第14回電撃大賞銀賞「藤堂家はカミガカリ」の高遠豹介先生のインタビューをお届け!
2月10日に発売された電撃文庫「藤堂家はカミガカリ」。その作者にして、第14回電撃小説大賞の銀賞を受賞した、高遠豹介先生のインタビューをお届けしていく。
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▲写真は著者近影(写真左)および「藤堂家はカミガカリ」の表紙イラスト(写真右)。 |
「藤堂家はカミガカリ」は、ある少年の護衛を任され、人間界とは別の世界である「ハテシナ」からやってきた“建代神一郎”と“天霧美琴”の「ハテビト」が、「鞘から抜けない刀」と「デッキブラシ」を手に、襲いくる他の「ハテビト」たちと戦うという物語。戦闘シーンだけでなく、テンポのいい文章や、ほんわかとしたキャラクター同士のやり取りなどが魅力的な作品となっている。
以下に、高遠先生のインタビューを掲載していくので、すでに作品を読んだ人や、あらすじを読んで気になった人は、ぜひご覧いただきたい。
――まず、本作を書こうと思ったきっかけを教えてください。
高遠:この作品は、いろいろな神話に登場する名前を借りて作っているんですね。執筆を趣味にして6年くらいになりますが、1回はこういう物語を作ってみたいという思いがありまして。せっかくだから、投稿できるような長さのものを書こうと思いました。
――執筆が趣味とのことですが、文章を書くにあたって何かしていたことはありますか?
高遠:大学で文芸部に所属して、そこで同級生や先輩と一緒に小説を書いたり本を作ったりしていましたね。
――「藤堂家はカミガカリ」は、何作目にあたるのでしょうか?
高遠:長いの短いの合わせると……大体20作目くらいになります。
――大学で文芸部に……ということですが、それ以前にはそうした部活動はなさっていなかったんですか?
高遠:はい。文芸部自体はありましたが、僕は参加していませんでした。ですが、文芸部に参加している友人の作品は読ませてもらったりしてましたね。
――普段の生活で執筆に結びつくようなこととかはありますか? 例えば趣味などは?
高遠:執筆に結びつくような趣味っていうのはちょっとないですけど(笑)。高校のころはテニスをやっていて、部活にも入っていました。後は、ドライブなんかも好きです。
――では、どんな時に創作のアイデアを思いつきますか?
高遠:一番多かったのは、アルバイト中ですね(笑)。でも、アイデアが浮かんでも働いているからメモが取れなかったり……ということがよくありました。「仕事が終わるまで覚えておこう!」って意識してはいるんですけど、終わるとやっぱり忘れてるんですよね(笑)。
――アルバイトは何をしていたんですか?
高遠:スーパーで品出ししたり、レジ打ちしたり……。
――確かに、おおっぴらにメモを取るのは難しそうですね。特に品出しをしているとアイデアがよく浮かぶとかありましたか?
高遠:どちらかというと、ボーっとしてる時に浮かぶことが多かったです(笑)。
――スーパーでのアルバイトは、執筆期間中もしていたんですか?
高遠:そうですね。執筆期間はアルバイトとさらに就職活動なんかともかぶっていたんで、時間をどうにか確保しながら書いてました。
――作中でもダイコン料理のネタが出てきますが、バイト中にダイコンを見て……とかだったりするんでしょうか?
高遠:実は、料理が得意な“神一郎”の設定は、結構ギリギリになって思いついたものだったんです。僕自身は全然料理ができないんで、ネットでレシピを調べたりしながら書いていきました。
――なるほど。では、“神一郎”の相棒“美琴”がネットゲーム好きだということでしたが、ネットゲームの経験は?
高遠:実は、全然プレイしないんですよ。友人でドップリハマっちゃっている奴はいるんですが……。ゲーム自体は嫌いじゃないんで、始めちゃったらたぶん僕もハマってしまって、他のことが手に付かなくなると思いまして。それが怖くて手を出していないって感じですね。
――ゲームは嫌いじゃないとのことでしたが、どんなゲームをよくプレイしています
か?
高遠:『ぷよぷよ』は……もう10年くらいになりますね。スーパーファミコンから今までずーっとやっています。今は、『ぷよぷよフィーバー』をよく遊んでいます。
――腕前の方は?
高遠:腕前の方は……2つ下で、20歳の弟がいるんですが、弟にはずっと勝てないですね(笑)。それなりにはうまいと思いますけど。
――ありがとうございます。では続けて、本作の執筆に当たって苦労された点などを
教えてください。
高遠:僕自身には、神話に関する知識はあまりなかったので、図書館で調べたり、すごく詳しい友人を質問責めにしたりと、設定に関するところでだいぶ苦労しましたね。
――キャラクターたちの会話がかなりテンポよく軽妙な作品なんですが、そのあたり
は意識して書かれたのですか?
高遠:ライトノベルって、他のジャンルに比べて会話シーンが多いというイメージが僕の中にありまして。会話のテンポのよさは読みやすさに直結していますし、一番注意したポイントでもあります。
――ライトノベルということで、本作には挿絵が付いているんですけれど、挿絵を見
た時の感想などを聞かせてもらえますか?
高遠:本っ当に感動しました。挿絵を描いてくださった油谷先生には死ぬほどお礼を言いたいです。文芸部にいたころにもライトノベルっぽいものを書いてはいたんですが、流石に挿絵が付くことはなかったんで。絵が付くっていうのはとってもうれしいですね。
――表紙の絵がメインキャラではなく、“レッテ”という主人公の敵として登場する小さめな感じの女の子だったりするんですが、これって理由があるんですか?
高遠:これは、担当さんのアイデアです(笑)。
――そうだったんですか! (担当編集に)もし理由があるようでしたら教えてください。
担当編集:普通とはちょっと違うことをした方がいいかなぁと思って、この表紙にしました。高遠先生はキャラクターの描写がとっても上手で、主人公たちはもちろんですが敵のキャラクターが特に魅力的なんですよ。その魅力をあえて前面に出そうと。
――敵キャラクターと言えば、作中にも、少しだけ出てきてまだまだ謎の多い敵キャ
ラクターもいますよね?
高遠:はい。“彼女”は、初夏発売予定の2巻に出てくる予定です。
――“彼女”にもさまざまな仕掛けがありそうですから、2巻の発売を楽しみに待っておきます。では、続けてキャラクターについてお伺いします。神話に出てくるキャラクターをモチーフにしている本作ですが、これからもそういったキャラクターが出てくるのでしょうか?
高遠:そうですね。神話の数だけあるっていうか、ネタはたくさんありますからね。お話しが続いていけば、皆さんがどこかで聞いたようなキャラクターがたくさん出てくると思います。
――“神一郎”たちの故郷である「ハテシナ」って、どんな世界なんですか?
高遠:異世界っていうとファンタジー作品に出てくるような世界をイメージするかと思うんですけれど、「ハテシナ」は僕らが暮らす世界とほとんど変わらないと思ってもらえれば近いかなと。
――1巻で最も力を入れて書いた部分はどこでしょうか?
高遠:後半になるんですけれど、“神一郎”が“あるキャラクター”にちょっと変わった誕生日プレゼントをしているんですが、そのシーンはかなり力を入れて書きましたね。そこはぜひ読んでもらいたいです。
――では、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
高遠:そんなにシリアスで重い話ではなくて、コメディチックでハートフルなイメージで書きました。難しく考えずにゆっくり読んでもらって、「いい話だったな」と思ってもらえればうれしいです。それと、表紙にもなっている“レッテ”は、個人的にとても気に入っているキャラクターなんで、彼女に注目してあげてください。
――ありがとうございました!
(C)MediaWorks
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