式サイト
・マーベラスエンターテイメント